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食品をプリントする!?オランダTNOのフード3Dプリントへの取り組み

TNOっては?

フード3Dプリントに早くから取り組んでいる機関として、オランダの「TNO: the Netherlands Organization for Applied Scientific Research」がある。

TNOは3Dプリント技術の研究開発や産業ベースでの展開を行っている研究機関だ。そのTNOのErwin Meinders氏がファブ地球社会コンソーシアムの勉強会に登場した。

左:慶應義塾大学SFCの田中浩也教授、右:TNOのErwin Meinders氏

まず、「ファブ地球社会コンソーシアム」についてだが、これは慶應義塾大学SFCの田中浩也教授が中心になって進めている。デジタルなものづくりやテクノロジーをビジネスにしていこうとするときに生じる課題、人材や品質評価、安全の保証などをオープンに議論する場として運営されている。

その活動の一環で、民間の参加企業を対象に月一程度で勉強会を行っているのだが、今回は参加企業に限定しない形で、Erwin氏を招いて「フード3Dプリンタの最前線」としたセミナーがケイズデザインラボのカンファレンスルームで開かれた。

TNOは産業技術・ライフサイエンスなどの分野における応用開発を行うことを目的に、オランダ議会により1932年に設立された、欧州では最大級の総合研究機関。Erwin Meinders氏はそこで3Dプリント関連の研究部門、およびTNOとアイントホーフェン工科大学の共同研究プラットフォーム「AMSYSTEMS Center」のマネジメントを務める人物。

通訳を務めるのは、TNOの日本の食と健康部門の代表である西出香氏や田中浩也氏。また当日は、ケイズデザインラボ代表の原雄司氏も来ており、ときにそのまま議論となる場もあり、全体的に非常にオープンな雰囲気で行われた。

ここではTNOおよびAMSYSTEMS Centerが進める先進的な3Dプリント生産ラインのプロトタイプ「Printvalley」、そしてフード3Dプリントへの取り組みについて取り上げる。

2p21551453Dプリントのサンプル(クッキー、電子回路入りランプシェード、基板、入れ歯用の土台)

スモールファクトリーを実現する「Printvalley」

前述のように、TNO、そしてAMSYSTEMS Centerの機関としての目標は、サイエンスやテクノロジーを産業で活用するための研究開発。最終的には「作ること」に落とし込む、関連する技術を基礎研究として進めるだけではなく、企業と組んでそれを産業に応用することを両輪としている。

Erwin氏は、今後の3Dプリント技術の展開として、2つのアプローチがあるとする。こういうものが最終的に作れるとプロトタイプを示す、いわゆるパイロットライン。もう1つが、3Dプリントの品質を高め、小ロット生産を可能とするスモールファクトリーと呼ばれる方向性だ。

3Dプリント技術の今後の方向性として、パイロットライン、スモールファクトリーの2つがある(プレゼン資料より引用)

ここでErwin氏が1つの成果として示すのは「Printvalley」だ。PrintvalleyはHyprolineプロジェクト(EUの第7次研究開発プログラム(FP7)の助成を受け、さまざまな企業が参加した)で進められたもので、3Dプリント、レーザーベースの表面実装および構造化、プロセス監視・計測のためのシステムを組み合わせた高速生産ラインの実用プロトタイプだ。

Printvalleyのデモ(動画)

Printvalleyは、個別の100個のビルドプラットフォームを持ち、2.0m/sで回転する円形のベルトコンベアシステム(Ewin氏曰く「すしプリンター」)だ。

各プラットフォームで、個別のカスタム金属部品を同時に製造することができる。3Dプリントだけでなく、3Dモデルどおりプリントされたか検査するために3Dスキャニングを行い、正確に印刷されていなければレーザで表面欠陥を修正したり、取り除く。完成部品を生産ラインからピックアップするピックアンドプレースシステムまで備える。すべてのモジュールが統合された状態で正しく機能するよう高度な制御が必要なシステムだ。

こうしたシステムがあれば、100から1000という少量で電子回路入りのパーツを作りたいというとき、スピーディに簡単に作ることができるだろう。少量生産のためのスマートなファクトリーとして機能する。

「AMSYSTEMS Centerは多方面からメンバーが集まり、大きなプロジェクトとして運営している。学術的な研究だけでなく、マーケットの開拓、ものを市場に持っていくというところで最初から最後まで携わっている」とErwin Meinders氏
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