名物は駅弁ならぬ“駅パン”! 駅長自らパンを焼く「駅舎工房モン・ファボリ」【兵庫県北条鉄道】
美人駅長がパンを焼く駅がある
私、以前は鉄道もパンも知らない普通の主婦だったんです。そんな私がまさか駅長に、そしてパン職人になるなんて、思ってもみなかったですね。
北条鉄道「法華口」(ほっけぐち)駅のボランティア駅長、北垣美也子さんは、そう言いました。
こんにちは。
パンに目がないメシ通レポーターの放送作家、吉村智樹です。
いつも「どこかにおいしいパンを焼くお店はないか~?」と、鼻をふがふがさせながら街をさまよっています。
そんな僕がおすすめしたい、一軒のおいしいパン屋さんがあります。
そしてそのパン屋さんは、駅からとても近い場所にある、いや「駅そのもの」なのです。
今日はみなさんを、グランド・パン食う・レイルロードな旅へとご案内いたしましょう。
創立100年を超える木造駅舎
僕が乗車したのは、兵庫県加西市ののどかな野里を走る単線のローカル鉄道「北条鉄道」。
▲一両の車両が田園風景をゆっくりと走る、第三セクター方式の北条鉄道。全国で初めて旅客用の車両に廃油燃料が使用された
加西市は清酒の原料となる酒米「山田錦」の産地として知られる田園地帯。
わずか一両の愛らしいディーゼルカーが田んぼのあぜ道に沿ってとろとろと走る。
その姿は郷愁を誘い、見知らぬ土地なのにふるさとへの帰途についているかのような懐かしい気持ちになります。
休日のぼんやりワンデイトリップにうってつけの路線でしょう。
▲酒米「山田錦」の産地として知られ、車窓から見える風景は一面に田んぼだ
▲北条鉄道は「枕木応援団」という制度を取り入れている。1口 4,500円で名前とメッセージ入りのプレートを作成し、3年間、枕木に取り付けられる
目指すは「法華口」駅。
▲2012年11月にボランティア駅長が着任するまで無人駅だった法華口駅
「法華口」駅は大正4年建設という歴史ある木造駅舎。
今年で創設101年になり、平成26年に「国登録有形文化財」に認定されました。
文字が右から記されたレトロな駅名標もいまだに現存しており、貴重かつ味わい深い風景が随所に。
▲駅名が右から表記されていた形跡がうっすら残っている
▲北条鉄道は兵庫県小野市の粟生(あお)駅から加西市の北条町駅までの8駅13.6kmを22分で結ぶローカルミニ鉄道
平成25年には、大工さんから高さ7メートルもの地元にゆかりのある「三重塔」の模型が寄贈されました。
▲駅のそばに建ち、素通りを許さないインパクトを放つ三十塔。これはここ「法華口」駅近くにある西国二十六番札所「法華山一乗寺」にある国宝三重塔を模した、言わば木製のフィギュア
▲まるで遠くにあるかに見える三重塔
▲「法華と言う駅に降りたら塔に逢う こころ晴れるや澄み渡る空」という歌碑も添えられた
その光景はなんとも幻妖で、さらに非日常な旅情をかきたてます。
りりしい姿が鉄道ファンを魅了
車両が「法華口」駅のプラットホームへ進み入ると、今回の主役である同市在住の駅長・北垣美也子さん(40歳)が、すでにスタンバイ。
▲車両が駅へ入ると、すでに女性駅長、北垣美也子さんが敬礼して待っていた
北垣さんは出勤日にはこうして、発着の際にホームに立ち、上り下りを問わず「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」と乗降客を出迎え、見送ってくれるのです。
車両が見えなくなるまで笑顔で手を振る立ち姿のりりしさは鉄道ファンのあいだに口コミで広がり、その姿をひと目拝もうと、全国各地から多くのファンが訪れるようになりました。
▲車両が見えなくなるまで手を振り続ける北垣駅長
それにつけても、駅長さん自ら乗客を見送る駅って、日本中を探してもめったにないと思うのですが、なぜそうするようになったのですか?
飛行場で飛行機を誘導している人の姿を見て、これを鉄道にも取り入れてみたらいいんじゃないかな、と思って始めました。最初はすごく恥ずかしかったんですが、お客さんが手を振り返してくださったり、停車するごとに運転手さんが声をかけてくれたり、これまではなかった新たな交流のきっかけになっていて、いまは始めてよかったなと思っています。(北垣美也子駅長)
なんと、プラットホームでの優美なふるまいのルーツが航空機誘導員の手信号にあったとは驚きです。
▲停車時間に運転士と駅長が笑顔を交わす。北条鉄道には女性運転士が3名おり、このつかの間が女子どうしのコミュニケーションタイムとなる
駅舎がそのまんまパン工房!
