一個からLSIを作成できるコンセプト提案 ファブシステム研究会

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今までLSIと言うと大量生産が当たり前でした

コンピュータやデジタルガジェットを動かすのに必須な部品、それは“LSI”です。LSIは大規模な回路を非常に小型にまとめることができますが、大量生産が必須でした。同じような“LSI”を作成して似たような機器で使いまわす事が常識でした。極端な話をすると『iPod』も『ウォークマン』も、多くのLSIが搭載されている機器も、もしかしたら同じLSIが使われている可能性があります。ここで言えることは『iPod』も専用のLSIばかりでなく汎用品の部品を組み合わせて使っているということです。LSIメーカーがいろいろな目的に使える製品を出して、いろいろな会社がそれらを組み合わせて製品とします。このため、LSI同士を組み合わせたり、独自性を出すために回路を取り付けたりします。

新コンセプトのキーはハーフインチウェハ

LSIを作成するには現在では12インチのウェハと呼ばれる基盤を使用しています。その基盤に同じ回路を焼き付けて大量に製作します。このため、大量生産をベースとした生産体制でした。しかし、ハーフインチウェハを使って制作を行えば、一個からLSIを作成することができます。このため用途に限定した専用品を作ることが可能です。このことにより更なる小型化と高性能化、バッテリーの消費を減らすことが可能になります。

このコンセプトは『ファブシステム研究会』が多くの企業や大学と協働しています。まだ研究段階ですが、一部は稼働可能で『2011セミコン・ジャパン』ではリソグラフィー工程(リソ工程)のデモを見本市会場で行いました。これは世界初とのことです。

LSI工場でのハーフインチウェハの利点

LSI工場と言うと白衣を着た人が特殊な“クリーンルーム”で働くというイメージがあります。“クリーンルーム”は埃がない部屋ですが、決して人間的に快適な部屋ではありません。あの白衣は埃を吸わない材質でできており、通気性が非常に悪く不快です。

しかし、ハーフインチウェハの設備は“クリーンルーム”が不要です。作業員は普通の作業服やカジュアルな服でも作業を問題なくできます。広さも20×20メートルの部屋で可能。電源も100Vがそのまま使えるので、快適な空調が効いた部屋に設置して快適に作業が行えます。

アイデア次第で新しいガジェットが生まれます

現在ではスマートフォンアプリなどを手軽に作ることができ、アイデア次第では個人でも面白い製品がリリースできます。しかし、ハードウェアについてはある程度大きな会社でなければ参入できませんでした。ハーフインチウェハにより一個からLSIが作成可能になることで、アイデアがあれば誰でもLSIを作ることができるようになり、面白いハードウェア製品が登場する日もそう遠くないのかもしれません。

「一個からLSIを作成可能 Minimal ファブシステム研究会」『YouTube』(http://youtu.be/Lh_ybpToFAo)

※この記事はガジェ通ウェブライターの「じへい」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
普段は動画を使ってガジェットや食品のレビューを行なっています。 人が思いつかない切り口でレビューや紹介を行なっています。 ネタ探しのために自己資金を使って出張取材も最近は多いです。

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