職場に「苦手な人」がいる時に。ストレスを感じないための4つの心得
年度初めの4月は新しい組織体制が組まれる時期。部署やチームのメンバーが入れ替わり、「苦手なタイプの人と一緒になってしまった…」と、憂うつになっている人もいるのでは。あるいは、新しく担当になった取引先の人物が苦手なタイプで、不安を感じている人もいるかもしれません。
今回は、職場で「苦手」「嫌い」と感じる人とどのように向き合うかについて、セルフコーチングコンサルタントの早川優子さんにアドバイスをいただきました。
早川さんが言うには、「相手の言動が気になってしまうのは、相手にコミュニケーションの主導権を握られている状態といえます。そうならないためには、自分の意思を持って相手とのコミュニケーションの仕方を変えましょう」とのこと。早川さんがお勧めする方法をご紹介します。
「避ける」ことは、悪いことではない
苦手な人に対し「何とかして良好な関係を築かなければ」「相手を好きになるようにしなければ」と努力している人も多いのではないでしょうか。しかし、ムダな努力をするより、避けて通れるものであれば、そうした方がいいでしょう。
実は、夢や目標を実現している成功者というのは、どうしても好きになれない人や苦手だと思う人とは距離を置いていることも多いものです。人を嫌ったり憎んだりするのは非常にパワーを使うもの。相手を変えようとしたり、相手に合わせるために自分を変えようとしたりするのは、さらにパワーを要します。『そんなパワーを使うのはムダ』と割り切り、苦手な人を避けて通ることでコミュニケーションの主導権を握っているのです。
苦手な人と付き合うことにパワーを使い、神経をすり減らすよりも、その分、他の人たちとの関係を深めることに力を注ぐほうが有意義。苦手な人からも学べることはもちろんあるでしょうが、好きな人たちと時間をともにするほうが、その何倍も得るものがあります。
とはいえ、自分の意思で相手を避けることができない状況のほうが多いと思います。
その場合は、次のような方法を試してみてください。
相手の言動に対し、「解釈」を変えてみる
例えば、「すぐに大声で怒鳴る」上司に対し、苦手意識を抱いているとします。「自分のことを嫌っていて、感情をぶつけてくる」と捉えて怒りや反発を感じる人もいれば、「自分の能力のなさが相手をいら立たせている」と捉えて、落ち込んでしまう人もいるでしょう。こうした場合、「できるだけ顔を合わせたくない」「近寄りたくない」となってしまいます。
しかし、視点を変えて「この上司は誰にでも怒鳴り口調だが、怒っているわけではなく、そういうコミュニケーションパターンなのだな」と捉えれば、冷静に接することができます。
さらには、「自分のことを思うあまり、指導に熱が入り過ぎるんだ」「自分を育てることに必死になってくれて、ありがたいことだ」またはなどと解釈してみれば、ポジティブな気持ちになれます。喜怒哀楽の感情というのは、事実はどうであれ、「自分がどう考えたか」によって決まるものです。
「些細なことをネチネチと突いてくる」と思うと腹が立ちますが、「細かいことに気付いてくれるので助かる」と思えば、感謝の気持ちが生まれます。さらに(わざとらしくても)言葉にしてそれを相手に言えたならば、よりネガティブな感情は鎮まるでしょう。
自分が「喜」「楽」を感じられるような考え方および表現力に持っていければ、その時点で、あなたは相手とのコミュニケーションの主導権を握ったといいっていいでしょう。
感情にこだわらず、「目的」に集中する
仕事上、苦手な人を避けて通れない。視点を変える努力をしてみても、関係が改善されない――そうした場合は、感情を抑えて「淡々と目標を目指す」のが得策です。仕事においての「本来の目的」を意識してみてください。それは「上司・同僚・取引相手と仲良くすること」ではなく、「ミッションや目標を達成すること」であるはずです。
「その目標を達成するためには…」と冷静に状況を観察し、その相手とコミュニケーションを取らなければならない理由は何なのか、どの程度のコミュニケーションが必要なのかを考えてみましょう。そうすれば、感情に振り回されず、ドライに「目的達成のために必要なこと」として、最小限のコミュニケーションにとどめることができるようになります。
「A については突っ込んだ話し合いが必要だが、B については自分の独自判断で進めよう」といったように、自分の行動を取捨選択するのです。そうすれば、コミュニケーションの主導権が握れていることを実感でき、人間関係のストレスも和らぎます。
「味方」を増やせば、苦手な人の存在が気にならない
苦手な人以上に、自分の味方になってくれる人、応援してくれる人がたくさんいれば、苦手な人の存在が気にならなくなるもの。では、たくさんの味方を得るためには、どんなことを心がければいいのでしょうか。
大勢の味方がいる人を観察してみると、ある傾向が見られます。
一つは、「周囲の人たちにこまめに働きかけている」こと。
挨拶はいつも自分から。「楽しそうだね。いいことあった?」「最近、ちょっと疲れてない?」「この間話してた案件、うまくいってる?」などと、業務に関係ないことでも、ちょっとした言葉がけをしています。言葉をかけられた側は、「自分のことを気にかけてくれる」とうれしくなります。その人が困っているときは力になってあげたい、と思うようになるというわけです。
もう一つは、「自分の知識や情報、アイデアを惜しみなく皆に与える」ということ。
例えば、自分が苦労して作成した資料を「使ってください」と皆に提供したり、自分がうまくいった営業戦術を他のメンバーにも共有したり。「求める」より前に「与える」ことを実践し、チームに貢献している人は、多くの味方を得ることができるのです。そうした人が仮に「苦手な人」と対峙することになったとしても、味方が多い分、心強く感じますし、優位に立てることでしょう。
――これまでの話を踏まえ、下記の項目について考えてみてください。
自分が苦手とする人と、今後付き合わずにすむか 具体的に、相手のどんなところが苦手なのか。例えば、その人のある言動に対し、どのように感じるのか そうした自分の感じ方を、別の視点から考えてみるとどう変わるか その人とコミュニケーションをとらなければならない目的とは その人を好きにならなくても、その目的を達成する方法とは
言葉にして書き出してみることで、客観的に捉えることができ、最善の対処法が見えてくるかもしれません。
早川優子氏/セルフコーチングコンサルタント
上智大学文学部教育学科卒業後、オムロン株式会社入社。研修の企画立案、インストラクター、ビジネスマナー研修、フォローアップ研修の講師などを担当。その後、株式会社リクルートに転職し、求人広告や人材派遣の営業を経験する中でライフワークについて考えるようになり、社会保険労務士資格を取得。
人事コンサルティング会社に転職し、社内に社会保険労務士早川優子事務所を設立。労務・人事全般のコンサルティングやセミナー講師を行う。さらにコーチングも学び、財団法人生涯学習開発財団認定コーチとなる。2004年に独立し、セルフコーチングコンサルタントとして企業研修やコーチングセミナーなどを開催。著書に『夢が実現する9つのルール~セルフコーチングで愛と成功を手に入れる』(大和出版)
EDIT&WRITING:青木典子
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