ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

伊藤直也氏・小野和俊氏に聞いた「エンジニア評価」で重要なことは何ですか?

HR課題をテクノロジーで解決するために

「マネージャーの間でエンジニアに対する評価基準がバラバラだ」「どのプロジェクトにどのレベルの人が配置されているかわからない」など、ITエンジニアの評価や配置について悩む企業は多いのではないだろうか。

リクルートキャリアが提供する「CODE.SCORE」は、社内エンジニアのスキルレベルを試験で可視化し、そのデータと人事データや行動ログデータなどと掛け合わせて分析することで、エンジニア組織の状態や課題を可視化するサービス。最近、企業の人事マネジメント領域で注目されている「HR Tech」系サービスの一つである。

2月6日に開かれるセミナー「HR課題をテクノロジーで解決するために、あなたができること」を前に、一休のCTOである伊藤直也氏とセゾン情報システムズCTOの小野和俊氏に、エンジニア評価へのデータ活用の可能性を語り合っていただいた。

左から、一休 CTO 伊藤直也氏、セゾン情報システムズ CTO 小野和俊氏

自己評価を文章化することで、エンジニアの納得感は増す

──「CODE.SCORE」はITエンジニアの実務スキルと共に、組織内で人々がどういうコミュニケーションを行っているかまで可視化するツールです。

お二人ともさまざまな企業でエンジニアをマネジメントされてきた経験がおありなので、こうしたツールへの期待も含めて、エンジニア評価の現状について貴重なご意見がうかがえるのではないかと思います。

まずは、それぞれ現在の会社では、どんな基準や方法でエンジニアを評価されていますか。

小野:アプレッソを含めたセゾン情報グループには約1100人のエンジニアがいますが、私が直接マネジメントをしているのは、セゾン情報システムズでは20人ほど、それにアプレッソのエンジニア30人ほどになります。

いずれは一本化したいと考えていますが、現状ではセゾンとアプレッソでは評価制度が異なります。

セゾンはいわゆるSIerですので、IPA(情報処理推進機構)がやっているITスキル標準(ITSS)のようなシステマティックな基準を使っています。これをやっているとたしかに網羅的に幅広い知識を持つ人材が揃うんですが、反面、何か特殊な技術に突き抜けた人材が育たなかったり、発見できなかったりします。

はたしてこれで競争力のある開発チームが作れるのか、という点では少し心配していて、評価の方法を変えようかなと模索しているところです。

一方、アプレッソは、私が新卒で入ったサン・マイクロシステムズの評価方法を参考に、セゾンとは違う方法でやっています。

技術スキル、臨機応変性、協調性、コミュニケーション、革新性、先進性などの項目をまずは5段階で自己評価し、それを上長とすりあわせるという方法。自己評価は単にグレードを記すだけでなく、そのように評価する理由を文章で書き込むようにしています。

それに対する上長からの評価も、文章で行います。評価会議がまるでブログのトラックバックの応酬みたいになるんです(笑)。

エンジニアって他人からの評価以前に、自分の仕事や技術に対する納得感を重視するもの。言語化することで納得感が得られるから、たとえ上長からの評価と食い違っても、そんなに場は荒れませんね。

株式会社セゾン情報システムズ 常務取締役 CTO 小野 和俊氏
1976年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、サン・マイクロシステムズ株式会社に入社。入社後まもなく米国での開発を経験する。2000年より株式会社アプレッソ代表取締役に就任し、データ連携ミドルウェア「DataSpider」を開発。2002年には「DataSpider 」が SOFTIC ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤーを受賞。2013年3月にはさらなる事業展開を目指し、株式会社セゾン情報システムズの子会社化による資本業務提携を決定。2015年6月より同社取締役CTOに着任する。

評価で最も大切なのは、期待値のすり合わせができること

伊藤:一休のエンジニアは約50人いますが、エンジニアも営業の人も評価制度は一つです。ただ、エンジニアだけは事業部のマネージャーと、エンジニア組織のマネージャーにダブルレポート、つまり2人が評価するようにしています。やはりエンジニアの評価は、エンジニア出身でないとわからないところがあるからです。

基本的には四半期ごとの目標管理が主体で、OKR(Objectives and Key Results)のようなツールも使いながら、会社のミッションから個人のミッションにブレイクダウンしていますが、やり方はなんでもいいと考えています。

重要なことは仕事をお願いしたい人とお願いされる側の間で、期待値のズレがなく、かつそのすりあわせができること。目標管理はあくまでもそのツールの一つにすぎない思います。たいてい人間って、自分は評価が高いと思い込んでいる。それが数字で、自分が思うほどではないと示されると、自己否定を迫られることになります。

評価って、数字を示して自己否定を迫るためにやるわけではない。互いの期待値のズレをすりあわせることで、その人のモチベーションを上げてもらうためにやるものですから。

株式会社 一休 執行役員CTO システム本部長 伊藤 直也氏
1977年生まれ。青山学院大学大学院博士課程前期修了後、新卒で株式会社ニフティに入社し、ブログサービス「ココログ」を開発。その後はてなの取締役CTOに就任。はてなブックマークの開発等、同社サービス開発をリード。グリー統括部長を経てフリーランスとして活動。Kaizen Platform, Inc.、株式会社一休、 日本経済新聞社、ハウテレビジョンほか複数社の技術顧問/技術アドバイザーを務めた。2016年4月、ホテル・旅館・レストランの大手予約サイト「一休」に執行役員CTOとして就任。

エンジニアは「風林火山」が必要。だからこそ、評価は多様であるべき

1 2 3 4次のページ
CodeIQ MAGAZINEの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。