藤村官房長官、老朽化した原発は「当然なくなる方向」

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藤村修官房長官

 日本原子力発電・東海第2原発のある茨城県・東海村の村上達也村長は2011年10月11日、細野豪志原発事故担当相と会談し、運転開始から30年以上が過ぎた東海第2原発を、廃炉にすべきとの考えを伝えた。30キロ圏内に100万人の人口を抱える立地条件と老朽化がその理由。東海第2原発はことし3月11日の東日本大震災で自動停止し、まだ再稼働の見通しは立っていない。

 老朽化した原発の廃炉を訴える地方自治体の首長が出てきたことで、「ストレステストなどで安全性を厳格にチェックし、稼働できるものについては地元の理解を頂くため説明しながら再稼働していく」という野田政権の指針が問われている。

 藤村修官房長官は10月12日午前の記者会見で、東海村の村上村長が細野原発事故担当相に東海第2原発の廃炉を申し入れたことについて、ニコニコ動画の七尾功記者から質問を受けると、「(細野大臣は)申し入れは申し入れとして受け止めたということだと思う」と述べた。また、政府の原発老朽化への対応については、「いわゆる耐久年限が過ぎた場合に新たに作ることはしないという言い方でずっと言っている」とした上で、

「40~50年、耐久年限はそれぞれの基によって違うかもしれないが、そういう段階になれば、当然なくなるという方向だ」

と述べた。さらに、この「当然なくなる」という発言についてほかの記者から「原発が将来的に日本からなくなることを指しているのか」という質問がされると、藤村官房長官は、

「エネルギー・環境会議において、今後の長期的なエネルギー政策は来年8月を目処に決定していく話なので、50年なり経過したものはなくなるということであるけれど、日本の社会から原発がなくなることを結論付けたわけではない」

と言葉の意味を説明した。

■藤村修官房長官とニコニコ動画記者(七尾功)らとの一問一答

七尾記者: 東海村の首長が、周辺人口の多さと原発の老朽化を背景に昨日、細野原発事故大臣に東海第2原発の廃炉を求めました。こうした求めは異例とのことですが、どのように受け止めたのでしょうか。

藤村官房長官: 昨日細野さんのほうに東海村の村長さんからそういう申し入れがあったということを聞いています。現在東海村は一基だけですが、定期検査中で停止中の原発の再稼働という問題にかかって言ってこられたのだと思います。再稼働については今後、事業者が行ったストレステストを保安員が評価し、さらにその妥当性を原子力安全委員会が確認した上で、そしていつも言っておりますように地元のご理解、あるいは国民の信頼が得られているかという点も含めて、最終的に政治的に判断をする。こういうことでありますので、安全の確保、あるいは地元住民との信頼関係の構築が大前提。地方自治体に対しては政府が全面に立って、また安全対策等について丁寧に説明をする。今後こういう手続きをうんと経た上で、その上で判断するということになろうと思いますので、申し入れは申し入れとして受け止めたということだと思います。

七尾記者: 今回の背景に、東海第2原発が稼働から30年以上経つという経緯があります。改めてお伺いしたいのですが現在、政府としての原子炉の老朽化への対応は。

藤村官房長官: 東海村は多分、昭和53年からスタートしているんだと思います。110万キロワットクラスの一基ということですね。政府としてはといえば、野田総理大臣も言っているとおり、いわゆる耐久年限が過ぎた場合に新たに作ることはしないという言い方でずっと言っておりますので、ここも40~50年、耐久年限はそれぞれの基によって違うかもしれませんが、そういう段階になれば、当然なくなるという方向だと思います。

朝日新聞記者: 原発の質問の中で長官最後に、それぞれの基によって違うと思うが、当然なくなると思うという形で最後仰られたが、当然なくなるというのは原発が将来的に日本からなくなるということを指しているのか。

藤村官房長官: ここはまだエネルギー環境会議において、今後の長期的なエネルギー政策は来年8月を目処に決定していく話でありますので、50年なり経過したものはなくなるということであるけれど、日本の社会から原発がなくなるということを結論付けたわけではない。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]七尾記者の質問部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv66984533?po=news&ref=news#14:27

(山下真史)

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