「出版社への著作隣接権付与は作家がないがしろにされる」と赤松健氏

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「出版社への著作隣接権付与は作家がないがしろにされる」と赤松健氏

文部科学省は1月10日、文化庁が実施してきた『電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議』の結果報告資料を公開した。出版社への著作隣接権付与については出版社などが中心となり、電子書籍の製作や流通などに関わる企業に与える全般的な影響について検証が必要なこと、そのうえで国民各層にわたる幅広い立場からの意見をふまえることが適当であるとして、継続審議となった。

出版社への著作隣接権の付与に関する議論は、電子書籍の興りとともに発生した。往来の出版流通(本)は著作物再販制度と委託販売制度によって支えられていた。しかし電子書籍では著作物再販制度の対象ではなく、出版社は出版権しか持たないことから違法複製などへの対策が限られる。また、往来の出版契約に含まれる出版権にはインターネット配信は含まれないことから、過去の作品を電子書籍化するには個々の著者に許諾を取る必要がある。このままでは電子書籍の流通を阻害するとして、昨年8月に出版流通対策協議会が同会議に著作隣接権の付与要望書を提出した。

しかし、出版社への著作隣接権の付与に反対している作家もいる。『魔法先生ネギま!』などの作者として知られる赤松健氏はツイッターで次のようにつぶやいている。

★“出版社への著作隣接権の付与”だけはマジやばい。TPPの知財関連よりヤバい。騒いでる漫画家がほとんどいないのもマズい。orz

https://twitter.com/#!/KenAkamatsu/status/157344321622904832

出版社に著作隣接権が与えられると、例えば出版契約が切れた後でも、出版社が作品の権利の一部を持つことになる。だから作者が他の出版社で再刊行したいと思っても、“ダメ”って禁止することができる。2次創作も同様。漫画家が今より蔑(ないがし)ろにされること請け合い。

https://twitter.com/#!/KenAkamatsu/status/157346893112934400

マーケティングの観点からも、出版社に著作隣接権のような強力な権利は必要ないという意見がある。
IT業界でマーケティングを中心に活動してきた大野元久氏は、自身のブログで「利用者として新たなプラットフォームにコンテンツがそろうことを望むのであれば、出版社に権利集約するほうを選択してもらうよう働きかける方がよいでしょう」としながらも、「版面権などを付与する必要はなく、出版契約の問題として解決できることだと思います」と述べている*。

*:「出版社に著作隣接権は必要か」2012年01月13日『IT’s my business』
http://blogs.itmedia.co.jp/mohno/2012/01/post-1340.html

著作隣接権は違法複製・配信への効果が強調されるが、作家と出版社の関係を考慮した場合、あくまで契約で解決すべき問題のようだ。

※この記事はガジェ通ウェブライターの「きっしー」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
1991年11月19日生まれ。主に政治分野の出来事とそれについて自分が思ったことを記事にしていこうと思います。より興味がある分野は経済と国防です。何卒よろしくお願いします。

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