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池田香代子さんロングインタビュー!~マガジンハウス担当者の今推し本『世界がもし100人の村だったら お金篇 たった1人の大金持ちと50人の貧しい村人たち』

―――世界的なムーブメントなんですね。

池田 「でもやっぱりそれじゃあよくないよね、っていう声もあるし、反動も、反省も生まれてくる。そんな積み重ねがここ20年ぐらいの国連や色んな国際NGOの動きなんですね。国連のミレニアム目標だって、2015年までに‟貧困層を半分に”と掲げていました。ネット寄付なんかも増えているし、映画『この世界の片隅に』みたいに…」

―――お金を一般から調達して、結構集まったんですよね。

池田 「以前から、特に映画はこういったファンドレイジングはあったんですけどね。あと最近は、とっても不純なんだけどふるさと納税とか」

―――不純ですか(笑)

池田 「だっておまけがすごいじゃない。それ目当てっていうか(笑)。でも、そういうので、色々と変わってはきてるんじゃないかな」

―――私たちも、考えなきゃいけないことが増えてるんですかね。

池田 「そうですね。トランプ的なものに付き合っていくために…まあ30、40年はそうなるでしょう…でもその世界の中で変えていく素地もすでに十分にあるので」

―――でもネットだと…また見ちゃうんですけど(笑)、「日本もトランプに続くべき」「トランプに学ぶべき」とかみんな書いてましたよ。

池田 「ああいう人がトップになると、ちょっとその傾向のある人が意を強くして言うっていうのはあるんですよね。でも面白い話があって、就任式の会場で売ってた赤いトランプの帽子、中国製だったとか。集まっていた支持者に激震が走った(笑)」

―――そういう詰めが甘いところがまた。

池田 「バイ・アメリカン、ハイヤー・アメリカンとか言ってるのに、外国製」

―――面白すぎる。

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本書の中身をちょっとだけ。私たちが知っておくべきお金のことが、『100村』同様、子供でもわかりやすく書かれています。

―――繰り返しますが、『100人村』から早や15年。子供のころに読んだ人も成人している年月ですね。

池田 「本を作る仕事って怖いなと思ったのは、本は普通に店で売ってる商品なのに、人の人生を変えるんですよね。『100人村』を読んで、大学の進路決めたって人が結構いるんですよ」

担当S 「今回、この本のために協力くださった方もその一人でした。子供のころに読みましたって」

―――そうなんですか! 

池田 「ね、そうやって国際協力NGOや国連の機関でバリバリ働いてたりするわけです。人気のある国際協力NGOだと大卒ぐらいじゃ入れないんですよ。院卒でもまだだめ。アメリカ行って、専門のコースを終了して、ようやくスタートラインに立つ。それぐらいの教育投資ができる家から、ブリリアントな人達が志を持ってどんどん、そっちのほうに行ってる」

―――一冊の本がきっかけで。著者としてはドキドキしちゃいますね。

池田 「怖いよね(笑)。私は団塊の世代なんだけど、英語は会社に入ってから仕事で泣く泣く身につけるものでした。今の若い人たちは、既に片言の英会話ができるって層がすごく分厚い。それでいて私たちみたいに苦労してないのでいじけたところがない(笑)。そうすると、‟そうだ、国際協力だ!”ってどっかの国に行っても、片言は喋れるしオープンマインドだから、半年もすれば英会話は完璧。さらに現地の言葉を自分で現場で覚える。そういうのはもう私らは逆立ちしても勝てない」

―――希望がありますね。

池田 「うん。だからやっぱりね、お育ちがいいっていうか、豊かに育つというのはいいことですよ」

―――素直は利点ですよね。

池田 「ひところはゆとり世代とかゆとり教育とか揶揄してたけど、私はゆとり教育は評価します。それにくわえて、社会基盤が相対的に、団塊の世代より豊かになったっていうのが大きいと思います。だから、ブリリアントな才能を持って‟今度ホンジュラスに行くんです”って目をキラキラさせて言う若い人たちも出てきてる。私は今の日本をそんなに悲観したくないし、悲観したくないってことを自分で形にしないといけない、っていう思いもあってこれを出したんです。形にしておくって大切だと思うんですよ」

―――本という形にして、私みたいにちょっと頭が良くない人が読んでもわかりやすいように。

池田 「でも本当はね、パナマ文書とか出てくる前に出版したかった、出すべきだった本なんですけどね」

―――構想5年でしたもんね…ちょっと遅かったですね(笑)。

池田 「もう手も足もでなかったんですよ。担当編集のSさんの出現でようやくですよ。でも正直言って、この本の中身、100人村になってないですよね(笑)」

―――そうなんですよ。途中から、あれ? 分母が100になってないって(笑)。

池田 「しかも途中から長い文章になってる(笑)」

―――そのおかげで流れがあって読みやすくなってますね。

編集S 「100人村の換算にすると小さな数字になるんですが、‟お腹がすいて死にそうな人は9億人減って8億人“って言われると…」

―――実感がありますよね。だいぶ減ったんだ、でもまだそんなにいるんだって。

池田 「そういえば、井上ひさしさんがご存命のころ、よくしていただいたんですが、会うといつもくだらない話をしてたんですよ。ある日、所得税の最高税率を払ったのはいつか、って話になって」

―――面白そう。

池田 「井上さんは、『吉里吉里人』のときですって」

―――ああやっぱり。

池田 「70%も払ったそうで。私は『ソフィーの世界』の時に、50%強だったの」

―――それも結構すごいですけどね。

池田 「とはいえ、その10年間で20%も違う。もっとも、井上さんが言うには、松本清張さんは、400字詰め原稿用紙の最後2行分だけが松本さんのふところに入ったって(笑)」

―――笑

池田 「松本さんのころは90%とられてたのが、だんだん減ってきてるんだと。私は、井上さんの話は面白すぎるから‟またまた~”とか思ってたら、ピケティの『21世紀の資本論』を読んだら本当でしたね。戦後すぐは日本も、アングロサクソン系の所得税だったので」

―――経済的不平等はなかったとしても、当時のお金持ちの中には、不満をお持ちの人もいたでしょうね。

池田 「でしょうね。だけど、戦後の焼け野原だったから、ここで文句言ったらそれこそ袋叩きに遭うって(笑)、そういう感じで来たんだと思う」

―――『吉里吉里人』の「人」ぐらいしか手元に残らなくても(笑)。でも7割か…なんで!? って思っちゃうかな、私だったら。…9割だったら絶対思っちゃうだろうな…。

池田 「でもね、9割までいかなくても7割持ってかれちゃうと、大会社の社長でもそんなに年俸を多くするっていうインセンティブが働かないんですよ。ところが今は税率が低いでしょう。だから大企業はどんどん社長の給料を上げてる」

―――年収10億とかいう噂ですよね。

池田 「税率を昔みたいに戻せばいいのに、あんな首切りとかやって利益を上げたことになって、またCEOの給料が上がるなんて、ちょっとおかしいですよね」

―――しわ寄せは下のほうに来るんですね、どこの会社も。

池田 「おたくの会社は大丈夫?」

―――ひっ。大丈夫ですよ、たぶん(笑)

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池田さん、とっても勉強になりました! 本もまた熟読します!

今週の推し本

世界がもし100人の村だったら お金篇 たった1人の大金持ちと50人の貧しい村人たち
池田 香代子 著 C.ダグラス・ラミス 訳
ページ数:100頁
ISBN:9784838729029
定価:1,080円 (税込)
発売:2017.01.30
ジャンル:文芸
[http://magazineworld.jp/books/paper/2902/]

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