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ネット生放送で曲に歌詞をつける“はめソン”で就活応援ソング 仕掛け人の尾飛良幸氏にインタビュー

ネット生放送で曲に歌詞をつける“はめソン”で就活応援ソング 仕掛け人の尾飛良幸氏にインタビュー

リクルートは、2013年卒業予定の学生の就職活動を応援する“就活応援ソング2013”をユーザー参加で作るプロジェクトサイト『みんなでつくる就活応援ソング2013 produced by リクナビ』を公開しています。このプロジェクトでは『USTREAM』の生放送で、用意された曲にユーザーがコメントした歌詞をつけてリアルタイムで曲にしていく“はめソン”という手法で曲が完成。この曲を公募したアカペラグループが歌うコンテストも開催されました。

ガジェット通信は“はめソン”の産みの親であり、今回のプロジェクトで楽曲を制作したシンガーソングライターの尾飛良幸氏にインタビュー。就活をテーマにした今回のプロジェクトについて、楽曲が完成していく経緯や就活生への思いを語っていただきました。

聞き手:ガジェット通信 宮原俊介(shnsk)

メロディはあえて悲しく

ガジェ通:今回はテーマが就活ということで、まず先に曲を作られたんですよね。何を意識してメロディを作られたんでしょうか。

尾飛:僕はいつもそうなんですけど、「みんなで歌えるもの」というのが一番念頭にあったのと、「どう歌うのか」と考えたときに、やっぱり「前向きに歌う」というのが念頭にありましたね。

聞いていただくと分かるんですけど、実はメロディ悲しいんですよ。

ガジェ通:そうですよね。ちょっと悲しげですよね。

尾飛:これは作家としてのいろんな考え方があるんですけど、明るい曲で「頑張ろう」と言うと、安っぽくなることがあるんですよ。今辛い就職難の時期だという話は僕も方々から聞いているので、決して「明るく元気に頑張ろう」じゃないなと。であれば少し哀愁感があるというか、どこか不安を感じながらの前向きさ、というのを表現する必要があるだろうなと思って、若干そういう……悲しいというのではないんだな。底抜けに明るいという色は出さずに、というのは意識しましたね。

ガジェ通:キャンペーンサイトでは、実際にユーザーが曲に歌詞をつけて公開できるコンテンツが公開されています。ユーザーが作った歌詞はご覧になりましたか?

尾飛:全部は見られてないですが、やっぱりいろんな思いが乗っているなという感じはしましたね。

矛盾を抱える就活生の思い

ガジェ通:こちらを受けて、歌詞を完成させる『USTREAM』の生放送があったわけですね。放送のスタジオには学生さんもいらしてましたが、印象に残っている学生さんのコメントやユーザーさんから寄せられた歌詞はありますか?

尾飛:言葉として印象に残っているというよりも、彼らの感じているものは心に残っていますね。

ちょうど僕のひとつ上、1歳上までがバブルだったんですよ。僕の代から就職氷河期だったので、よく分かるんですよ。今よりは楽だったと思いますけど、先輩たちがガンガン就職して、いわゆるバブルの中で「いいよー、会社って。楽しいよ!」と言っていたのが、我々のときからパタっとなくなって。ビックリしちゃったわけですよ。

当然、自分の友だちも本当に苦労して、この20年近くを自分の力でなんとかしなければいけないという思いで生き延びてきているわけで。しかも僕なんか音楽家なわけじゃないですか。音楽家がどこからの援助も受けずに生きるのは並じゃないと思うんですよね。自分で言ってますけど。やっぱり大変なんですよ。

同じように就職難、就職してもその会社が安定しているかも分からないという……あのときと一緒という感じがすごくしますね。全員が全員そうではないと思いますが、今の子たちも彼らが将来に希望をなかなか抱けないとか、夢が持ちにくいとか、就職したところでそれがどういう意味があるんだろうとか……。そういう心のわだかまりを持ちながらも「でも就職しなきゃいけないんだ」という矛盾を抱えているんだな、というのを感じた部分もありましたね。

完成した曲を聴いて、泣いてくれた子もいたので、「よかったね」と思うんですが、本人たちがすごく喜んでいて、もう左団扇で「OKですよ」という風には感じられないんですよ。そういうのをすごく感じながら番組を進めましたね。

ガジェ通:これが完成したところで、頑張るのはこれから先ということですからね。

尾飛:「本当に大変なんだろうな」と思いましたね。

生放送はセッション

ガジェ通:放送は2回に分かれていましたが、それぞれ出てくる歌詞の違いとかカラーが、その場の空気で変わったことはありましたか。

尾飛:僕らはライブでセッションというのをよくやるんですね。セッションというのは本当に出たとこ勝負で、真っ白な状態でスタートするんですよ。お客さんの層とか、一緒に出ているアーティストによって色がどんどん変わっていって、最終的に色が決まるんですけど、非常にそういうセッションに近い空気でしたね。

僕と、一緒にMCをやってくれた初原千絵ちゃんはいつもどおりの2人なんですけど、ゲストに来てくれたのが初回は男性、2回目が女性ということと、あとはリスナーの方も層が違う。1回目を見てくれて2回目を見た人もいれば、2回目が初めての人もいるという環境の違いがあったので、かなり色は違いましたね。

ガジェ通:やはり生放送というのがそういう空気の違いみたいなものを生み出すんでしょうか。

尾飛:ありますねえ。ミュージシャンって、失敗するところを見せたくないじゃないですか。失敗したらカッコ悪いし。でも、今のソーシャルメディアの時代って、音楽家がそれを見せるのもいいなと思うんですよね。失敗して慌てながら、それをリカバリーしていく面白さというか、スリルというか。

今回の撮影もそうでしたし。生放送という中で生まれた、僕がリクナビさんでやらせてもらった“はめソン”という手法、これは“ハナ☆メロ”という手法と同時に生まれたものなんですけど、これは生放送とツイートなり『ニコニコ生放送』(以下『ニコ生』)のコメント、“弾幕”がないと成立しないものなんですよね。

で、それってすごく危険だと思っています。一歩間違えるととんでもないものになってしまうし、それを音楽的なカンでコントロールしながら進めるというスリルがリスナーにも楽しめるんじゃないかなと。だから本当はアーカイブより生で見た方が面白いんですよね。

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記者:

宮原俊介(編集長) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

TwitterID: shnskm

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