片山さつき議員、日本が破綻しても「政府にデフォルトを選ぶ自由はない」

経済学者の土居丈朗氏(左)と政治家の片山さつき氏(右)

 欧州の債務危機がギリシャからイタリアへと波及するなか、それらの国々より大きな政府債務を抱える日本においても、財政破綻への不安が高まっている。2011年12月1日のニコニコ生放送の番組では、経済学者の池田信夫氏、小幡績氏、土居丈朗氏と政治家の片山さつき氏らが、日本の近い将来について議論した。日本が債務危機に陥った場合、デフォルト(債務不履行)を選択し国債を保有する債権者に「泣いて」もらうのか、インフレにすることで国民や企業全体に負担をもたらすのかが争点となった。だが片山氏は、現在の日本政府には「デフォルトを選択する自由はない」という。

■国家の財政破綻とは?

 そもそも、国家の財政が破綻するというのはどういうことなのだろうか。土居氏は、米アメリカン航空が連邦破産法11条(日本でいう民事再生法)を申請し、事実上の破綻に追い込まれたにもかかわらず、同社の飛行機は通常通り運航されている現状に似ているとした。

「デフォルトというのは突然店じまいっていう話ではなくて、単なる債務整理。債権者と話をして、どういう形で既存の債務関係を整理しますかという問題。『(借金を)払えません、ごめんなさい』と言ったら債権者はもちろん困るし、波及効果もあるが、それを『デフォルト』ないしは『リスケジューリング』(債務返済繰り延べ)と呼んでいる」

と話し、後者の「リスケージュリング」という表現のほうが実質的な内容に相応しいネーミングであると述べた。これを受けた池田氏も、

「国家破綻と言うと国のサービスがまったくストップしてしまうというイメージがあるかもしれないが、要するに収支の合わないところを合わせるという作業を、しばらく借金を返すのを待って、やらせてくれと言うだけ。なので、もちろん今まで通りにはいかないけれども、全部止まるということはない」

とした上で、多く支出しているものを削減する必要はあり、例えば公的年金制度が焦点になると述べた。

■デフォルトか、インフレか

経済学者の小幡績氏

 しかしながら、もし日本が債務危機に陥った場合、政治がデフォルトを選択することはあるのだろうか。片山氏は「日本国政府には(完全な)デフォルトをする自由はありません。許されません」と断言。続けて、

「我が国の経済の大きさとか、円資産を持たせている他の国のことを考えたらそういう自由はなくて、金利の調整なり・・・強制的に国内だけ10%のインフレになっても(金利を)3%で回させるとか、何をやってもとにかく回していくというだけ」

と語り、デフォルトという選択はないと強調した。

 一方で小幡氏は、インフレが起きると政府部門のみならず民間部門にも悪影響が及ぶことを指摘。「インフレにして(結果的に)政府の借金を救うのではなくて、デフォルトで政府だけ使えなくなれば、民間は民間でやっていくわけだからそのほうが国全体としては助かる」とした上で、「インフレは最悪なんですよ」と述べた。ただし現実的には小幅なインフレも甘受せざるを得ず、多少の増税や、大手の金融機関などの一部債権についてのリスケジューリングなどとあわせて、「バランスを取ってしのぎ切るしかないと思う」と語った。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] 国家の財政破綻とは?から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv72524207?ref=news#33:43

丸山紀一朗

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