福岡県民の大好きな梅ヶ枝餅を3倍美味しく食べる!?梅ヶ枝餅トリビア

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天神様こと菅原道真公を祀る太宰府天満宮は、福岡を代表する観光名所の一つ。初詣でや受験シーズンに突入するこれからの季節はものすごい数の参拝客でごった返します。

最近は特にアジア系の観光客で賑わっていて、最寄りの西鉄太宰府駅から天満宮へと続く表参道は「△ζ◎ξ%☆?」「◆λ◯β$♡龗龗!」と日本らしからぬ喧騒に包まれています。

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お土産屋さんが立ち並ぶ参道の中でも十数メートルおきに行列ができているのは、太宰府名物・梅ヶ枝餅の店。

梅ヶ枝餅と言っても別に梅の枝が入っている訳ではなく、シンプルなアンコ入りの焼き餅で、その名前は大宰府に流され軟禁状態だった道真公に近くの老婆が餅を梅の枝の先に刺して格子の隙間から差し入れたという伝説に由来しています。

お土産物の甘いものは往々にして地元の人は見向きもしないということ多いものですが、梅ヶ枝餅はさにあらず。

ほんのりとした上品な甘さで、福岡県民ならみんな大好き。

辛党でも梅ヶ枝餅なら食べるという人も多いのです。

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食べる人によって違う? 梅ヶ枝餅の2つの食感

この手の餅菓子には餅や餡の種類によってチョコレートとかカスタードとか抹茶風味とかバリエーションがありそうなものですが、梅ヶ枝餅にはそういったものはありません。

あるのは小豆の餡をもち米とうるち米の薄手の餅で包んで焼いたシンプルな焼き餅があるのみ。

参道や境内にある梅ヶ枝餅の店は全て「梅ヶ枝餅協同組合」に入っていて、基本的な材料や製法はみんな同じ。

値段も1個120円で統一されています。

じゃあ、どの店で食べても全く同じ味なのかというとそういう訳でもなく、材料の配合具合など、店によって若干の違いがあるようです。

地元・福岡の人間にはそれぞれ贔屓の店があって、へたに「どこのが美味しい?」なんて訊こうものなら、短くない講釈を聞かされることになるので注意しましょう。

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まあ、お店による違いは微妙なもので、僕みたいな舌の持ち主にはよく分からないのですが、実はもっと明確に梅ヶ枝餅の味を左右するポイントがあります。

このポイントによって、ある人は梅ヶ枝餅の印象を「サクサクの軽い食感で旨い!」と言い、ある人は「しっとりやわらかくて美味しい!」と、全く逆のことを言うのです。

そのポイントとは、イートインで食べるかテイクアウトで食べるのか。梅ヶ枝餅は、餡餅のだんごを焼き型に挟んで両面をこんがりと焼くため、表面はパリッと香ばしく焼き上がり、中のモチモチの食感と絶妙のコントラストとなります。

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写真では分かりにくくて恐縮なのですが、表面がパリッと割れて、イートインではこれをそのまま味わえます。

一方のテイクアウトでも、買う時点では焼きたてのアツアツ。

しかし、熱で中の水分がとんでしまうと固くなってしまうので、テイクアウト用の梅ヶ枝餅は、1個ずつラップで包んで水分がとばないようにしてあります。

そのため、表面の本来サクサクの部分にも水分がまわってしまい、しっとりしてしまうという訳なのです。

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これまた分かりにくくて恐縮ですが、割ってもパリッとはならず、全体がびよ〜んと伸びてしまいます。

もちろん、それはそれでおいしいのですが、テイクアウトで焼きたて同様の食感を味わうなら、一旦電子レンジで温めて、仕上げにオーブンで2〜3分焼くのがオススメです。

月に1度、緑の梅ヶ枝餅が現れる!?

さて、基本的にバリエーションはないと言った梅ヶ枝餅ですが、実は月に1日だけ、緑の梅ヶ枝餅が登場します。

菅原道真公は誕生日も命日も25日なので、毎月25日は「天神様の日」として例祭が行われるのですが、この日にだけヨモギ入りが販売されるのです。

かつては梅ヶ枝餅にもふつうにヨモギ入りがあったのですが、ヨモギの減少などで生産を中止していたものを、梅ヶ枝餅協同組合で天神様の日だけ復活させたのだとか。

ふつうの餅やまんじゅうにヨモギ入りがあるのは不思議なことでありませんが、白しかないと思っていた梅ヶ枝餅に、月に1日だけヨモギ入りが作られる日があったとは!

馴染みのない観光客は珍しい梅ヶ枝餅に驚き、地元の常連客には並んでまで買いに来る人もいて、売り切れてしまうことも多いそうです。

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さらに、去る10月17日には太宰府にある九州国立博物館の開館10周年を記念して、古代米である黒米入りの梅ヶ枝餅が作られたのですが、これが好評だったため、以後毎月17日を「きゅうはく」の日として、黒米入りの梅ヶ枝餅を販売することに。

こちらは色がほんのり紫がかっていて、黒米のかすかな苦味が餡の甘さを引き立てています。(下の写真は梅ヶ枝餅協同組合提供)

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噂の「重ね餅」を試してみた

ところで噂によると、梅ヶ枝餅の古い食べ方に、餅を二つ重ねてその間にも餡を挟む「重ね餅」という食べ方があったのだとか。

今回の取材のついでにその噂について尋ねてみると、昔は梅ヶ枝餅を包む竹の皮に、サービスとしてアンコを余計に入れていたのだそう。

そのサービスアンコの活用方法として、買った人が自分で重ねた餅の間に挟んでいたのだということです。

実際に「重ね餅」がどういうものだったのか、現在はどこのお店でもやってないのですが、無理にお願いして再現していただくと……

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ジャーン!

2個の梅ヶ枝餅を背中合わせにして、その間にアンコがたっぷり。

これはもう、梅ヶ枝餅のハンバーガー状態!

アンコ好きが見たら卒倒しそうなボリュームです。

甘さ控えめの現代ですが、意外とマニア受けしそうな気もしますね。

お店情報

梅ヶ枝餅協同組合

※購入は太宰府天満宮参道および境内のお店で

(取材協力:かさの家/福岡県太宰府市宰府2−7−24 電話092−922−1010)

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書いた人:

兵土 G. 剛

福岡のタウン情報誌の編集部に15年勤めた後、フリーライターに。食うの好き、飲むの好き、きれいな女の人好き。マメさなし、根性なしの偏屈じじぃ。 Twitter:@taul_nakataney

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