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「家族のために働いているから決断できた」3カ月の育休取得を決意したワケ

――通信会社を経て、リクルートキャリアに入社した長尾悠は二人目の子どもが産まれたときに育児休暇を取得。男性の育休取得率がまだ2.30%(2015年 厚労省調査より)にとどまり、育休を取得する男性がまだまだ少ない中、なぜ長尾は育休取得を決意したのでしょうか。

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長尾悠(ながお・ゆう) 

1982年・東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、新卒で大手通信会社に入社し、営業に従事する。入社2年目に転職を決意し、リクルートキャリア(当時リクルートエイブリック)に入社。入社後は、営業、マーケティング、営業企画を経験し、現在はリクルーティングアドバイザーとして、IT・Web業界を中心とした企業の中途採用支援に従事。2014年、第二子出産のタイミングで3カ月の育休を取得。2015年にはリクルートグループで優れた営業の取り組みを表彰する「TOPGUN」に選出される。

先輩の姿を見ているうちに焦りを感じるように

 

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将来のことを考えるようになったのは、大学3年の就職活動を始めたころからです。それまではバンドを組んでライブをするなど、比較的自由に過ごしてきました。企業選びも「どうせ仕事なんてそんなに面白くないだろうから、絶対に倒産しない安定した企業で働こう」と思って、電気・ガス・水道、鉄道、通信といったインフラ業界を中心に受けて、最初に内定が出た通信会社に入社しました。

入った会社は年が離れた人が多く、良い意味でも悪い意味でも「日本の伝統的な会社」といった社風で、先輩たちを見ているうちに「自分も将来、こんな感じになるんだろうな」っていうのがわかってくるんですよね。会社の不満を言っている先輩の姿を見て、なんとなく不安や焦りを感じるようになりました。

そこで2年目のときに転職を考えるようになり、リクルートキャリアに転職希望者として登録したんです。もともと働く人のメンタルケアに興味があったので、最初は人事系の仕事を探していたんですが、いろいろと職種を調べているうちに、「転職の相談に乗るキャリアアドバイザーであれば、仕事の悩みを抱えている人の力になれるんじゃないか」「1週間のうちの5日間、1日のうちの半分という長い時間を仕事に費やすのであれば、仕事を楽しめないと人生損しちゃう。仕事を楽しんでいる人が多い会社で働きたい」と思うようになり、リクルートキャリアの選考を受けて、入社しました。

家族と向き合う時間を作るために育休取得へ

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育児休暇をとりたいと思ったのは入社8年目のとき。二人目の子どもができたタイミングでした。当時は本当に仕事が忙しくて、土日しか家族と一緒に過ごせない状況が続いていました。「なんのために働いているんだろう」と悩むこともしばしばありました。実は、「もっと忙しくない仕事がいい」と思って転職活動をしていた時期もありました。

そんな状況下でいろいろ考えて思ったのは、やっぱり僕にとっての働く理由は「家族のため」であるということ。死ぬまで家族と平穏に楽しく暮らす、これが人生の目的だと思ったんです。そのためにはある程度お金を稼がなければならないし、今日会社をクビになったとしても、明日から別の会社に雇ってもらえるような力を付けていなければならない。

「仕事は家族のためにするもの」という認識が自分のなかでしっくりきた事で仕事へのコミットメントを高める事ができました。と同時に、「家族とじっくり向き合える時間も、子どもが小さいうちの期間限定なんだから、今のタイミングで育休を取得しよう」と踏ん切りがついたんです。

今でこそ育休を取る男性も増えてきましたが、そのころ育休を取った男性は、リクルート全体でも直近3年間で5人だけでした。また、当時僕は要望レベルの高い大手企業のお客様を担当させていただいていたため、簡単に替えがきくポジションではなく、気軽に育休を取得できる状況とは言えませんでした。

だけど、上司や同僚からも「休んでずるい」とか「迷惑かけて」なんて言われることは全くなかったです。問題なのは仕事が調整できるかどうかだけ。育休取得を決断してから1年間、計画的にお客様との業務を整理していき、引継ぎを進めながら問題をクリアにしていきました。

今では育児休暇を取りたい男性から「周りの空気を考えると難しくて」とか「業務状況を見ると厳しいんです」という相談をよく受けるんですが、たしかに僕も気持ちに整理がついてなかったらそう考えたと思います。でもそこは、決意をして事前の準備を頑張ればいいだけのこと。気持ち次第だと思います。

育休中に得たものはその後30年間の人生にも活きてくる

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育休期間は三カ月ですが、そこで得られたものはその後の生活にもかなり活きています。育休前は、例えばお皿や調味料がどこに収納されているのかもわからないし、家事なんて全然できなかったんですよね。

だけど育休中に奥さんと家事と育児を分担した結果、大体のことができるようになったし、その時期があったからこそ、復帰した今でも仕事と家事のバランスを調整することができています。子どもの着替えの手伝いや保育園の準備をすることで、子どもたちとの距離も近づいて関係性もよくなったと思います。

そして何より、三カ月間ずっと一緒にいることで家族同士の理解が深まりました。24時間、常に誰かと一緒にいることってなかなかないじゃないですか。絶えずそばにいることによって、深いレベルでの相互理解(例えば、それまでは気付かなかった微妙な価値観の違いとか、快・不快の線引きとか)ができて、育休を取る前よりも家族全員の関係性が良くなったように感じます。家事のスキルも獲得できたし、関係性も良くなって、育休を取る前よりも幸福度が上がった感じがしています。

仕事の面でも、育休を取ったことは結果的にプラスになりました。長期の休みを取るからには中途半端な状態で休みに入るわけにはいけないという覚悟があったので、それまでの仕事の濃度は本当に濃かったですし、いい仕事をしてから休みを迎えたいなと思ったからこそ、結果的に成果を出すことができて、「TOPGUN」*1で表彰をして頂けるほどのベストを尽くせたんだと思います。

安定するために挑戦し続ける

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就活生の頃から変わらず、僕はずっと安定志向なんです。

「家族みんなで幸せに暮らす」ことが、僕が働く最大の理由で、そのためには安定した生活基盤が欠かせないので。ただ、ここ数年で“安定”の定義が自分の中で変わってきました。

「一生安泰で潰れるリスクのない企業」なんて今はないと思います。安定した生活を維持するためには、変化に対応できる力や自分のスキルを高め続ける努力こそが必要なんです。

「安定した会社」に依存するのではなく、仮に明日会社がなくなってしまったとしても、家族を養える力をつけることが大切だと思っています。安定するために、挑戦し続けるというか。

人によって「何のために仕事をしているか」は考え方が異なると思います。それが僕にとっては家族だったというだけ。僕自身、もっと早い段階で今の自分のキャリアを考えられていれば、もっと人生も豊かになっただろうし、さらに充実していたのではないかと思っています。

だからこそ、働く人たちが、できるだけ若いうちに自身のキャリアビジョンを見出せたり、就業観を確立できるようなサポートをしていきたいと思っています。仕事がうまくいく事は家族との幸せな生活に繋がると思うので、そのためにも、もっと社会や組織に貢献できるように働いていきたいです。

*1:「TOPGUN」とは、イノベーティブな提案や優秀な取り組みした個人・チームが、年に一度、従業員の前で表彰される制度。その表彰式の会場となるホールに1500人以上の従業員が集まるが、入りきれなかった人のためにライブビューイングも行われるほど。みんなで讃えることと同時に、各事業内容やナレッジ共有が行えるという仕組み。

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