“いつもTHE TON-UP MOTORSのそばにいてくれて本当にありがとう” 活動休止前ラスト・ライヴ Zepp Sapporoレポート

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“いつもTHE TON-UP MOTORSのそばにいてくれて本当にありがとう” 活動休止前ラスト・ライヴ Zepp Sapporoレポート

“いつもTHE TON-UP MOTORSのそばにいてくれて、本当にありがとうございました”。3度目のアンコールに応えてステージ上がった4人を代表して、上杉周大(Vo.Gt)は会場に集まった全員に語りかけるように感謝の気持ちを口にした。

12月としては50年ぶりの大雪に見舞われた12月23日(金・祝)北海道 Zepp SapporoにてTHE TON-UP MOTORSのワンマン・ツアー〈Whatever happens happens tour2016〉の最終公演、活動休止前最後のライヴは決行された。

広い会場にSEが流れると、観客の手拍子に合わせて“THE TON-UP MOTORS”と書かれた大きなバックドロップがせり上がってきた。堀内俊聡(Dr)、井上仁志(Gt)、長谷川雄一(Ba)が先にステージに上がり、客席に向かって深々と一礼。「レディース&ジェントルメン!」リーダーの長谷川が叫んで口火を切ると、“ダイナマイッ!”コールが上杉を呼び込み、最新ミニ・アルバム『Whatever happens happens』の1曲目「TONight!」からライヴがスタートした。堀内と長谷川のギュッと後ろに引っ張るようなシンプルなビートに乗せて“難しいの いらない”と歌う上杉に井上が頷くようにオブリガードで応える。4人の音楽による会話が始まった。“TONight! TONight!”と一節ごとに登りつめて行くサビのコード展開が緊張感を放つ中、上杉が「札幌ー!」と叫んだだけで地鳴りのような大歓声だ。堀内が叩くジャングルビートからバンドは次の曲になだれ込み「タイガー・ブーガルー」へ。上杉が鳥肌もののブルースハープで興奮させて、「まだまだ盛り上がり足りねえんじゃねえのー!?」と観客を煽る。ドラムセットの方に向き合いどんどん高まって行く演奏はものすごいテンションだ。曲の終わりには蒸気機関車を思わせるド迫力のブルースハープを聴かせた。とにかく、ひたすら黒い。この規模の会場でオープニングからこんなにもブルージーな曲を立て続けに聴かせるバンドは他にいないのではないだろうか。赤く染まる照明の中、井上が「右腕ファイヤー」のソリッドなイントロを鳴らすとどっと大歓声。間奏では手拍子で観客も演奏の一部と化した。こんな大音量の手拍子聴いたことがない。お客さんのテンションも凄まじい。エンディングの堀内のドラムも気合充分だ。

「THE TON-UP MOTORSです! 最初にひとこと言わせてくれ! ドえらい悪天候の中、よくぞ来てくれた、本当にありがとうございます! 今日は紛れもなく一生に一回しかない、特別なライヴです。来てもらったからには、絶対、1人残らず楽しんで帰って行ってもらう自信満々だから、そのつもりでヨロシク!」(上杉)

「1 LIFE 1 LOVE SOUL」「無責任讃歌」「無邪気な人」と、和やかなムードの曲が続いた。活動休止前ラスト・ライヴということもあり、色んなアルバムから曲を披露している。両手を上げるフリで会場一体となった「人生はステージ」では堀内の軽やかにハイハットを刻むドラム、長谷川の縦横無尽に跳ねるようなベース、フランジャーを効果的に使いつつカッティングで曲を引っ張る井上のギターと、聴きどころの多い演奏が繰り広げられる。続く「グッと来てライラ」では途中、上杉による紹介から長谷川がソロを披露。ザ・ビートルズ「Day Tripper」のリフなどを入れつつ、ふた回し目にはギターさながらにベースをかき鳴らしてみせた。

暗転してしばらくすると、突如堀内がマイクで喋り出して笑いと共に大歓声が一斉に沸き起こる中、雪の中集まったファンに感謝。MCを考えていたら眠れなくなったという、じつに堀内らしい、わかるようなわからないようなユーモアもありながらグッとくるMCを挟んで、新作から北海道を歌った曲「冬将軍」へと進んで行く。札幌に来て、さらに大雪の景色の中を歩いて会場に来てから聴くこの曲は、より風景が身近に感じることができた。ギターのストロークが始まると、すぐに手拍子で反応する観客たち。冬の曲の次は夏の歌、「青い季節」。今度は爽やかな夏競馬の情景が、ボ・ディドリー・ビートに乗せて会場中に広がる。「僕ら 複雑でも こころはひとつさ」という一節に彼らの今を重ねて聴いた。何度も、天気の悪い中、本当にありがとうございますと感謝する上杉。大事な曲、みなさんの毎日に捧げたい、とのMCから歌われた「無名のうた」ではバンドマンとして16年ここまでやってきたスピリットを感じさせる渾身のボーカルを聴かせた。この曲が歌われる瞬間の張り詰めた空気感は広いZepp Sapporoでも健在。この日のライヴのハイライトの一つとなる名演だった。

「アイ・ビリーヴ!」はこれまで聴いていてとてもポップなナンバーだと思っていたのだが、ライヴで何度か改めて聴いてみると、演奏にはザ・フーやレッド・ツェッペリン等のハードなサウンドのニュアンスも感じさせる曲だ。新作からの人気曲、「スロウモーション」はクライマックスともいえる熱い盛り上がりぶり。「熱く 熱く 熱く 熱く」と連呼すると観客も熱く腕を突き上げる。キャッチーで、熱く、なおかつ歌詞も切ない。新作の充実ぶりがわかるコーナーとなっていた。

