「営業一筋で30歳。キャリアチェンジするなら今?」【シゴト悩み相談室】
キャリアの構築過程においては体力的にもメンタル的にもタフな場面が多く、悩みや不安を一人で抱えてしまう人も多いようです。そんな若手ビジネスパーソンのお悩み相談を、人事歴20年、心理学にも明るい曽和利光さんが、温かくも厳しく受け止めます!
曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャー等を経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。
CASE14:「30歳を節目にキャリアチェンジすべきか悩んでいます」(30歳男性・IT企業勤務)
<相談内容>
IT企業で7年間、営業に携わってきました。先日30歳になり、「キャリアチェンジするならば今が最後のチャンスではないか」と思っています。
入社以来、ずっと営業。営業経験しかない…とはいえ、企画提案はもちろん、顧客に最適なシステムを考える過程でコンサルティング力やマーケティング力も磨かれましたし、少ないながら部下を持つようにもなりました。昨年は大口顧客の営業システム入れ替えプロジェクトを任され、プロジェクトマネジメントを経験するなど幅広い業務に関わってきました。これらの経験は、たとえば企画職やマーケティング職などに活かせるのではないかと思っています。
営業が嫌になったわけではないのです。ただ、このままずっと営業でいいのか?もっと他に可能性があるのではないか?という気持ちが強く、迷っています。(IT企業・営業職)
30歳を、必要以上に「節目」と捉えないこと
「30歳がキャリアチェンジの最後のチャンス」なんてことは全くありません。超高齢化社会が進み、労働人口が減少する中、30代どころか40代、50代のベテラン層を採用する動きが高まっています。相談者は30歳になったばかり。これからもチャンスはたくさんあります。
そもそも何で、「30歳」をキャリアの節目のように捉えるのでしょう?自身の将来をじっくり考えたうえでキャリアチェンジを決断するならばいいのですが、30歳というだけで追い込まれた気持ちになり、安易にキャリアチェンジ転職を考えているならば、「どうか早まらないで」とお伝えしたいですね。
相談者は、営業として7年のキャリアがあり、部下もいて、プロジェクトマネジメントの経験もあるそうですが、その経験を買われて、他部署から何らかのアプローチを受けたことはありませんか?
天職とは、頑張っている人に“降臨”するもの。もちろん、自ら「これを天職にしたい」と追い求め、勝ち取るケースもあるのでしょうが、多くの場合は、活躍する姿を見ていた誰かが「この道に進むべきでは」と手を差し伸べ、それにより得意分野が絞られ、天職になっていくものです。
相談者ぐらいの経験の持ち主であれば、活躍を耳にした他部署の人…たとえば企画部門、マーケティング部門のマネージャーが、「うちに来ない?」と声を掛けてきてもおかしくはありません。営業現場を知り尽くしている人の目線は、企画やマーケティングにおいてとても貴重だからです。
もしも、声を掛けられた経験がないならば、もしかしたら「まだ営業としての修業が足りていない」のではないでしょうか。営業としてある程度のことはやった…ではなく、自分の限界を超えるまでやり抜いていないから、「声を掛けるまでではない」と判断されている可能性があります。キャリアチェンジするかどうか悩む前に、他部署の人が「あいつに来てほしい!」と思うぐらい、営業として突き抜けてみてはいかがでしょうか?
社内人脈を構築して、「社内有名人」を目指そう
もう一つ考えられるのは、「社内であなたの名前が知られていない」という可能性です。
営業はほかの職種に比べれば、一人で完結できる要素が強い仕事です。そのため、「営業部内での人脈はあるが、他部署とのかかわりは少ない」という人が見受けられます。相談者自身は、営業としてすでに素晴らしい経験とスキルを持っているのに、社内人脈が手薄なせいで、お呼びがかかっていないのかもしれません。
その場合は、すぐに「社内人脈構築」に注力しましょう。たとえば、社内横断プロジェクトに立候補してみる、ビジネスプランコンテストに応募してみるなど、他部署とかかわれる機会、他部署の人の目に触れる機会を増やしましょう。
もっと簡単な方法で言えば、同期会を催してみるのもいいかもしれませんね。同期入社の社員たちも今や中堅層となり、それぞれの部署で発言力のある立場になっているはず。つながりを持っておけば、何らかのチャンスをもたらしてくれる可能性は高いでしょう。
営業職の方の中にはまれに、「社内人脈なんて営業数字の役に立たない」と軽んじる方がいますが、実にもったいないこと。キャリアアップのチャンスは社内にこそあるのです。また、社外に目を向ける機会が多い職種だけに、積極的に社内人脈を築こうとしている人を「ちょうちん持ち」的に揶揄する方も見受けられますが、それは浅はかです。社内人脈をもとに「根回し」を図ることは、自分がやりたいことを社内で実現するために必要不可欠だからです。
社内で自分をさらせば、適性や実力を客観的に捉えることもできる
なお、社内人脈を構築して知名度を上げ、社内で「自身をさらす」ことで、「自分の実力が客観的に測れる」とも思います。声を掛けてくれた部署においては、あなたは「適性がある」ということ。希望している企画やマーケティングの部署ではなくても、飛び込んでみる価値は大です。
そして、もしも社内で有名になっても他部署からお呼びがかからなかったとしたら…やはり「営業として実力不足」ということ。営業として徹底的に「突き抜け」、次のチャンスを狙ってください。
<アドバイスまとめ>
30歳なんて、単なる10の倍数。
節目にとらわれ過ぎるのではなく
自身の可能性を広げる努力をしよう
EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山諭
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