バラエティ豊かな世界の「酢」最前線
ピクルスがおいしい季節が到来中。ピクルスの主な材料といえば当然「お酢」ですが、ところであなたの家には何種類の酢がありますか? え、穀物酢だけ? もしかしたらワインビネガーが戸棚の奥に眠っているかも? だとしたらもったいない話。酢の世界は日々、進化を遂げています。最近とくに注目を集めている、個性豊かな酢の新顔たちをご紹介しましょう。
フランス代表・香り豊かな「シャンパンビネガー」
赤・白のワインビネガーを日常的に使い分ける人は増えてきましたが、シャンパンビネガーを使いこなせる人は料理の腕前も相当なもの。その名の通りシャンパンを原料とするシャンパンビネガーは非常に酸味が強く、少量でもしっかり酸味を主張してくれます。また、香りが非常に豊かなため、香りと酸味はきかせたいが料理は水っぽくしたくない、というときに重宝します。鶏肉料理や白身魚などのソースに加えるとすっきり爽やかな味わいに。
中国代表・もち米由来の「香醋(こうず)」
中国版の黒酢ともいわれる褐色のお酢。主原料は玄米、もち米、雑穀など。長期間熟成させたものをさらに最終段階で煮詰めて作るため、アミノ酸が豊富で独特の香りがすることから「香醋」という名がつけられました。こちらは香りや酸味よりも、凝縮されたエキスの旨味が個性。酢豚など濃い味の中華料理に向いています。
りんご酢以外の果実酢も続々登場
りんご果汁から作るりんご酢は“飲むお酢”として定番になりましたが、最近はそれ以外にもさまざまなフルーツ由来のニューカマーが増えてきています。たとえば、梨から作る「梨酢」はクセがなくさらりとした味わい。酢味噌和えやさば味噌煮など、魚料理の下ごしらえに使うと上品な味わいに。和風料理と相性がいいことで知られています。また、ブルーベリーやローズヒップを原料とした飲む果実酢も、ソフトな酸味と甘い香りで大人気。炭酸水で割ると爽やかに飲めます。
他にもシェリー酒を原料としたシェリービネガー、サトウキビから作るきび酢、紫芋から作る紅酢など、個性豊かな酢が市場に出回っています。さまざまな種類の酢を使い分けることで、料理の幅もぐんと広がるはず。店頭で出会ってピンときたら臆せずぜひ試してみましょう。
参考文献:『調味料の基本』 枻出版社
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