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「ジョブズはあえてリスクをおかす人だった」 孫正義×ルース大使 対談全文(前編)

ルース: 日本の各地を巡って、そして大学に訪れているんですけれども、学生は非常に深い関心を持っております。彼らとしても、いわゆるグローバルな視点でもって考えるための動機付けというのがあると思います。ただいくつかのハードルがあって、それらがあるために海外留学をしようという非常に大きな決断を下すことがなかなかできないでいるということだと思います。その話には今夜突っ込んで入っていきたいと思いますけれども、私どもの今日ここに参加されている方が、孫さんご自身どのようにして海外留学をするという決断を下したか、どういう影響があったかお話ください。

: それでは、私について少しお話をしましょう。もう少し髪の毛があった時の写真ですが・・・。

会場: (スクリーンに若き日の孫氏の写真が映し出される)。

ルース: 私、今日はここでは見せませんけども、私ももっと毛がある写真はありますよ。

: これも同じようなルックスがあったという1つの共通項でしょうか。この写真は私が16歳の時だと思います。アメリカで勉強する前にちょうど韓国を訪れたんですね。私の祖母と共に韓国に行ったと。あれは初めて韓国に足を踏み入れた時のことです。もちろんアメリカも見たかった。そして私の先祖の血というものを見てみたい。それを海外留学、アメリカで留学して勉強する前に見てみたいと思ったんです。しかし私にとって、この若い学生という立場で外の世界に何かがある、外国に違う文化、違う言葉、ライフスタイルもまったく異なる、すべてのことがエキサイティングで楽しみなものでした。私が見るもの感じるものすべて、日本のものは普通のものだったのですから、普通とは違う変わったものが、私の脳に私の考え方に刺激となるわけです。私の生き方だとかビジョンに大きな刺激を与えてくれる、開眼するような体験だったと思います。

ルース: 当然、全然生活が変わったわけですね。人生変わったんですね。

■「プーチンとも英語でしゃべった」英語は交流のためのツール

孫氏は「もう少し毛があったころ」の写真を公開

: そうです。海外留学、アメリカで勉強しなかったらまったく違った私になったと思います。いま今日のここに私はいなかったと思います。何らかの刺激をもらった。私の人生の方向というものが変わった、非常にエキサイティングなものになったと思います。つまり「英語を勉強する」だとか「大学で教科書を開いて勉強する」、そういうことではないんです。私の状況というものが変わったんですね。

ルース: これは、私が多く言ってきていることでありますが、私は学生時代、まったく違う決断を下しました。私はとにかく、「これこそ自分の進む道」だと思っていた道を邁進するために、海外留学をする時間が無いという風に思ったわけであります。今から大学時代を振り返ってみると、本当に最大の間違いであったという風に思います。

: 大学で勉強し過ぎたんですか、大使は。

ルース: いや、勉強し過ぎていたというわけではありませんけども、いろいろな文化、違った異文化を経験したり、そして外国に旅行するということをあえてしなかったと。私の妻スージーは、やはりスタンフォード(大学)に行ったわけですけども、その時に彼女はイタリアまで旅行しておりますし、彼女は「大学時代において最も素晴らしい経験だった」と言っております。また私が大使として着任した時に、息子が「日本の高校に行く」と来ました。彼はその時17歳でした。

: そういう時こそ、一番まだ頭が柔らかいんですよね。

ルース: そうです。とにかく、(息子は)まず最初に日本が大好きになりました。そして今大学生ですけれども、カリフォルニアで勉強しているにもかかわらず、夏のあいだはアルバイトをしに日本に戻ってきて、そして大学では日本語のクラスを取っております。本当に彼の視野というものが非常に広くなったわけであります。誰であったとしても、単にそのチャンスがあるというだけではなく、しかも「やってやろう」というその気持ちがある人は、ぜひともそうやってほしいと思います。

: 先ほど大使は、海外に留学する時間が無いんじゃないかと思われたと仰っていましたが、ただいったん仕事を始めてしまうと、もっと難しくなりますよね。自分の生活を突然変える、海外に行くというのは難しくなってしまいますよね。

ルース: ただアメリカ大使として就任しない限りにおいてはですね。

: そうですね。ただ高校生の時、あるいは大学生の時、正式に就職する前。やはりそれが決め手になるということもありますよね、仕事が決め手になってしまう。仕事を決めてしまうとそれでもう、1つコースが決まってしまう。でもその仕事に就く前であれば、360度自由があるわけですよね。どういう道を進んでも良い。360度自由と。そして海外に行っても、まったく違った環境に入れば、本当にまさに目が覚めるような思いをすることになると思います。そして違う考え方を持ったりすることができるんだと思います。

ルース: そうですね。いろいろな経験を持つということも大切ですけれども、同時にまったく同意されると思いますが、この時代、私どもはともかくグローバル化された世界に住んでいるわけであります。孫さんもそう思っていると思いますが、とにかく世界から自分を遮断することはできません。どの国にいたとしても同じことが言えるわけであります。現実には、より異なった文化を経験すればするほど、それだけ自ら強くなるわけです。最初に就職した時でもその後でも構いませんが、とにかく競争力が付きます。

: グローバル化と今仰られましたが、私にとってアメリカに留学をしてそして英語を学ぶというのは、これはただアメリカを見るための体験、英語を学ぶためだけの体験、アメリカでライフスタイルを体験してそれを学ぶというだけではなく、まさにグローバル化に道が開かれたんだと思います。例えば、中国の方、あるいはイタリアの方、あるいはフランスの方、あるいはロシアの方ともお話をするに当たって、やはり英語を使ってコミュニケーションをします。ですので英語というのは、イギリス人やアメリカの人とのコミュニケーションツールというだけではありません。これは、やはりどこの国の人であっても世界中の人とのコミュニケーションのツールなんです。良いか悪いかはともかくとして、それがデファクトになっています。

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