「AKBの経済学」著者に聞く ”研究生選抜入り”の意味

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じゃんけん大会で選抜入りした研究生の小林茉里奈

 アイドルグループAKB48らによる「AKB48 24thシングル選抜じゃんけん大会」が2011年9月20日、東京・千代田区の日本武道館で開催され、篠田麻里子が優勝。第24弾シングルに出演する16人の選抜メンバーとセンターポジションが決まった。

 今回、選抜入りが決まったメンバーの中にはAKB48研究生の小林茉里奈がいる。研究生がAKBの選抜メンバーになるのは今回が初めて。ファンにとって、研究生が選抜入りすることはどのような意味を持つのだろうか。AKB48のビジネスモデルをもとに日本経済について分析した著書『AKBの経済学』で知られる上武大学ビジネス情報学部の田中秀臣教授に話を聞いた。

 研究生とは、AKB48におけるチームのひとつ。AKBメンバーのオーディションに合格したものは、まず”研究生候補生”となり、さらにセレクションに合格すれば”研究生”というポジションが与えられ、正式メンバーを目指す。主にメンバーが公演に出られない場合の”代役”として活躍するが、秋葉原にあるAKB劇場では研究生のみの公演もある。このように聞くと、研究生はプロへの階段を駆け上がっている途上と見られるが、田中教授は「彼女たちは劇場で公演し、お金を取っているプロ」と説明する。

 今回のじゃんけん大会では、その研究生から小林茉里奈が選抜入りした。この結果に大会後に話を聞いたファンからは「これこそがじゃんけん大会」との声が上がる一方で、「AKB劇場で公演を見たときにMCが不安だった」と研究生の実力を不安視するむきもある。

 この意見に対し、「研究生と正規メンバーはあくまで便宜上の区別でしかない」と語る田中教授は、歌やダンスなど技能への不安の声に対して首をかしげる。

「そもそも日本のアイドルは、(全員)素人芸。完成された芸を求めるのは違う。むしろ不完全であればあるほど可愛くなる」

 じゃんけん大会は、これまでなかなか表舞台に出られなかったメンバーにチャンスが与えられる場だ。そこに研究生が加わることによって、また違ったAKBの形を見出すことが出来る。それはAKBファンにとって、これまでと違った「不完全さ」を楽しめることを意味するのではないか。「16人全員が研究生でもいいじゃないか」という田中教授は、このような「不完全さ」を楽しむことを「アイドル鑑賞のわびさび」と表現していた。

◇関連サイト
・AKB48公式サイト
http://www.akb48.co.jp/

(松本圭司、写真・石津大助)

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