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近頃、ちょっと気になるあの本、この本 #3

新しい年のはじまりに、13日かけて読んでほしい。
トリビュート短篇集『100万分の1回のねこ』

 Text/Miiki Sugita

—「でも、ママが泣くもんねぇ」
3歳の娘にこの絵本を進めると、決まってこう言われる。
佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』だ。
大好きで、子どもの頃から何回も読んでいるけれど、その頃よりもずっとずっと泣いてしまう。こんなに泣いてしまう理由は、きちんとはわからない。
それは、私が29年生きたからかもしれないし、まだ1回も死んでいないからかもしれない。

ねこは、いろんなねこだった。王様のねこだった頃、サーカスのねこだった頃、船乗りのねこだった頃、泥棒のねこだった頃、女の子のねこだった頃、おばあさんのねこだった頃、そして、誰のねこでもなかった頃。7回のお話は知っているけれど、なんせねこは100万回も生きたのだ。7回以外のほかのお話は、どうだったのだろう。それは、もしかすると、こんな人生だったのかもしれない。(この場合猫生というのが正しいのかもしれないが)
 


『100万分の1回のねこ』

1年のスタートの1月に読みたい本を、と思い、この本を選んだ。
江國香織で始まり、谷川俊太郎で終わる100万回生きたねこの、100万分の13の物語。
三が日は過ぎたけど、なんとなく、まだ日常が回り出していない頃に、「あぁ、1年始まったんだなあ。またひとつ、歳をとるんだなあ」とぼんやり思う真夜中や、あるいは明け方に、この本を読んでほしい。 1作目の「生きる気まんまんだった女の子の話」を読んで、私はやっぱり泣いてしまった。そして、1日に読むのは、ひとつのお話だけにしようと決めた。
誰も2つの人生を一度には生きられないのと同じように、
1日が、1回の人生に1度きりの、何日分の1であるのと同じように、
その1日は、そのねこの、その人生に思いを馳せたいと思ったからだ。

「だって、誰かをコッコロから好きになっちゃたりしたら身の破滅だもの。孤独が大事なの。知ってるでしょう? 百万回も死んで、百万回も生きた立派なトラ猫の話を。あの猫は、王様のことも船乗りのことも、おばあさんのことも子供のことも、好きにならなかったからあんなに何度も生きられたのよ」
そう言って、生きる気まんまんで人生を生きた女の子。

その頃ねこは、生きる気まんまんの女の子のねこでした。

100万分の1回のねこ/講談社

出典:She magizine

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