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ヘリまで出動!? 岐阜県の山間部「白水湖」へ電波を届ける裏側に迫る!

世界遺産・白川郷で有名な岐阜県白川村には、美しいエメラルドグリーンの湖がある。日本三名山のひとつ「白山」を中心とする白山国立公園内に位置する「白水湖」だ。

湖面がエメラルドグリーンに輝く白水湖(写真提供:白川村役場)

白水湖およびその周辺は、ブナ林をはじめとする手つかずの雄大な自然が残っていることから、近年は登山者やキャンパーといったアウトドア愛好家から人気を集めているが、携帯電話の電波がつながらず、利用者にとっては不便な状況が続いていた。

その状況を改善するため、白川村と地域活性化の協定を結ぶKDDIは、白水湖の通信エリア対策に着手した。しかしその工事は一筋縄ではいかず、太古から続く原生林を含む豊かな自然が残るこの地域に携帯電話の電波を届けるために、様々な苦難が待ち受けているのであった・・・・・・。

岐阜県北西部の山間部に位置する白水湖。アクセスは、世界遺産・白川郷からクルマで1時間ほど

白水湖へ電波を届けるために、離れた山に登るのはなぜ!?

7月某日、白水湖の通信エリア対策工事が行われるとのことで、T&S取材班はその取材のため現地へ向かうことにした。KDDIの担当者からは事前に「今回の工事は登山を伴うので、相応の装備を用意しておいてほしい」との連絡を受ける。

白川村に到着後、指定された場所でKDDIの担当者と合流。そこからクルマで山道に入り、舗装されていない林道をしばらく進むと、登山道の入口が見えてきた。この地点の標高は約850m。

登山靴に履き替え、両手にストックを持ち、登山の準備を整える。安全対策のためヘルメットも欠かせない

ちなみにこの山は、肝心の白水湖から9km近く離れた位置にある。白水湖に携帯電話の電波を届けるために、なぜわざわざ、そこから離れた山に登る必要があるのか? その謎は後ほど明らかになる。

そしていざ、登山開始。前日に降った雨の影響で路面はぬかるんでいる。T&S取材班とKDDIの担当者たちは、滑ったり転倒したりしないよう、一歩一歩慎重に歩を進めていく。

KDDIの担当者のひとりである岡田。ぬかるんでいる地面に足をとられそうになりながら、そして肩で息をしながら、一歩一歩慎重に歩を進める

機材の運搬は人力では無理。ヘリコプターが大活躍!

足元の悪いなか歩くこと約2時間、ようやく山頂にたどり着いた。山頂の標高は約1,500m。

山頂に到着後、KDDIエンジニアリングの岡田 敏に今回の工事の概要について聞いてみた。

KDDIエンジニアリング中部支社の岡田 敏。今回の通信エリア対策工事を指揮する

――なかなかハードな登山でしたね。

「はい、しんどかったです。勾配が急なうえに、前日の雨のせいで路面がぐちゃぐちゃになっていたので」

――今回は白水湖に電波を届けるための工事ですよね。それなのに、なぜわざわざそこから9kmも離れた山に登る必要があるんですか?

「通常であれば、電波を届けたい場所に基地局を設置し、通信に必要な通信回線(固定回線)を引き込むことで通信エリア対策を行いますが、白水湖は山あいにあり、そこまでの道も入り組んでいるため、通信回線を引き込むことが困難です。そこで、通信回線の代わりに、遠くから電波を飛ばすという手法が用いられることになりました。“無線エントランス”と呼ばれる手法です。

無線エントランスを設置する場所は、目標の基地局に向けて電波が飛ぶように、周辺に障害物がない見通しの良い場所である必要があります。それがこの山頂であり、山の中なのでクルマで来ることができず、登山でここまで来なければならないんです。

麓の基地局から飛ばした電波を山頂の基地局のアンテナで受信し(①)、それを増幅して再送信することで(②)、9km離れた白水湖の通信エリア対策を図っている
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