PHOTOGRAPHY Ryosuke Yuasa
NeoL Magazine JP | Photo: Ryosuke Yuasa | Hair&Make-up: Ken Nagasaka | Stylist: Fumika Matsui | Text: Ryoko Kuwahara | Photo Edit: Lina Hitomi | Model: Manami Kinoshita, Keito, Nairu Yamamoto
いま、を自由な感性で切り取る新世代の注目フォトグラファーをフィーチャーする「PHOTOGRAPHY」。パーソナルに撮りためた未公開写真には、彼らの本質がくっきりと浮かび上がる。初回、大胆な構図、静と動のコントラストーースケートボード片手に現れた湯浅良介にインタビューを試みた。
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——この作品はフィルムで撮ってるんですよね。影の入れ方が最高です。
湯浅「そう、フィルムで。ストリートの服が好きだから、なるべくメイクもしないで、大体路上で撮るっていう。影は、鏡を使ってて。日陰に連れていって、太陽光のある所から手鏡で当てたいところに照射しました」
——そうなんですね。加工じゃなく、その場のシーンで、その一瞬でちゃんと撮っているのがいい。
湯浅「スタジオ撮影とか、ライティングして作り込むのも好きじゃないんです。決めてるやつより、アザー写真の方が良かったりするじゃないですか。ライティングした脇のほうが意外と面白かったみたいなことがほとんどだから、それをいかに撮るかが大事で。そういう偶発的なストリート要素が好きだし、写真で実験したいんですよ。でもここまでガッツリ影を入れたりって、仕事ではなかなかできないじゃないですか。ファッション撮影だとちゃんと顔や服が写ってないとダメだから、そこの瀬戸際を見つけるのが難しい。だからポートレイトのほうが好きなんです。自由ですもん」
——自由に撮ってる方がその人の感性が出やすいから面白いですよね。
湯浅「そうですね。仕事は最初に全部決めないといけないから。その抜けとか、わかってくれてる人とやるのがいいですよね、本当は」
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——師匠の新田桂一さんとはまた、系統が違う自由さ。
湯浅「桂一さんはすごいです、勝てないです。テリー(・リチャードソン)がいて、桂一さんがいて一応3代目というか孫弟子に当たるわけで、だからこそ系統を変えないとダメだなと思ってる部分もあります」
——なるほど。フィルム撮影に関してのこだわりはあります?
湯浅「でもフィルムはなくなるから」
——なくなるかな。ラグジュアリーに高くなって、現像できる所も少なくなるとは思いますけど。
湯浅「それもそうだし、デジタルで育った子たちがこれから出てくる。だからフィルムの価値観も変わるかもしれないですよ」
——フィルムで撮っている20代も多いですけど、どうなんだろう。
湯浅「今はまだデジタルが成熟してないから、若い子は逆にフィルムに頼ってるんだと思う。デジタルのスキルもないし。でもデジタルは今どんどんソフトが充実してきて、フィルターもフィルムの質感に寄せたりできるから淘汰されていきそうな気がします」
——へえ。あの、関係ないけど湯浅さんのPCのステッカーチューンめちゃくちゃかっこいいですね。
湯浅「この焼酎のステッカー、ヤバいですよね(笑)」
——うん。こういうの見てても思うんですけど、湯浅さんって写真家というよりスケーターというか、ぶっちゃけ営業してなさそうというか。
湯浅「(笑)。俺、すごいマイペースでずぼらなんです。自分のペースで、やりたい時に自由な作品を撮って気持ちが上がって、でもそれが続かないんですよ。ガキみたいな発言なんですけど、やりたいこととして写真をやってるけど、それは仕事で、プライベートでスケートというもっと楽しいものを見つけちゃってて。だから、いい写真は撮りたいけど、売れたいという欲もそこまでない。いい写真を撮った時の高揚感があるから続いてるけど、本来はもっとブランディングして自分のテイストでやれる仕事をもらえるように頑張るべきだし、そういう時期でもあるんだと思う。でもそういう風に戦うのって、またそれはそれでストレスだと思うから、いい具合でやりたいんです」
——生活できていればいいくらいの?
湯浅「そう。俺、好みじゃない仕事の比重が3割くらいあっても平気なんですよ。でも4割ぐらいになってくると多分仕事自体が嫌になる。だから仕事が3割、やりたい仕事が3割、3割休むみたいなのがベスト(笑)。40歳くらいまでこのペース続いちゃったら、もう多分日本にいないかもしれないなあ。LAにスケート留学して写真撮ってるかも」
——いいですね。湯浅さんの写真もそうですけど、スケーターのセンスとかイマジネーションの広がりにはいつも刺激を受けています。
湯浅「多分、目線がいいんですよ。スケートって、一枚の板でやるのに人によって全く見え方が違う。乗り方が違う、プッシュのし方が違う。同じ技でもメイクも、ファッションも違う。大きく言うと、多分そこで生き方の根本みたいなのを学べるんですよ。自分はどのスタイルで行くとかもあるし。『プッシュだけでいいや』って人もいるじゃないですか。それが面白い。だから面白いヤツが育つと思うんです」
——ルールがないですしね。
湯浅「うん。でも乗ったことない人には分かんない世界で、『なに、こいつ』みたいな部外者っぽく見られるじゃないですか。そういうのも人生だし。怪我したり、仕事飛ばしたりっていう人生のスパイスも教えてくれるし(笑)。ちょっと今日やめとこうかなって日に無理矢理やって、そこからどうマインドを上げていくかみたいな、自分をコントロールしてる感じも面白い。全部が面白いし、やっぱスケートは一番クリエイティヴだと思います」
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Ryosuke Yuasa
フォトグラファー。2003年、東京工芸大学 写真学科卒業。2007年、新田桂一氏に師事。2014年よりフリーランンスとして活動をスタート。
http://ryosukeyuasa.com/
photo Ryosuke Yuasa
hair&make-up Ken Nagasaka
stylist Fumika Matsui
text Ryoko Kuwahara
photo edit Lina Hitomi
model Manami Kinoshita, Keito, Nairu Yamamoto
都市で暮らす女性のためのカルチャーWebマガジン。最新ファッションや映画、音楽、 占いなど、創作を刺激する情報を発信。アーティスト連載も多数。
ウェブサイト: http://www.neol.jp/
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