【テレビ全録派鼎談】その1:全局録るだけではダメ 本当の全録環境とは?

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有吉:僕が今各局がオンデマンドしてもそれは正解じゃないと言ったのは、各局でアーカイブしてもコンテンツはバラバラだからです。

この『渡る世間は鬼ばかり』(TBS)はこの局に見にいこうとか、『イケメンパラダイス』(フジテレビ)はどこどこに見にいこうとか、『ミュージックステーション』(テレビ朝日)ならどこどこに見にいこうって視聴者は考えないでしょう。番組と番組の間に関連があったとしても、他局間のものはつなぎようがないですから、絶対そこはおかしいですね。ユーザー視点から見て。

“テレビ局”を超えたインタフェースの必要性

竹中:テレビが始まって58年経って、一生懸命番組と放送局を結びつけようという試みが放送局によってされてるじゃないですか。日テレちゃんとかTBSのBooBoとかキャラクターもあって印象付けようとしていますけど、あれは全て間違いということですかね。

有吉:それは意味ないですね。

MIRO:局は各局で囲い込みはするけども、そういったのを横断的に統一したインタフェースで操作できるものがない、という話ですよね。先ほど、1週間が半年、1年になったら変わるのか、という話がありました。そのタイムスパンが半年、1年だと変わらないけど、これが多分30年、50年となったら変わると思うんですよ。

竹中:でも2クール、半年ぐらいで世界が変わるような気がするんですけど。だってドラマが全部見られるんですよ。

有吉:『SPIDER』で実現したいのは、ユーザーが別にそれがどこの放送局とか知らなくても直近であればローカルから再生されて、直近でなければクラウド側から、それも局のオンデマンドの後ろから再生されるという環境。それが別にどこからというのはまったく関係ない情報で、ただ誰かを検索したときに、その人のものが直近であればローカルから再生されるし、なければクラウドから再生されるということだと思うんですよね。そこは本当にMIROさんがおっしゃるように30年50年のソースがあれば、ユーザーとしてもずっと徹夜でテレビ見ちゃう。みたいなそんな世界になっちゃいますよね。

「録っても見ない」になる恐れ

有吉:さっき全録の普及する普及しないっていう話がお2人の間であったんですが、僕はやたらに容量だけが増えて、全録というのがメーカー各社でできるようになったとして、それはそれでそうなるだろうなと思って僕らも『SPIDER』を始めたわけです。ひとつ怖いなと思ってるのは、全録は普及したけども「やっぱり見ないもの」という烙印を押されるところ。つまり、視聴側のツールや工夫ですね。

MIRO:その価値観が根付くのが一番怖いですね。

有吉:全録が普及したけれども、急激に「やっぱりダメだ」という烙印を押されてしまう。それが一番僕はよろしくないんじゃないかなと思うんですよね。

竹中:それは有吉さんが願わくば『SPIDER』が普及することによって、よく知られることによって、テレビに対するコンシューマーの意識が変わって、それがひいては放送局、もしくは制作する側の気持ちにもつながった結果、番組がよくなる。というようなループが起こればいいっていうことは常々言ってるわけですけども。それが分断されている可能性がどこかにあるということですよね。

有吉:そうですね。ほとんどがやっぱり「出会わない」こと、興味があってもなんらかの制約で「コンテンツまでたどり着けない」ことが多いわけですから、それだけの視聴機会を逸してるわけじゃないですか。それが逸しないことになったら凄いことが本当は起こるはずなんですよ。要はコンテンツの消費がバーっと活発になるという。そうした時に見えてくるものというのが、たくさん制作サイド供給サイドでもあるはずなんですよね。それが好循環にまわっていく 秘訣だと思っているんですよね。

全録機器の現状

宮原:ここでハードの話題に移ります。『CELL REGZA』以降、4番組同時録画できるブルーレイレコーダーが出てきて、その後メーカーが全録に対応できる製品を出すようになっている。これらの製品はどうですか?

MIRO:4番組じゃ全録じゃないですよ! どれも中途半端。そしてユーザーインタフェース(UI)がまだダメですね。

みんな番組という単位にこだわりすぎている。区切りのひとつの指標だというのは分かるんですが、VHSのころから脈々とある番組録画のスタイルが残っていますね。本当は今この瞬間から5分さかのぼって見たい、とかのほうが便利なはずなんです。

竹中:5分さかのぼって見たい、というのを実現するUIはあるんですか?

MIRO:あります。『24時間ワンセグ野郎』では実現しています。

たとえばTwitterなどで「今○○が紹介された!」といったツイートを見かけたらそこからさかのぼってチェックしたいし、テレビで『ニコファーレ』が取り上げられた、なんて時は自分が携わったプロジェクトなんでその部分だけ見たいんですよ、番組全体じゃなくて。

竹中:なるほど。テレビがタイムラインなら、そこはメンションなんですね。自分が見たいもので区切りにする。

MIRO:見たいというモチベーションの区切り方があると思うんですよ。

有吉:ドラマは違いますよね。

MIRO:ドラマは番組を見たい、ということになると思いますが、今後全ストリームが残るようになると、興味は特定のシーンに向いていくと思います。

実は以前あるワンセグ全禄機を作っている人から「どんな使い方をするものなのか」と相談されたことがあるのですが、そこで一番最初に伝えたのが「今から5分前のシーンから再生」ということができるといいですよ、ということだったんです。でも既に開発が進んでいてそれはできなかったんですよね。ふと見回してみると、ほかの全録機器でも番組単位で管理していたりします。

有吉:モノマネはそういうものなんですよ。たとえばセブンイレブンと他のコンビニは、同じようなPOSシステムを使っていますが、売り上げは1日に1店舗20万円も違う。セブンイレブンのシステムはPOS1つとっても、明確な思想に基づいて作られているんですよ。例えば、商品の発注をするときに、グラフィック・オーダー・ターミナルというものを使うんですが、店員が棚を回りながら在庫や天気の状況を考慮して発注していきます。

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shnsk

宮原俊介(編集主幹) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長を務める。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

TwitterID: shnskm

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