社内で「PDCA」がうまく回らない理由TOP5

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ビジネスでは「PDCAが基本だ」と言われます。しかし、“しっかり回せている”と胸を張れる人や、“ぐるぐる回せている”と言い切れる企業はどのくらいいるのでしょうか。

私は数多くの企業でマーケティングに携わってきましたが、なかなかPDCAが回らない企業がほとんどでした。ただ、「回っていない理由」というのはよく考えると企業によって異なっていたのです。

何ごともそうですが、「まずは現状を理解する」というところから始めるのが大事ではないかと思います。そこで今回は、PDCAが回らない理由で多いものをランキング形式で発表しながら解説をしていきたいと思います。

※なお、このランキングは、これまで携わった400社以上の担当者様にお話しを聞きながら集計したものです。

【第5位】社内変革における抵抗勢力がいる

いきなり重々しい展開から始まりましたが、「抵抗勢力」が存在するというのが第5位です。特に大企業などで見かけるのですが、ある部で推進している業務改善を、対立する部署が邪魔してくる、というような動きですね。

詳しく調べてみると、部長同士が犬猿の仲だったり、派閥のようなもの存在したりする、いわゆる「社内政治」的なものがPDCAの回転を止めていたりするのです。

ドラマであれば面白く見れますが、実際に働いている人からすると、たまったものじゃありません。こういうのは本当にくだらないですし本質的ではありませんので一刻も早くやめるべきと思います。

また、抵抗勢力というのは一人一人の心の中にもあったりします。「改善なんてしなくてもいい」「別に今のままでもいいじゃないか」という気持ちを誰しも少なからず持っています。これを心理学で「現状維持バイアス」と呼ぶそうです。

この「現状維持バイアス」が強い人ほど、腰が重くて新しいことに対応しにくくなってしまっているわけです。

【第4位】計画(PLAN)を立てていない

目的地に行くために地図が必要なように、ビジネスをするうえでは「計画」が必要です。この「計画」において欠くことのできないのが目標であり、もう少し細分化しますと、最終的なゴールを指す「KGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)」や、そのKGIを達成するために細分化された指標の「KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)」を設定すべきと言えます。

しかし、これらの指標が全く設定されないまま仕事を進めているケースが散見されるのです。例えば毎日必死に仕事をしている人に「この仕事の目標数値はなんですか?」と聞いても「いえ、ちょっとそういうのはよく分からないです…」と答えられないのです。

ゴールも分からずに走っていては、到底ゴールにたどり着くことはできません。これでは、成果を挙げることは難しいと言えるでしょう。

また、同じ目標でも「“できる目標”を立ててしまっている」というケースもあります。これはどういうことかと言いますと、企業内の「人事評価制度」が影響しているのです。

人事評価制度では期初に目標を設定し、期が終わるころに上司と面談をして振り返ります。私も若手の頃に経験がありますが、期初に目標を設定する際、「あまり高い目標を設定して達成できないと、ボーナスが下がってしまうなぁ」などと考えて、なんとなく「できる目標」を立ててしまうというわけです。

これは長期的に考えると非常にもったいないことです。目先のボーナスにフォーカスしてしまい、将来的な自分の成長を阻害してしまっているわけですから。

【第3位】個々の実行(DO)のクオリティが低い

PDCAにおける「DO」においては、「ただ実行するだけだろう」と思われるかも知れません。しかし、同じ「DO」でも、人によって違いがあるのが現実です。同じ仕事をさせても早い人もいれば遅い人もいて、丁寧な人もいれば雑な人もいます。

ビジネスパーソンとしては、やはり速くて質の高い仕事を目指さなければいけません。そのためにも、自分自身に何が足りないのか、どこがボトルネックになっているかを自覚しなければいけないのです。

DOのクオリティが低い人というのは、得てして“自分自身のことを分かっていない”という人が多いように思います。

【第2位】改善(ACTION)をしようとしていない

PDCAにおいて「ACTION」は非常に重要なファクターです。これをするためにPDCAサイクルを回している、と言っても過言ではありません。しかし、そもそもACTIONをしようとしていない企業が多すぎるのです。

ご自身の仕事のやり方を思い出していただきたいのですが、「毎年同じ仕事のやり方をしている」という人は「ACTIONができていない」ということになります。ACTIONというのは細かな改善ですから、これをやっていれば必ず変化していくはずなのです。

そもそも、PDCAサイクルを単なる「円」と捉えてはいけません。サイクルとは名づけられていますが、ただの円ではなく“らせん階段”のようなものです。上から見れば円ですが、実際は“らせん階段”を駆け上がるように、どんどん上に上昇していくものなのです。

つまり、同じ場所を通ることはありません。ですから同じやり方が続いてしまっているようなら「ACTIONができていないな」と自覚しなければならないのです。

【第1位】検証(CHECK)をしていない

いよいよ第1位ですが、最も多いのは「CHECK」の不足です。計画は立て、実行はするけれど、振り返りをしない。そんな企業が非常に多く存在します。

マーケティングの世界では、CHECKの足りない企業を「PD病」などと揶揄するマーケターもいるくらい、蔓延してしまっているのが現状です。

自分たちがやったことは常に振り返らなければなりません。やったことがどうだったのか、目標とのギャップも見なければいけません。しかし、そもそもそういった「振り返りの機会」を持っていない企業が多いことに驚かされます。

成長する企業というのは、この振り返りの機会を非常に重要視しています。また、振り返りの機会の優先順位を高くしてスケジュールに必ず組み込んでいます。振り返りをするからこそ、次のACTIONに繋げることができるのです。

Facebookの創業者であるマーク・ザッカーバーグも、毎日自分の仕事を振り返ることで有名です。「僕が今日やったことは最善だっただろうか」と毎日毎日必ず振り返りの機会を設けているのだそうです。だからこそ、世界に広がる急成長のサービスを生み出すことができたのではないかと思います。

最後に

ランキングを見ていかがでしたでしょうか。ご自身の職場や自分自身はどこかに当てはまったでしょうか。

ぜひともPDCAサイクルを改めて見つめ直していただき、自分たちに足りない部分を理解しましょう。そして「その部分の流れをよくするには何をすればいいのか」「いま自分にできることは何か」と考えていきましょう。

「忙しい、忙しい」と日々の仕事に流されているだけではいつまでも変わりません。ぜひPDCAをしっかり回して、らせん階段を駆け上がっていきましょう。

【プロフィール】

原マサヒコ(ハラ・マサヒコ)

株式会社プラスドライブ代表取締役CEO

神奈川トヨタ自動車にメカニックとして入社後、技術力を競う「技能オリンピック」に最年少優勝。カイゼンのアイデアを競う「アイデアツールコンテスト」では2年連続全国大会出場を果たすなど活躍。

IT業界へ転身すると、PCサポートを担当したデルコンピュータでは「5年連続顧客満足度No.1」に貢献。その後WEBマーケターとして一部上場企業を中心に成果を出し続け、2015年3月に株式会社プラスドライブを設立。

ソーシャルメディアを中心としたマーケティングにより、クライアント先のマーケティング施策の推進を図りPDCAサイクルを回し続けている。また、SMBCコンサルティングをはじめPDCAに関する講演依頼が後を絶たず、全国を飛び回っている。

著書に『トヨタの自分で考える力』(ダイヤモンド社)、『まんがで身につくPDCA』(あさ出版)、『トヨタで学んだ自分を変えるすごい時短術』(かんき出版)などがある。

原マサヒコ公式サイト:http://www.haramasahiko.com

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