「プラスチックの飛行機が初めて飛んだ」 新型航空機ボーイング787を検証

787は「見えるところの大部分が炭素繊維複合材」と秋本氏

 全日空が世界で初めて導入した新型の航空機「ボーイング787」が、2011年10月26日、初めて乗客を乗せて成田から香港に向けて飛び立った。これは全日空が次世代の主力機と位置付ける最新鋭の航空機だ。787は低迷する航空業界にどのような影響をもたらすのか。それを検証するべく、就航翌日の27日ニコニコ生放送「ついに就航!次世代航空機ボーイング787 今後の航空業界への影響を徹底検証」が放送された。航空ジャーナリストの秋本俊二氏は、炭素繊維複合材を使用した同機を「プラスチックの飛行機」と表現した。

 客室の気圧と湿度の調整、大きな窓、ウォシュレット完備、LED照明――様々なサービスが備った新型航空機「ボーイング787」。初フライトに搭乗した秋本氏は、乗ってみなければ分からなかったのは「音」だったと語る。

「飛行機に乗るのが嫌いな人ってエンジンの音が嫌なんですね、ゴ――ッて。あれが嫌な音じゃないですね。音はするんですけど、あれだったらみんな耐えられるんじゃないかなっていうような、割とやさしい音です」

■従来の航空機との大きな違い「炭素繊維複合材」

ボーイング787は世界に先駆け成田空港から飛び立った

 これまでの航空機とどう違うのか。秋本氏は、

「(これまでの航空機とは)ちょっとじゃなくガラッと違いますね。簡単に言うと、今まで空を見ると金属の飛行機しか飛んでなかったのが、初めてプラスチックの飛行機が飛んだっていうイメージです。機体の全重量の半分が炭素繊維複合材を使っています」

と語る。大きな窓や気圧・湿度の調整も、この「炭素繊維複合材」が可能にした。また、揺れを抑えることにも一役買っている。従来の主翼は金属の材料を細かく繋ぎ合わせて作られているためしなり方がゴツゴツとしていたのだが、新素材を使うことで大きな一枚板ででき柔軟にしなるため、揺れが吸収されるのだそうだ。離陸の様子を映したVTRを眺めながら、「飛んでいく両翼のしなり方、あれが特徴なんです。かっこいいでしょ?」と秋本氏が声を弾ませる。

■大型機vs中型機 今後必要とされるのは・・・

 787の投入によってどのような変化が起こるのか。同じく航空ジャーナリストの秀島一生氏は「需要の見通し」について言及する。航空機での輸送には、大型機で大都市まで行ってローカル便に乗り換える「ハブ・アンド・スポーク」と、中型機でダイレクトに目的地に飛ぶ「ポイント・トゥ・ポイント」という戦略とがある。787は「ポイント・トゥ・ポイント」に適した航空機だ。

「大型機がいいのか、あるいはポイント・トゥ・ポイントの中型機がいいのかということは、赤・白では決められない。つまり、需要の動向を見ながらエアライン(航空会社)も戦略をやっていかなきゃならない」

 「ハブ・アンド・スポーク」で飛ぶ大型機には、シャワーなどホテル並みの設備を用意することができ、また最近はどの国も短時間で乗り継ぎができるよう工夫しているため、一概に「ポイント・トゥ・ポイント」のほうが優れているとは言えないのだ。

「いま最新鋭がこの787ですから、これでどこまでやれるか。アジアが大型機をどんどん入れてきた場合に、どのように対抗していくかというようなことも、これから選択を迫られていく状況になるでしょうね」

と秀島氏は語る。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送] ボーイング787の初フライトを捉えたVTRから視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv68553332?po=news&ref=rews#0:00:49

(境田明子)

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