そして驚くべきはもうひとつ、この「法華口」駅が“パン工房と一体化”しているユニークな駅であること。
▲駅の入り口は、パン屋さん「駅舎工房モン・ファボリ」の入り口でもある
そう、駅長の北垣さんは駅舎内でパンを焼く職人でもあるのです。
▲駅長とパン職人のふたつの顔を持つ北垣さん
▲これが駅舎内の光景だとはにわかに信じがたい
▲午前10時オープンへ向け、続々とパンが焼きあがる
▲駅長であり、パン職人であり、売り子でもある北垣さん
▲駅舎内におよそ20種類のできたてパンが並ぶ。乗降客は調理の様子も見ることができる
▲オープンと同時にパンを求めるお客さんが駅に押し寄せる。もちろん乗車せずとも購入可能
▲かつて券売窓口だったところからもパンが手渡される
さらに注目すべきは、ここで焼かれるパンは小麦粉ではなく米粉でつくられていること。
「駅と合体したパン工房は米粉パンの専門店で、それを焼いているのは女性の駅長さん」というレアケースの怒涛の目白押しで、もうどの事柄から攻めてよいやら迷ってしまいます。
新鮮な地元食材がぎっしり
平成24年11月にオープンした「駅舎工房 Mon Favori モン・ファボリ」(フランス語で“私のお気に入り”の意味)。
ここ加西市産の米粉と地域食材をふんだんに使った、こだわりのパン工房。
駅舎そのものがパン工房という、言わば究極のオープンキッチン。
そして風情のある木造の待合室はそのままカフェ風のイートインスペースになるという、珍しいだけではなく、かなり合理的なつくり。
待合室には、パンを焼くいい香りが漂っています。
▲待合室はそのままカフェ的なイートインスペースに
▲陽当たり良好な待合室
▲イートインスペース(待合室)にはプラレールが走行
▲北垣さんはこのプラレールを眺めている時間がほっとするのだそう
駅舎の窓口にはおよそ20種類のパンが並び、その多くに地元で採れたフレッシュな食材がふんだんに使われています。
沿線の景勝地に見立てた抹茶生地のくるみパン「笠松山」(170円)などレギュラーメニューもさることながら、お楽しみは北垣さんが旬の食材をアレンジした「本日の気まぐれ駅長サンド(380円~)&週末のスープ(300円~)」。
※ 以下紹介するパンは一期一会。常時あるわけではありません。内容も値段もその日によって異なります。
▲抹茶生地のくるみパン「笠松山」(170円)。北条鉄道の沿線に「加西アルプス」と呼ばれる連峰があり、笠松山はその一端。岩肌のごつごつ感をくるみで表現した
▲平飼い卵「さとらん」を使ったタルタルソースを添えるフライサンド。揚げ物は白身魚や牡蠣など、その日の旬を。レモン汁を効かせ、さっぱりと
▲地元産の旬のフルーツをたっぷりのせた「さとらん・でせーる」(280円)。使うフルーツはその日によって異なる
▲無農薬で丹精込めて育てられたニンジンであんをつくり、オレンジスライスをトッピングした「それいゆ」(250円)。ニンジンは生産者さんが一輪車に乗って運んできたのだそう
パン好きにはたまらない品揃え
「駅舎工房モン・ファボリ」のパンはまだまだバリエーションに富んでいます。
▲駅舎内で調理される具だくさんな「本日の気まぐれ駅長サンド」
▲入手できた新鮮食材が豊富だと「本日の気まぐれ駅長サンド」の種類も比例して増える傾向にある
▲パンから総菜が豪快にはみ出る「気まぐれ駅長サンド」の数々。使うパンも具材によって変化をつける
▲ほくほくゴマチーズコロッケ×オーロラソース
北条鉄道サイダーゆずの味(200円)を添えて駅の待合室でいただいた。
▲和牛すき焼き×甘~いトマト! ×玉ねぎソテー
▲さとらんオムレツ×ベーコン
▲富久錦のゆず胡椒を使った酒蒸しささみのマヨネーズ和え
▲ササミとわさび菜のマヨネーズ和え
▲クルミオレンジパン×ビーフパストラミ×ベビーリーフ
