生きた証を、預ける場所。瀬戸内にある「心臓音のアーカイブ」とは


瀬戸内海に、世界中の人の心臓音が預けられている場所があります。その数、なんと約20,000人。世界中の人が心臓音を預ける、ちょっと怖くて、ちょっと不思議な場所への旅はいかがですか?
場所は、瀬戸内海に浮かぶ「豊島」

その場所は、瀬戸内海に浮かぶ、豊島という島です。豊島には、高松や岡山から船で行くことができます。
穏やかな海と、豊かな自然が豊富な島で、写真の棚田は絶景ポイントとして有名です。
なぜこの場所に?

この場所は、実はフランス人のアーティスト、クリスチャン・ボルタンスキー氏による作品なんです。同氏は2008年頃から、心臓音を集め始めているそう。
瀬戸内国際芸術祭など、アートが盛んなこの場所に、この作品1つだけを展示するための美術館として豊島に建てられました。
自分が死んだ後も、生きていた証の音は生き続ける、というアート作品

photo by pixabay
登録された心臓音は、永久保存され、この場所でいつでも聞くことができます。私も実際に聞いてきましたが、人によって、音や鼓動のスピードが本当に全く違くて、面白かったです。よくテレビとかで聞く、心臓音の効果音とは、全然違かったです。
ただ、私の聞いた心臓の持ち主は、まだ生きているなのか、もうこの世にはいない人なのかは、分かりません。それがまた、聞きながら不思議な気分にさせてくれます。
いつでも誰でも、心臓音を預けることができます

自分の心臓音も、この場所が開いていればいつでも採録できます。登録料は1,500円ほど。採録した心臓音をCDブックレットにして持ち帰ることができ、登録された心臓音は永久保存され、この場所でいつでも聞くことができます。
私が行った時にはドイツから来た家族が、登録をしていました。登録者は日々どんどんと増えているそうです。
実際に行ってきました

photo by kaori
2016年10月、実際に行ってきました。その時の感想をお伝えします。(道中の写真はすっかり撮りそびれてしまっていたので、色んな人のInstagramからお借りしています)
心臓音のアーカイブは、最寄の唐戸港からも少し遠い場所にあり、車で行くことができません。芸術祭開催中で賑わっていた港を離れ、20~30分程ゆっくり歩いて行きます。
民家も減って、どんどん人気がなくなっていきます。
さかもと まさこさん(@mmm_chi)が投稿した写真 – 2016 11月 28 6:37午後 PST
ひたすら、何も無い道を歩きます。途中でこんなバスケットゴールにも出会いました(こちらもアート作品です)。
なおこさん(@vnknunpsc)が投稿した写真 – 2016 10月 22 11:04午後 PDT
途中に、チケットが海苔の美術館もありました。海苔工場を改装したらしく、とてもかわいらしい美術館でした。
そんな寄り道をしながらも、ひたすら歩きます。今まで作品の場所がわかりやすく看板も立っていたので、この道であっているのかちょっと不安になります。
実際に、近くを歩いていたマダムも不安になっていたようで、一本道なのに道を尋ねられたりもしました。
Lara-Noelle Maedaさん(@lnr_chang)が投稿した写真 – 2016 11月 8 1:30午前 PST
そのまま歩いていくと、アスファルトではなく、砂利道に。木々の生い茂る中をさらに歩きます。
わたなべさん。さん(@_______waco)が投稿した写真 – 2016 11月 1 11:59午前 PDT
再び海が見えたかと思うと、その先にアーカイブがありました。たどり着いたには、波の音しか聞こえない、静かな静かな浜辺。そこに、ぽつんと建った黒い小屋がひとつ。
ここが、心臓音のアーカイブです。
Yuuuki Tさん(@yuuki.tt)が投稿した写真 – 2016 11月 1 7:30午後 PDT
寂しくて、でもとても美しくて穏やかな気持ちになれる場所で。死の先の世界ってこういうところなのかな、という気持ちにさせられました。
施設内はインスタレーションが展示されている「ハートルーム」、希望者の心臓音を採録する「レコーディングルーム」、世界中から集められた心臓音をパソコンで検索して聴くことができる「リスニングルーム」の3つの部屋で構成されています。(公式サイトから引用)
アートスペースは撮影禁止とのことで写真は撮っていませんが、真っ暗でちょっと怖いハートルームでは、ランダムに世界中の人の心臓音が流れています。真っ暗な部屋に猛々しい心臓音が響く空間は思っていた以上にインパクトがあって、とても見ごたえがありました。
chenxchenxxさん(@chenxchenxx)が投稿した写真 – 2016 11月 4 10:17午後 PDT
リスニングルームは、目の前の窓から見える、海にぽっかりと浮かんだ瀬戸内の島々を見ながら、世界中の心臓音が聞けます。
国や名前などから聞きたい心臓音を選んだり、ランダムに誰かの心臓音を聞くことも可能。一人一人の心臓音がびっくりするほど違くて、生きるってこんなに違うことなんだな、ということを考えました。
omata erina | 尾又 絵理菜さん(@erinaomata)が投稿した写真 – 2016 10月 27 3:50午後 PDT
自分の心臓音を録音すると、このようなブックレットになって持ち帰ることができます。皆さんも自分の生きた証を残してみてはいかがでしょうか。
アート作品というと、創られたものという印象を受けるかもしれませんが、この場所はまるでもっともっと昔からこの場所にあるような、在るべくしてこの場所に出来たとしかと思えないくらい、周りの静けさと、この作品の持つ雰囲気の組み合わせが絶妙でした。
静かに、生と死について考えられるような場所。そして、自分の証を残せる場所。この先の空間体験は、是非、実際に訪れて体感してみて下さい。
関連記事リンク(外部サイト)
2年後のW杯までに訪れたい!今年「FIFA World Football Museum」がスイスにオープン
バルセロナ旅行で行きたい観光スポット7選
今年のシルバーウィークどこ行く?イチオシのおすすめは金沢なんです!
0円観光が出来る工場・博物館8選
スキマ時間にどうぞ!

「TABIPPO.NET」は、旅人のネットワークを活用して世界一周や世界遺産・絶景、海外旅行のハウツー情報などを発信しているメディアです。世界一周経験者や旅人が自身の経験を元にコンテンツメイクしていくことで、これから旅をしたい人の背中を押す情報を信頼性・希少性を突き詰めて発信しています。
ウェブサイト: http://tabippo.net/
TwitterID: TABIPPO
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。