福島のこども医療費無料化問題、早ければ来月にも結論

藤村修官房長官

 藤村修官房長官は2012年1月23日午前の記者会見で、福島県が東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて国に求めている18歳以下の子供の医療費無料化について、政府が断念したとの一連の報道に関して、「正反いろんな意見があり、関係者間で今慎重に検討していくというところで結論が出たわけではない」と語った。

 結論を出す時期については、「(関係機関と)相談していくというのは続いていく」と述べる一方で、来月上旬にも開催される予定の『原子力災害からの福島復興再生協議会』が「ひとつの結論を出す時点かもしれない」と述べた。

 各報道によれば、関係府省が難しいと判断した理由として「福島県外の住民との公平性」、「風邪などの医療費も含めて福島だけ無料にする説明がつきにくい」(朝日新聞)、「福島県内でも他県の一部地域より放射線量が低い地域がある」(読売新聞)、「因果関係のない医療費まで負担するのは他の被災地の理解が得られない」(産経新聞)等が挙げられている。

 最終的に政府が医療費無料化を見送った理由が「因果関係のない医療費まで負担できない」ということになれば、賠償請求等において「放射線量とがん等の病との直接的な因果関係が証明されていない現状」を逆手に取られる可能性も出てくる。また、医療費無料化を見送った場合の福島県民への影響も懸念されており、政府は難しい判断を迫られそうだ。

■藤村修官房長官とニコニコ動画記者(七尾功)との一問一答

七尾記者: 福島県の18歳以下の医療費の無料化を政府が見送る方向だという一部報道がありますが、この事実関係と今後の見通しについて教えてください。

藤村官房長官: この件は8日に総理大臣が福島県に訪問した際に、ひとつは賠償のところで会津等がまだ賠償されていないとそういう要望が強いということと、もうひとつは医療費のことが出ておりまして、それぞれ大変重要な課題と受けとめ、政府内で検討していくと、こう発言をしました。その後これを受けて政府内で今検討中であります。

 先日来からの会見でも申し上げておりますように、特に医療費のほう、正反いろんな意見があるということですので、関係者間で今慎重に検討していくというところで結論は出たわけではない、という現状であります。

七尾記者: 来月上旬にも開かれる福島県での復興再生協議会で政府から結論を伝えるというお考えはあるんでしょうか。

藤村官房長官: それより先にさまざま打診していくというか相談していくというのはずっと続いていきますし、今おっしゃったところあたりがひとつの結論を出す時点かもしれません。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 七尾記者の質問から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv78788387?po=news&ref=news#0:16:20

(七尾功)

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