▲ジェノベーゼソースを敷いた季節のピザ「田井さんのタケノコ」(170円)
▲さとらん卵サラダ×ハム
▲国産豚の生姜焼き×茄子のソテー
栄養満点で温かい野菜スープも
こちらで出しているのはパンばかりではありません。
▲野菜スープも駅舎内で手作り
▲たっぷり使った野菜の甘みと、ベーコンと魚介のスープがぜいたくに香るポタージュ。米粉パンでつくった自家製クルトンがアクセント
野菜やフルーツが満員電車のようにわんさか詰まっており、がぶりとかじりつきたくなります。
私の性格なのか、これでもか! っていうくらい、こぼれるほど食材を入れちゃうんです。仕入れはトマトやイチゴなど、出勤前に生産者さんの畑に立ち寄って、もらってきています。朝採りをすぐ使うので新鮮ですよ。スープや「焼きカレー」というパンに使うカレーもこの駅舎内で手作りしています。カレーには大根や白菜も。ほか、ニンジン、たまねぎ、どれもできるかぎり加西産を。週末のみのスープにもお野菜をたっぷり使います。駅舎にはストーブを置いていますが、それでも冬は寒いので温まっていってほしいですね。
いやもう、この駅に来るだけで、栄養という名の切符を手に入れたかのよう。
その他、市内の酒蔵「ふく蔵」が純米酒だけで仕込んでいる梅酒の完熟梅をコッペパン(名付けて“ほっけパン”)の具材にしたり、播磨農業高校の生徒が実習で栽培して加工したブドウジャムなど、この地の物産が一堂に会しています。
▲梅酒に使った実を自家製豆乳クリームで和えた「ほっけぱん ふく蔵さんの完熟うめジャム」(150円)と加西市特産「ゆかりの舞」(紫黒米)を圧力釜で炊いて生地に練りこんだ「山下さんちのゆかりの舞」(100円)
地元の方とのふれあいの中でパン作りをしたいと思っているんです。ただ、はじめからそうだったわけではないんです。オープン当時はまだ馴れなくて、丸いパンを5種類ほどお出しするのが精一杯でした。でも営業を続けるうち、お客さんが「僕はイチゴを栽培しているんやけど使ってみない?」って声をかけてくださるなど、助けてもらえるようになってきたんです。
おお、北垣さんが焼く米粉のパンが、生産者とお客さんとの連結の役目を果たしているのですね。
原料は絶滅していた幻の酒米
そうして実際にいただくと「米粉のパンって、こんなにおいしいんだ!」と驚かされます。原料がお米なので、焼くとお餅さながらに生地に伸びがあり、それでいておかきのような香ばしさと、さくっとほぐれる食感も。
小麦粉のパンとは様子がずいぶん違いますね。
日本酒の原料となる山田錦の祖先である希少な「野条穂(のうじょうほ)」を使っています。半世紀前に絶滅していた幻の酒米で、加西市の野条町が発祥の地なんです。「野条穂」のうまみを活かすために、パンにはあえてバターなど乳製品は使っていません。引き算から生まれたパンなんです。
「野条穂」とは、茎が長いため倒れやすく、栽培が難しいゆえに長く絶えていた品種なのだとか。
お酒にすると個性的でおいしいお酒ができるそうですが、とはいえパンに合うんですか?
「野条穂」はパンにとても向いていると思います。焼くと表面がパリッとし、澄んだ香りがして、なかがふっかふかになるんです。あと、ほかの食材を引き立てますね。ごはんにちょっとしたおかずを乗せると、ごはんもおかずもどっちもいっそうおいしくなるでしょう? あの感じが「野条穂」にはあるんです。とはいえ誰もパンにしたことがないお米ですから製粉の段階からかなり試行錯誤しましたね。
いやはや、駅舎内で女性の駅長さんが米粉のパンを焼いているだけでもきわめて稀有なことなのに、使っている米粉がこれまた伝説の品種だなんて、なんというホットステーション。
▲北垣さんは 山田錦の祖先「野条穂」の製粉段階から試験し、工房に設置すべき最適なマシンをセレクトした
では、北垣さんはなぜ米粉のパンを焼くようになったのですか?
