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「日本は民主主義社会ではない」 大塚英志×宮台真司 対談全文(前)

 これは「原発・原子力村」と人々が呼んでいるものの動きとまったく同じものであり、そこにはまったくその継続性しか存在しない。やはり敗戦のようなことがあると、これから新しい時代が始まったという議論が出てきたりとか。なにか震災があると大挙して、ポトラッチあるいは寄付、あるいはボランティア的なことが起こるということも繰り返し繰り返し今まで起こってきているのであって。この福島の原発を引き起こした震災程度のことで、「終わりなき日常が終わる」ということが、まずあり得ないんですよ。歴史的に考えてみてね。まずその歴史を勉強してきているはずの方々が、一体どういう感覚をしているんだということを、まず僕は非常に強く思いました。

大塚: だから、地震が起きた直後には「新しい日本が始まるんだ」みたいな感覚ですよね。それが結局、これも安政の地震の時と同じで、要するに日本のフォークロア(古くから伝わる風習)は、1回地震が起きたり、あと百姓一揆が起きちゃったらば、そこで1回チャラになって、そこでリセットして陸地をまたゼロに戻して、またやり直していくとなったらまたチャラですよっていうね。その繰り返しでしょう。

 なんか、今さら「ハレ」と「ケ」と「ケガレ」とか言いたくないんですけどもね。なんかその「ハレ」と「ケ」と「ケガレ」を繰り返してるだけじゃないかって。もう20年も30年も前の民俗学の言い方をするのが、なにか今の震災後の日本を見ていると、それが一番しっくりくる気がして。だからそれが多分、「愚民」だの「土人」だの、あるいは「前近代」でもいいし、與那覇潤(日本近代史学者)さんなんかは「ずっと江戸が続いてるんだ」って言ってますけどね。

 要するに前近代的な枠組みっていうのかな。だからこの国を語るとすれば、何か近代的なフレームじゃなくて、やっぱ民俗学の、昔やってたみたいなフレームで語った方がしっくりくるんだよなという感じですよね。それかなにか地震の後にまた繰り返されたし、こんなに露骨に繰り返されていくっていうのは、もう嘆いてもしょうがないので、「あっ、そういうものなんだ」っていうね。

宮台: うん。あの、僕たちで喋らなきゃいけない。司会がいないんですよね。

大塚: そう。ただでさえ中森明夫に批判されてましたけどね。「お互いに勝手なことを言ったっていうだけだろう」って言うけど、しょうがないだもん、そういう人たちなんだから(笑)。

■「愚民社会」で読み解く橋下現象

「地元のおばちゃんは橋下好きなんだなぁってしみじみ感じる」

藤岡: じゃ、そういうことなので、何か司会的なことを一瞬しますか。本の中では、ノルウェーのテロ事件を日本がスルーしたっていうところで、まぁその「愚民社会ってどういうものか」というところの実例が終わってたんですけれども。まぁ最近の日本で話題になっている出来事と言えば、大阪市長の橋下さんが、とても人気があるということがあるんですけれど、それについて、2人がどういうふうにお考えかというのを今日うかがいたいと思うのですが、いかがでしょうか。では、それは大塚さんでいいですか?大塚さんは関西で働いてらっしゃいますので、お願いします。

大塚: だって、大阪の人がいいって言うんだから、いいわけでしょ。そんで、東京の人が「橋下と石原(都知事)がくっついていい」って言うんだったら、それいいじゃん。ほっとけばもう。神戸と行ったり来たりしてるんで、たまに大阪で降りて、難波の「自由軒」とかでカレーを食ったりするんですけども。そうするとやっぱり「地元のおばちゃんたちは橋下好きなんだなぁ」ってしみじみ感じるんですよ。テレビ見ながら石原新党とかニュースでやってると、「ほら石原さんまで橋下さんに擦り寄ってきたわ」とか嬉しそうに言って。その悪気のなさを見たときに、何かもう言う気もなくなっちゃってね。

 一つ、橋下市長を巡って面白かったなと思ったのは、選挙の時に(雑誌の)『新潮』がすごいネガティブキャンペーンやりましたよね。その時に「やれ橋下氏」と。それから「親族にヤクザがいる」とか、あるいは「被差別部落のエリアで彼が育った」とかね。そういったネガティブキャンペーンをやって。これ『新潮』の得意技ですよね。こういうネガティブキャンペーン持っていくと、だいたいそこでそれこそ、「愚民」だの「土人」でもなんでもいいんだけども、やっぱそこであっさり先導されてきたわけじゃないですか。『新潮』は、やっぱりそういうふうに大衆を先導することに関してもお家芸だったわけだけども、『新潮』が言わば先導できなくなって、逆に反撃くらったみたいなね。そこで僕はすごく人ごとのように面白かったですね。『新潮』が先導してきた人が、もう先導しきれないんだ。でもそれがネットの世論じゃなくて大阪のおばさんたちを、もう『新潮』が先導できないんだと思うと、そこがすごく面白かった。

 それから、たしか本の中でも少し言ったけど、あの前後くらいにそれこそ『新潮45』とか、それから『中央公論』あたりが「もう震災後の自由には戻りえない」「空気がおかしい」みたいな、保守系の論壇とかのくせに、なんか左翼みたいなこと言い出してみたいな。そういう形で、旧来のメディアみたいなものから、大衆でもなんでもいいんだけど、それが離れていっちゃって。その悲鳴みたいなのが聞こえてきて。なんかもう僕は、論壇ともなんも関係ないから、なんかあっちのほうで悲鳴が上がっててちょっと面白いなという気もするし、橋下も大嫌いだしみたいなぐらいのスタンスでしかないんだけども。

 ただ、『愚民社会』の趣旨に引きつけていけば、橋下市長が200人だか400人だか、広報と言うのか分からないけども、その人たちの質が問題になっていくわけでしょう。結局、それこそ、「愚民」が立つわけでしょっていう。「それでいいわけ?」っていうとこだけは、嫌味として言っておきたいと思うわけです。

 だって、すごい質悪いわけでしょう。維新の会の議員なんてはっきり言ったらば。それが民主党の、名簿の下の方の連中とか、自民党が勝った時の名簿の下の方の連中とか、もっと昔だったら間違って社民党が勝った時だって、どっかの大学院生がうっかり当選しちゃったみたいな。そういうふうなレベルの人が結局はブームになったらば、議員になっちゃうわけでしょ。そういう人たちをまた当選させちゃって、そんでもってせっかく期待したのに何てことしてくれたんだって、どうせまた怒るわけでしょ。「だったら好きにすりゃいいじゃん」っていうね。もう。なんか石原新党と橋下でなんかの過半数ぐらい・・・というか3分の2くらい獲っちゃって、もう憲法も改正してさ、それで徴兵でもやって1回戦争行ってくりゃいいんだよと思いますけどね。

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