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〜Vol.9〜 世界の経済をもっと自由に活発に。様々な挑戦をしてきたAPEC。

〜Vol.9〜 世界の経済をもっと自由に活発に。様々な挑戦をしてきたAPEC。

今回取り上げるのはAPEC(Asia Pacific Economic Cooperation アジア太平洋経済協力)。アジア太平洋地域の21の国と地域が参加する経済協力の形です。今年11月19日・20日には、ペルー共和国で首脳会議が行われました。国内の省庁の要望を聞きながらAPEC首脳宣言のとりまとめの一翼を担った川上あずささんにAPECについて詳しいことを聞きました。

ビジネスマン必携!加入している国・地域への渡航にはビザがいらない?これもAPECの取組です。

【2016年ペルーAPEC会場の様子】

「APEC」と聞くと教科書に載っている、なんとなく難しい単語だと感じるかもしれません。でも、APECそれ自体はとても自由で挑戦的な取組の姿なのです。21に及ぶ国と地域が協力してお互いの経済を活発化させるために、自由な貿易を行ったり、新しいビジネスを発展させるために、発足しました。数々のチャレンジをしてきましたが、ここでお伝えしたいのは、APECビジネス・トラベル・カード(ABTC)。このカードはアメリカとカナダを除くAPECに参加している国と地域に、短期間、ビジネス目的であればビザなしで渡航できるもの。ビジネス目的の移動が自由に、もっと早くなることで現地での視察や商談をスムーズに行うことができ、経済活動をより活発にしているのです。外務省は、日本企業の海外進出を支援していますが、ABTCはその有力なツールです。私も,民間企業に就職した友人に会う度にカードの取得を勧めています(笑)。

2016年のテーマは、「質の高い成長と人間開発」。日本が訴えたのは自由貿易の重要性。

【APEC首脳会議の様子】(首相官邸ホームページより)

今年2016年の11月19日、20日にはAPEC首脳会議がペルーで開催されました。今回のテーマは「質の高い成長と人間開発」。このテーマに合わせて21の国・地域のリーダーが一堂に会して、今後の世界経済,貿易や投資のあり方について話し合うのです。貧困削減や開発協力も大きなテーマの一つです。中でも,今回の会議は,自由貿易の推進が大きなテーマとなりました。日本からは、自由貿易の重要性をリーダー間で改めて確認することの必要性に加え、「一億総活躍社会」の実現や女性の活躍促進など日本の取組を例に出しつつ、自由貿易と車の両輪で進めている包括的な経済を実現するための施策を紹介しました。日本の取組や考え方を積極的に発信することで、国際的な経済分野の議論をリードできたと考えています。これもまた重要な外交の1シーンです。

発言のために国内の意見をまとめても、今度はペルーとの時差が立ちはだかる。

スムーズに進んでいるように見えて、この裏では本当に大変でした(笑)。私は国内の省庁での調整をメインで行っていましたが、なかなか簡単にはいきません。各省庁が伝えたいこと、外務省が伝えたいことが合わないこともあります。時間も限られている中,各省庁も必死。私も必死です。首脳宣言に盛り込むべき項目は何か、内容を整理し、それを具体的な言葉に落とし込み、国内省庁と調整を行った上で,首脳会議が行われる現地(ペルー)へ送るのです。もちろん送って終わりではありません。ペルーに出張した職員からの質問を,各省庁に聞いた上で返す。通常でも大変な作業なのに、加えて問題なのが「14時間の時差」。向こうのオフィスタイムは、日本で夜。日本時間で22時に来た質問を朝6時までに返答しなければならない…、ということも少なくありませんでした。

未来のビジネスを作るAPEC。将来には、もっと身近な存在になるかも。

【次回ベトナムAPECのロゴ】

このようにAPECの活動を積み上げてきた結果として、アジア太平洋地域の貿易が一層自由にまた活発になってきました。例えば洋楽のCDが日本国内で海外と同じような値段で買えるのも、海外産のアボカドが安く食べられるようになるのも、これらの会議を重ねた結果でもあるのです。国際会議と聞くと、少し距離があるように見えますが、私達の生活に直に関わっています。将来、みなさんが社会人になったら、ビジネスとしてAPECの参加国や地域に出張に行くかもしれません。そのときは、きっとAPECビジネス・トラベル・カードを手にしていることでしょう。このように世界でのビジネスの輪を広げているのが、APECです。毎年、未来に向かって挑戦しています。来年の首脳会議はベトナム。すでにもう会議が始まっています。私も今まで以上に積極的に関わっていきます。こんな風に世界を動かしながら「歴史」に立ち会える仕事ができるのも外務省ならではの仕事だと思います。

川上さんの受験必勝法

少し変わっていますが、効果的な勉強方法があるのでお伝えします。ポイントは「場所と体をフル活用」すること。まずは覚えたいことやその流れを書き込んだ紙を、部屋の壁一面にはります。この壁を1週間単位で覚えていくのです。初めは壁の右から、今度は左から、次は体を動かしながら、さらに踊りながら…。このように体を使って覚えていくことで、テスト本番中は目を閉じるだけで、「これは、窓際にあった単語だ!」とすぐに思い出せるのです。少し大変ですが、抜群に効果的でした。その他にも、公園を一周しながら覚えるなど頭だけじゃなくて体を使うことで、覚えられる量が格段に増えます。よかったら試してみてくださいね。

高校生のみなさんへ

【学生時代に訪れたパキスタン。難民キャンプで平和構築への思いが生まれた。】

「日本以外の世界が見たい!」と地元からアメリカのフロリダに留学したのは高校2年生のときでした。現地では私が、たった一人の日本人。沢山のカルチャーショックがありました。その1つがホストファミリーに言われたことです。「あなたの人を思いやる気持ちは、きっと日本人だからなのね」という言葉。私が「日本人」の代表になることもあるんだ、と気づいた瞬間でした。どんなときも誰かが自分のことを見ていてくれているのです。私は猛勉強を重ね大学を3年で卒業したのですが、その経験は「頑張った証」と外務省の面接でも評価されました。もしかしたらみなさんは、受験など勉強で苦しんでいる最中かもしれません。でも、きっと未来の誰かが「頑張った証」と認めてくれるはずです。大変なことも多いと思いますが、楽しみながら頑張ってください。

APEC特製の文房具セット

今回のAPECで配られた文房具グッズです。内容は書類ケースやペン、ホチキスなど細かくかっこよく作られています。今回は議長を務めたペルーの文房具セットでした。私が国際会議に関わった初めての案件になるので思い出の品でもあります。 プロフィール

川上 あずさ

外務省 経済局アジア太平洋経済協力(APEC)室

2016年外務省入省

高校2年生の留学をきっかけに外交官に興味を持ち大学へ進学。大学1年生の時に行ったパキスタンで難民キャンプの現状に衝撃を受け、平和構築のスペシャリストを志す。大学は法学部。入管法を学び3年で卒業後、2016年入省。南西アジア課勤務を経て、現職。次に留学及び駐在する予定のスリランカでは、平和構築の調査をしたいとのこと。

バックナンバー 〜Vol.8〜 日本が加盟してから、60周年。日本と国際連合のつながり方。 〜Vol.7〜 ASEANの経済成長のため、共に汗をかいてきた日本の開発協力 〜Vol.6〜 2030年までに、世界から貧困をなくそう。世界193カ国でとりくむSDGsとは? 〜Vol.5〜 2020年の東京大会へ向けて、スポーツで世界とつながるということ。 〜Vol.4〜 日本と巨大なアフリカが話し合う、アフリカ開発会議(TICAD)とは。

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