TPP反対の中野剛志 グローバル化を喜ぶ人は「ほとんど反民主主義者」
政府が交渉参加を表明しているTPP(環太平洋連携協定)を批判し、ネットを中心に一躍”時の人”となった京都大学の中野剛志准教授。だが中野氏は、TPPはあくまで氷山の一角であり、真の問題は「グローバル資本主義」そのものだと言う――。2011年12月22日、「ニコ生トークセッション『グローバル恐慌の真相』中野剛志×柴山桂太」で、中野氏と滋賀大学・柴山桂太准教授がTPP問題の背後にあるという”暴走するグローバル資本主義”について語った。
「くたばれグローバル資本主義」とは中野氏が官僚時代から”座右の銘”としてきた言葉だが、柴田氏は「すでにくたばり始めている」と認識しているという。「『これからはグローバル化の時代』と言われ続け、経済学者もそれに同調してきた。それが何の矛盾も混乱もなく進んでいくのであればいいが、この先グローバル経済全体はバラ色の未来ではなく、むしろあちこちで混乱や亀裂が生じていく。とりわけ2008年のリーマンショク以降はそうした傾向がどんどん出始めている」との見方を示す。
これに中野氏は、「国ごとに自分たちのルールを作れない、グローバルに合わせなければいけないとなれば、民主主義はどうなるのか。『グローバル資本主義は民主主義の敵だ』という議論がある」と示し、「グローバル化によって『国家主権・支配』の及ばない領域ができるため、”国家”は古くなるとされ、日本では妙に歓迎ムードだが、民主国家においては国家主権とは国民主権のこと」とした上で、
「国民主権が届かないところができるというのを喜んでいるというのは、ほとんど反民主主義者」
と主張する。
中野氏はまた、「グローバルに国家の多様性をやめてひとつのルールにするといっても、世界政府がない以上、そのルールは国家間の外交で作る。(そなれば)結局、外交が強いほうのルールに従う。ありていに言えば皆、アメリカのルールになる」と語り、「日本には、アメリカに前面に出てきてほしい人がいっぱいいるようだ」と指摘する。
この点については柴山氏も、「アメリカは国民主権を捨てる気など毛頭ないが、日本は捨てる気満々のようで、『アメリカ主導の中に入っていけばいいじゃないか』という世の中になっているのは問題」と頷いた。そして、「TPPは氷山の一角」であり、現在ありとあらゆるところで日本のルールを変えようという動きが起こっていると指摘した。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 「くたばれグローバル資本主義」から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv74155937?po=news&ref=news#09:20
(尾前孝之)
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