あれは13年前だったかな。子どもができてずっと家におりましたので、なんとなく「パンかお菓子でも焼いてみようかな」という気分になったんです。そのとき、たまたま米粉の存在を知りました。国産の米粉なんてない時代で、原料は外国産でした。米粉のレシピが書いてある本や参考にするネット記事などもなく、仕方なく小麦粉と同じように作ったら、これがもう、すんごいまずくて(笑)。だからでしょうね。逆に燃えたんです。「参考になるものがないなら自分で見つけだしたい」という気持ちがむくむくと湧いてきて。私はひとり暮らしをしていた時から、たとえば肉じゃがに凝りだしたら一週間ずっと肉じゃがを作り続けたり、そういうしつこさがあるんです。そうして、思い込んだら、いてもたってもいられなくなったんです。
修業しようにも先人も参考書もない米粉の製パン。
はじめの失敗以来、北垣さんは夜を徹して米粉のパンを焼きまくりました。
数少ないレシピ本の著者に電話で問い合わせたり、米粉のパンを売っていると聞けば滋賀県まで訪ねたり(関西の読者なら、これがどれほど遠距離か、わかってもらえるのでは)、米粉にとりつかれた日々の明け暮れに。
いくらやっても、おもしろいほど、うまくできない。子どもも食べてくれないような失敗作をずいぶん作ってしまいました。でもある日、膨らまないねちねちした変なパンができてしまい、それを食べたとき「あれ? おいしいぞ」と感じたんです。生地にうま味がある。そのとき、わかったんです。私はこれまで米粉を小麦粉の代用品のように扱い、小麦粉のパンのようなできあがりを成功だと信じていた。それは違ったんです。そういう発想を全部捨てたら、次第に米粉ならではのパンが焼けるようになっていきました。
そうして北垣さんは独自のレシピを開発しながら自宅で米粉パンの教室を開いて普及に努めるようになり、その噂が広まり、公民館や公的機関などから講師として招かれるまでになったのです。
仕事になってからは、さらにたいへんでした。生徒さんから質問されても「知らない」「できない」では済まされない。「米粉でカヌレは作れないんですか?」と聞かれたら涼しい顔をして「ああ、じゃあ来月はそれをしましょか」って答えるんです。でも、そこからが格闘(笑)。キッチンの壁に蜜ろうをぶちまけながら毎晩徹夜でカヌレを焼いて、なんとか講習の日までに仕上げたり。でも毎月毎月あおられるプレッシャーがあったからこそ、レパートリーが増え、自分では考えられないメニューができてきたんです。あのがむしゃらな日々が私にとっての修業でした。
無名の無人駅がパン工房に
こうして原野を切り開くように敷いた米粉道の鉄路は、やがてある出来事とともにふんわりと結実し、出発進行とあいなります。
それは「無人駅をパン工房にする」というプロジェクト。
市の社会福祉法人「ゆたか会」が、「野条穂」を使って米粉のパンを焼き、地域を盛り上げる計画を立案。
米粉パンのレシピを考案し続けた北垣さんはそこに招かれ、知的障害者の生活支援委員として働き、このパン工房を任されることになったのです。
それまでの法華口駅はぼろぼろで、クモの巣が張った、荒れた無人駅でした。実質、かろうじて屋根がある自転車置き場だった時期も。だから、ここがパン工房に変身するなんてすぐには信じられなかったし、夢のようでした。そしてまさか自分が一軒のパン工房を受け持つことになるとは、初めて米粉パンを焼いて失敗した日には想像もできなかったですね。
▲かつての法華口は駅舎内に自転車を置き、そのまま乗車するような構造だった
10年以上かけてじんわりと発酵していた米粉パンへの思いは自分でも驚くほどにふっくらと焼きあがり、こうして「モン・ファボリ」というひとつのかたちに成型したのです。
▲「驚きました。あのおんぼろの駅舎がパン工房に変身するとは」と回想する北垣さん
そして北垣さんは、さらなる奇跡のターミナルへと引き込まれてゆくことに。それが「駅長募集」。
パン工房の工事中に、北条鉄道が利用者確保の一環としてボランティア駅長の募集を始めていて、せっかく駅舎をパン工房にするのだからお役に立ちたいと思い、平成24年の9月、開店2カ月前に着任しました。それこそ本当に、自分が駅長になる日が来るとは思ってもみませんでしたよ。
はからずも始まったパン工房の店長と駅長の二重の暮らし。
なおかつそれは育児や家事との複々線同時走行。
パン工房に勤めはじめて一年目に離婚も経験。
仕事を終えたあと、すぐに保育園へ直行。
深夜に洗濯をしてから、そこから大量受注に対応するため早朝から工房へ来てパンを焼くことも。