地元を歌った「北海道ブギ」で最高に楽しそうな演奏を繰り広げてから、「さあ、ふるさと北海道、Zepp Sapporo、Are you ready!?」と「準備はOK」、「不死身のこころ」とアップテンポな曲に突入すると、観客もコーラスしながら腕を振り上げる。「バカになれますかー!?」とおなじみの呼びかけから始まった「バカ笑い大将」ではフロア一面に観客が両手で花が咲かせた。次で最後の曲、と告げると悲鳴のような「え~!?」という声。「全曲やって!」という声も無茶に聞こえない。ここにいるお客さんは本気でそう思っている人たちばかりだろう。新作を締めくくる曲「Lovin’ You Baby」を歌ってステージを下りた4人にすかさず手拍子と、「ダイナマイッ!!」コールがかかる。Tシャツに着替えた4人はまず、改めてメンバー1人1人がMC。

堀内は「本当に、ありがとうしかないです。ありがとう、ありがとう、1人飛ばしてありがとう」とありがとうを連発しているうちに観客から手拍子が起きて“ありがとうラップ”に発展する技(!?)を披露しつつ、メンバー3人への感謝の言葉を語る。井上は「長谷川が誘ってくれてバンドに加入して東京に行ってよかった。ずっとブレずに思ってるのは、THE TON-UP MOTORSはかっこいいバンドだということ。すごく良いバンドに出会えたなと思ってるし、こんなに良い人たちのメンバーに出会えたのは奇跡だと思う。帰る家がなくなるわけじゃなくて、その家に鍵をかけていったん出かけて、またいつでも準備できるように自分なりの活動をして行こうと思います」と語り、たまにメンバーをスタジオに入ろうと誘ってしまうかもしれない、と今の気持ちを明らかにしていた。長谷川は「人生の半分くらいこのバンドをやってきたんですけど、4人のTHE TON-UP MOTORSを守るために活動休止という選択をしました。この4人以外のトンアップを見たいという人はいないと思うから、いつになるかは約束できないけど、復活するときは必ずこの4人でやりたいと思います。活動休止がどれだけ長くなるかわからないですけど、これから、それぞれの活動を見守ってください」とメンバーの1人としてリーダーとして、バンドへの想いを聞かせてくれた。

上杉は、話しながらはなにやらビニール袋を取り出すと、北海道幌加内町の「そばの里大使」に就任した上杉の監修のもと、なんとカップそばが誕生したことを告げ、この日のライヴに訪れた観客にプレゼントされることが発表されるとどよめきと歓声があがった。地元・北海道のライヴならではのサプライズとなった。また、井上が幌延町の観光大使になったときにトンアップのことをよく“帰る家”と言っていたが、その意味が自分もよくわかる、いつもメンバーに支えられていると色んな場面で感じていると話した。そして曲は、メンバー全員で作詞した曲、「それが愛さ」。上杉から始まり長谷川、井上、堀内もそれぞれボーカルを取った。「THE TON-UP MOTORSと出会ってくれてありがとう。トンアップのお客さんは優しい人が多い。みんなに出会えてよかった、ありがとうございます。先のことはわからないけど、またやるときは遊びにきてください。いったん、家に鍵をかけてそれぞれ旅立ちます」とのMCから、「旅立ちのとき」を歌った。再びステージを下りたものの、まだまだ観客の拍手は鳴りやまない。Wアンコールとなった「歓びを唄う」では会場中が大合唱。コール&レスポンスで何度も観客と声を交わした。ハッピーな盛り上がりでステージを下りた4人にさらなるアンコールの声が上がると、3回目のアンコールへ。

「いつもTHE TON-UP MOTORSのそばにいてくれて、本当にありがとうございました。本当に、最後の1曲です」と歌われたのは、「今に賛成」。活動休止という選択をした今を肯定して、明日から前を向いて歩いて行こうという4人の気持ちを表した選曲だ。気合のこもったボーカルの上杉と、声が張り裂けんばかりに必死にコーラスする長谷川、井上、堀内の姿に胸が熱くなった。

「俺たちはTHE TON-UP MOTORS!!」マイクを使わずに、生の声で上杉が叫んだ。

演奏を終えると、4人は観客に背を向けてそれぞれの思いを噛みしめるようにしばらく動かず。観客に向き直った上杉がタオルに顔を埋めたままの長谷川を促している。4人並んで観客に向かうと、左右、中央に向かっていつものように全員で深々と挨拶をして、万雷の拍手が送られる中、THE TON-UP MOTORS活動休止前ラスト・ライヴは幕を下ろした。万感胸に迫るエンディングの光景を見ながら、必ずまたTHE TON-UP MOTORSのライヴを観ることができる、不思議とそんな気持ちにもなった。いつの日か4人が集まったライヴを観ることが来る日まで、明日からまた、それぞれの活動を追って行きたいと思う。(岡本)

THE TON-UP MOTORSワンマン・ツアー〈Whatever happens happens tour2016〉
2016年12月23日(金・祝) 北海道・札幌市 Zepp Sapporo
〈セットリスト〉
1.イントロダクション
2.TONight!
3.タイガー・ブーガルー
4.右腕ファイヤー
5.1 LIFE 1 LOVE SOUL
6.無責任讃歌
7.無邪気なひと
8.人生はステージ
9.グッと来てライラ
10.冬将軍
11.青い季節
12.無名のうた
13.アイ・ビリーヴ!
14.スロウモーション
15.北海道ブギ
16.準備はOK
17.不死身のこころ
18.バカ笑い大将
19.Lovin’ You Baby
アンコール1
20.それが愛さ
21.旅立ちのとき
アンコール2
22.歓びを唄う
アンコール3
23.今に賛成

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