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食品をプリントする!?オランダTNOのフード3Dプリントへの取り組み

また、外装だけではなくで中にバッテリーやセンサーなど電子回路を埋め込むことができるというのもミソ。

電子回路を埋め込んだ3Dプリント、ランプシェードとランプだ

金属のやわらかいインクを流し込んでいくことで、外装のプリントと同時に電子回路そのものを埋め込む。なぜ、こうしたことが必要なのかというと、それによりさまざまな部品の加工、造形プロセスを統合することができるからだ。

上の写真で示したものはランプシェードとランプが一体になったもの。このように1つのモノの中に、いろいろ機能やユーザインタフェースが統合されている。

これは、Printvalleyのような統合プロセスを実現する技術でもあるし、電子機器や通信機器、さらに医療分野に大きく活用できる技術だ。身体に取り付けるようなもの、たとえば義足や義手は、身体の状態をセンシングすると同時に快適にアタッチできることが必須となる。形状記憶フィラメントと組み合わせて実用化されれば、大きな進化が期待できる。

なぜ、フード3Dプリントなのか?

まだ食材のプリントという概念がほとんどどなかった2010年に、すでに他の素材向けに開発していた3Dプリンタを使って遊び半分で食べれるモノを造形してみようと始めたのが、TNOがフード3Dプリントに取り組むことになったキッカケ。その後、イタリアのパスタメーカー「Barilla(バリラ)」とパスタの3Dプリンタを共同開発し、現在では世界各国で注目を浴びている。

Barillaと共同開発した3Dパスタプリンタは2015年のミラノEXPOにて展示&デモを行っている(動画)

現在、ニューヨークのレストランに導入され、その人の好みの形でパスタをプリントできるというメニューで提供されている。

Barillaがフード3Dプリントに興味を持ったのは、個々人の嗜好にカスタマイズしたものが作れるという3Dプリンタの特性を転用すれば、付加価値として「新しい食の体験」を作り出すことができると考えたからだ。

アプリでパラメータを変更することで、いろいろな形に変えることができるようになっている(プレゼン資料より引用)

積層(FDM)方式の造形で、2分間に1食分のパスタが出力できるスピードだ。量産性については、今後もいろいろ試していくという。

こうした高級レストランのサービス(最終的にはシェフが提供するメニュー)としての活用がビジネスモデルとして一番わかりやすいが、フード3Dプリントにはさらに代替フードの可能性、利便性が可能性、利便性が期待されている。

なお、プリンタに複数のノズルを持たせることでいくつかの素材を混ぜて出力できる。異なる素材を異なる層に、あるいは格子状に組んだり、ミックスして出力する。たとえば、クッキーであれば粉末の中に自分の好きなフレーバーを選んで入れる、その配合を自由に変えることができる。



複数のノズルから素材をレイヤーで重ねたり、混ぜて出力できる(プレゼン資料より引用)

フード3Dプリントで資源効率や環境負荷の軽減をより向上できるのではという期待も大きい。たとえば海藻類を肉の代わりに使って食材として使うというような、経済的に魅力的で、かつ今後増加する世界人口への持続的な供給が可能な食材を材料として使う。

固形物の咀嚼嚥下が困難な人に代替フードとして提供し、かつ見た目や食感などを元の食材に近づけて提供することができる。さらに食糧生産の副産物や微細藻類、昆虫を代替栄養源として活用する取り組みも同時に行っている。

フード3Dプリントの技術的な課題

Barillaと共同開発した3DパスタプリンタはFDM方式での造形だが、それ以外にもさまざまな製法を用いた研究が進んでいる。

IJP(Inkjet Printing)、つまりインクジェット、ノズルからインクを吹き出し造形する方法だ。材料となるものの粘度が低い場合はこちらのほうが適しているという。あるいはパウダー状、粉末のものを噴射して造形する方法(PBN)、レーザーで焼却する方法(SLS)があるが、どんな食べ物を作りたいかにより、それぞれ適する方式が異なる。

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