家賃150万超えの超高級賃貸マンションを内見してみた
世の中には家賃150万円を超えるような高級住宅がある。毎月、新しい軽自動車を買い替え続けるレベルのコストがかかる家である。それって、いったいどれほど快適で、どれだけ気が利いているんだろう。立地や広さ以外にも高級賃貸ならではの良さやポイントはあるのか? ごく平均的な物件に暮らす市井(しせい)の人間の立場からレポートしてみたい。
家賃150万円! 外観撮影NGの超高級マンション
なお、今回は2件の家賃150万円超え物件を巡ったが、いずれも外観撮影はNG。さらに、記事内で具体的な場所は書かないでくださいと、案内してくれた不動産会社ケン・コーポレーションの担当者は言っていた。さすが150万、担当のセキュリティ意識も高級だ。
まず訪れたのは麻布十番駅から徒歩数分のところにある超高級マンション。入り口に至るアプローチからは金木犀の香りがした。金木犀には「気高い人」の花言葉があるという。気高い人しか住めませんよというメッセージだろうか。さすが金持ち、皮肉にも品があるなあ(※たぶんそういう意図はありません)。
今回、案内していただいた部屋は200m2の3LDKで家賃は150万円である。敷金は4カ月なので、仲介手数料や前家賃などもろもろ含めると1000万円弱の初期費用がかかる計算だ。一般的な賃貸物件の場合。補償金的な意味合いも含んでの金額なのだろう。
それでは、部屋の中を見ていこう。
玄関を開けてまず目を引くのは、31畳のリビングダイニングである。天井も高く、ちょっとしたダンスホールくらいの開放感がある。【画像1】ちょっとした社交ダンスの大会が開けそうな大空間(写真撮影:榎並紀行/やじろべえ)
リビングダイニングのほか18.1畳のマスターベッドルーム、10.4畳のベッドルームが2つ。ひと部屋以外は全てバルコニーがついていて、どのバルコニーからも東京タワーが見える。それも半分だけとかケチな見え方じゃなく、タワーの足元までしっかり見える。スカイツリーがいかに台頭しようと「部屋から東京タワーが見える」というステータスは不変だ。 【画像2】写真左/サブのベッドルーム。サブなのにうちのリビングより広くて心がざわつく 写真右/バルコニーからの眺望。ド正面に東京タワー、周囲に高層ビル群という「東京の宣材写真」みたいな景色が広がる(写真撮影:榎並紀行/やじろべえ)【画像3】写真左/バルコニーの植栽には自動的に水が散布される気の利きよう 写真右/エアコンの室外機は美観を損なうということで目隠しされている(写真撮影:榎並紀行/やじろべえ)
ふつうの家にはひとつしかないものが複数あるのも、高級賃貸の特徴だ。備え付けのランドリー(乾燥機付き)は2台、お風呂は2カ所、トイレは3カ所あった。バスルームが複数あるのは海外からの駐在員の住宅文化に合わせたもので、主寝室に併設のバスルームは両親用、もうひとつは子どもあるいはゲストが使う(親用と子ども用でバスルームを分けるのはグローバルスタンダードらしい)。トイレも3つあるから家族が同時に便意をもよおしても安心である。朝、便意のことで喧嘩するのはセレブっぽくない。 【画像4】でかいカツオも余裕でさばけそうな広いキッチン(写真撮影:榎並紀行/やじろべえ)【画像5】写真左/業務用っぽいオーブン 写真右/備え付けの洗濯機はなぜか2台と頼もしい(写真撮影:榎並紀行/やじろべえ)
初期費用1000万円超え! 300m2超えの「家の中で迷う」4LDK
ふだん縁のないセレブの世界があまりに優雅なので、バランスをとるために便意とか書いてしまった。気を取り直して次の物件に移動しよう。2軒目は青山一丁目駅が最寄りの高層マンション。案内されたのは19階部分で、なんと家賃は170万円である。敷金は6カ月だから初期費用1000万円超えだ。
この物件、とにかく広い。301.05m2、4LDK。部屋の間を結ぶ動線がいたるところに設けられていて、大げさでなく迷路みたいな家だ。「家の中で迷う」というのは漫画に出てくる金持ちだけの話かと思っていたが、現実にもあったのか。 【画像6】ホテルのスイートルームライクなデザイン(写真撮影:榎並紀行/やじろべえ)【画像7】扉がいっぱいあって迷路っぽい(写真撮影:榎並紀行/やじろべえ)
メインのリビングダイニングは39.2畳、マスターベッドルームが28.8畳、12.5畳~15.9畳のベッドルームが3つ、そのほか「ファミリールーム」という、庶民の僕には用途の分からない部屋も19.2畳と広々だ。ちなみに、ここは朝食を食べる部屋らしい。「朝食を食べる」目的に特化した部屋があるというのは貴族っぽくていい。 【画像8】マスターベッドルーム。その窓からは……(写真撮影:榎並紀行/やじろべえ) 【画像9】北側の窓からは自然を眼下にとらえる。こんなに心地いい目覚めがほかにあるだろうか(写真撮影:榎並紀行/やじろべえ) 【画像10】もちろんバス・トイレは複数。こちらは主寝室備え付けのバスルームと洗面台(写真撮影:榎並紀行/やじろべえ)【画像11】写真左/朝食を食べるためだけに存在する「ファミリールーム」 写真右/無限に食器が入りそうな収納大充実のキッチン(写真撮影:榎並紀行/やじろべえ)
また、このレベルのマンションになると当然のごとくコンシェルジュサービスがついているのだが、その仕事ぶりがまた一流だ。業務内容は居室内の不具合などの困りごとから、タクシーの手配、クリーニングの手配、レストランの予約まで幅広く、よほどの無理難題でなければ基本的には断らない。秋にスイカが食べたいと言われれば、東京中の青果店に電話をかけるレベルのホスピタリティである。【画像12】一流ホテル並みのコンシェルジュ(写真撮影:榎並紀行/やじろべえ)
それにしてもこんな家、いったい誰が住むのだろう。聞けば、プロスポーツ選手(野球、サッカー、競輪など)、医者、弁護士、経営者、芸能人など、やはりいわゆる成功者が多いようだが、ただお金を持っていればいいというわけでもないという。物件のオーナーによっては、入居者の職業や肩書などに厳しく、オーナーが求める一定の水準に達していない場合は内見すらできないというケースもあるんだとか。
ともあれ、やはり家賃150万円超えの物件は、とんでもなく快適だし気が利いていた。僕からすると、これでも十分に規格外なのだが、聞けば世の中には家賃500万円を超える異次元の賃貸住宅もあるらしい。よく、世界人口の1%に富は集中し、1%の富裕層の総資産は残り99%の総資産よりも多いなんて聞くが、そんないびつな富の偏りがリアルに実感できる。そんなお話でございました。●取材協力
・ケン・コーポレーション
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