「子どもに寂しい思いをさせているのではないか」という思いは常にあるのだそう。
ラッシュアワーが常に続くような日々に正直「かなりしんどい」と感じるといいます。
もうひとつ、2年前かな、プラットホームで手を振る動作ばかりクローズアップされた時期があり、なんかこう……あまりにも、その姿がひとり歩きして、つらかったですね。いかにも「いい人」って感じで、その型にはめられてしまうのがいやでした。なので一回目の駅長任期更新の際、ちょっとした反抗心から、金髪にしました(笑)
悩みの日々のなかで行ったパンキッシュな行いが、それもまた素敵だといっそう多くの人々の注目を集めてしまうことに。
食べられる列車「豊穣鉄道」
とはいえ確かに北垣さんが手を振るたたずまいのみに目が行くのは、あまりにもったいない。
商品のネーミングや日替わりメニューのバリエーションからも見て取れるように、北垣さんのパン作りには冴えたアイデアがたくさんあります。
とりわけそれが感じられるのが、車両に見立てた、100%地元の米粉を使ったエンタメな食パン「豊穣鉄道(ほうじょうてつどう)」(予約制1,490円)。
▲「北条」と「豊穣」をかけ、車両になぞらえた食パン
食パンにコンロで炙った10種類の焼き印を表面に押しあて、車両を再現します。
▲コンロで焼く10種類の焼き印。この焼き印も北垣さんがデザインした
▲ドアが焼きこまれた
▲先頭には運転士さんが姿を表す
▲「豊穣鉄道」のおおよそができあがり
▲よく見ると運転士がちゃんと指さし確認をしている
北条鉄道の路線図や枕木がプリントされた豪華なパッケージデザイン、ケースの開発から自ら行い、レールを貼りつける作業まで自分でやるという手が込んだ逸品。
ヘッドマークはそのままバッジとして使えるなど細部まで趣向が凝らされています。
▲パッケージにレールを貼りつける作業も北垣さん自ら。手が込んでいる!
▲薄くプリントされた枕木(枕木応援団のプレートまで!)や、山なみの稜線まで表現されたすぐれもののパッケージ
▲パッキングの先頭にはヘッドマークまで。食後はバッジとして使える
イベント列車感が満載な楽しい一本。
このように駅舎のなかで日々、新商品の試作が重ねられています。
私はここは研究所だと考えているんです。駅とパン屋さんがひとつになっていて、それが珍しいってだけで終わっちゃだめなんです。「地域と一体になった仕事ってなんなのか」、それを考えて、研究するためにここがあるんだろうなって。この地域には農産物をはじめ、地元の人も気付かない宝がまだまだたくさんある。米粉というツールを使いながら、いろんな人と出会って、ここを拠点にそんな魅力をもっと発信していきたい。さまざまな人が集まる駅にパン屋さんがあるって、きっとそういうことですよね。
地元生産者の想いを稀代の駅長が包んで焼きこんだ、「モン・ファボリ」の米粉のパン。
駅弁ならぬ“駅パン”の時代が到来する予感をいだかせ、わくわくします。
今日もまた、駅とパン屋さんが合体した不思議な場所で、北垣さんは働いています。
妖精のような、ちょっと不思議な存在として。
その出会いは、日常からかけ離れた、ファンタジックな経験でした。
これからも、焼きたての香りに誘われ、パンを求めてローカル鉄道の旅がしてみたい。
焼き立てパンから立ち上るゆらめく湯気の向こうに、不思議なドラマがあるのかも。
そんなことを考えながら、法華口駅を後にしました。
手を振る北垣さんに見送られながら。
お店情報
駅舎工房モン・ファボリ
住所:兵庫県加西市東笠原町240-5 法華口駅構内
TEL:0790-20-7368
営業時間:10:00~16:00
定休日:月曜日(祝日の際は翌火曜日)、金曜日
※臨時休業あり、要確認。
Facebook:https://www.facebook.com/ekisyakoubou/
※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。
書いた人:吉村智樹
よしむらともき。関西ローカル番組を構成する放送作家。京都在住。街歩きをライフワークとし、『VOWやねん!』ほか関西版VOW三部作(宝島社)、『ジワジワ来る関西』(扶桑社)、『街がいさがし』(オークラ出版)、『ビックリ仰天! 食べ歩きの旅』(鹿砦社)など路上観察系の書籍を数多く上梓している。 facebook:「街めぐり人めぐり」 ブログ:「ものづくりの人に会いたい!」
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