ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

【レッドブル・エアレース】室屋義秀選手単独インタビュー、2016年シーズンの抱負を聞いてみた

レッドブル・エアレースの2016年シーズン開幕を3月11日に控え、唯一のアジア人パイロット、室屋義秀選手の今シーズンにおけるチーム体制を発表する「2016シーズンキックオフ・ミーティング」が東京で開催されました。

クリス・ペプラーさんの司会のもと、室屋選手が登場。トークショウ形式で2015年を振り返るとともに、2016年シーズンに臨むチーム陣容と、愛機エッジ540V3.5の状態、そして目標について和やかな雰囲気の中で語りました。

【関連:レッドブル・エアレース2015 第5戦アスコット大会・ボノム選手3勝目、室屋選手今季初表彰台!】

トークは和やかな雰囲気

トークは和やかな雰囲気

2015年シーズンは、新機体「エッジ540V3.5」を導入し、それを熟成することで、2016年シーズンに飛躍する為のスプリングボードとする、いう位置付けだったという室屋選手。複数回のファイナル4進出や2回の表彰台(3位入賞)など、結果も出して良い感じでチームが熟成されていったと総括しました。

そして「総合優勝を目指す」という目標のもと、チーム体制を整えた2016年シーズン。西村隆さんに代わり、新たに加わったチーム・テクニシャン(整備担当)、ケリー・ヴォーゲルさんは、一人乗りの双発ジェット機KEDAN1(登録記号:N100DK)を開発するなど、自作機のエンジニアとしても実績の豊富な人物です。

機体も2015年仕様から更に改良を加え「他よりも1秒のアドバンテージを」という目標で仕上げてきたのですが、その改良の大きな目玉であったウイングレット(主翼端を上向きや下向きに跳ね上げた形状の小翼で、旋回・上昇時に増大する誘導抗力を軽減し、速度低下を防ぐ装備)が、昨年10月にレースを統括する委員会の了承を得て製作したものの、1月に入って実戦投入に関してストップがかかってしまい、開幕戦のアブダビ(3月11日・12日)には間に合わないという状況に。

アドバンテージを失った状態になってしまったことで、開幕戦は混戦の中に引き戻される形になるのではないかとのこと。開幕直前の短い期間でプランの練り直しを余儀なくされてしまいましたが、それでも「年間ランキングで3位以内には入る」というモチベーションを維持して戦っていくと語ってくれました。

2016年から決勝のレース方法に少し変更がありました。従来8位以上に付与されていたポイントが、今年からは10位まで付与されることに。これにより、ラウンド・オブ・14で敗退したとしても、速ければポイントを獲得することができるようになります。

また、ラウンド・オブ・14からラウンド・オブ・8にいたる組み合わせは、従来はラウンド・オブ・14の組み合わせを基準としたトーナメント形式をとっていましたが、今年からはラウンド・オブ・14でマークしたタイムを基準に、再度組み合わせが決定されます。より「組み合わせの運ではなく、速く、ポテンシャルの高いチームが正当に評価される」形になったと言えるでしょう。室屋選手もこの変更は歓迎していました。

レッドブル・エアレースやエアロバティック(曲技飛行)競技と並行して行っている、エアショウを中心とした航空文化の啓蒙活動については、ショウのほか、活動の拠点である福島県でのNPO(ふくしま飛行協会)の活動に参加し、子供のうちから「航空の世界を知ってもらう」ことでスカイスポーツの認知度向上を図っています。「空の楽しさ」を知ってくれた子供達が、将来的に航空の世界に進んで活躍してくれたら……という希望も。日本はゼネラルアビエーション(エアラインとは別の、自家用機.事業用機などの民間航空)について馴染みがないという現状があるので、それを打開したいという思いが伝わってきました。

2015年のレッドブル・エアレース千葉大会で、スカイスポーツが一気に認知されたことには本当に感激したそうで、大きな力をもらったと語ってくれました。(これは長年のレッドブル・エアレースファンである筆者も同じ気持ちです)

サムアップサインの室屋義秀選手

サムアップサインの室屋義秀選手

イベント終了後、室屋選手に単独インタビューし、特に今シーズンの機体について伺いました。

●2015年を振り返ると、2度の表彰台やファイナル4進出、予選上位タイムなど、大きな収穫のあったシーズンだったと思います。そして今年を見ると、ポール・ボノム選手がいなくなったということは、総合優勝を狙う上ではとても大きなチャンスでもあり、また群雄割拠の状況になる可能性も秘めていると思うのですが、どうお考えですか?

「我々は目標とするターゲットタイムというのがあって、それに向かっていくという考えでレースを進めているので、実はポール(・ボノム選手)がいないとか、他の選手が……というのは、あまり意識していないんです。最終的に、誰よりも速く飛べばいいので。ただ、ポールが抜けたことで『もう少しで(ポールに)勝てたのにな』と思う部分もありますね(笑)。ただ、彼が抜けたことで、条件はまた14人同じだと考えているので、チャンスだとか、特に意識しているという感じではありませんね」

●ベストなパフォーマンスをすれば、結果は自ずとついてくる、という感じですか?

「そうですね。各選手の機体の仕上がり具合というのは判らない部分がありますけど、パイロットとしての技量については判っているので、彼らの機体の速さというのが予想される範囲にあるならば、それほど意識する必要はないかなと思っています。……昨年、マット(・ホール選手)がコンスタントに速かったので、彼がさらに進化することを見越して、それをターゲットとしてプランニングしているといった感じです。全体に関しては、やはり混戦ではないかと思っています」

●昨年の結果で、ファイナル4や表彰台に上がるには何をすればいいのか、というのが判ってきたという、手応えみたいなものはあるんでしょうか?

「全ての要素が必要だとは思うんです。『心技体』というか、機体の状態やパイロットの技量、そしてメンタル面など、全てが合わさった結果として、ファイナル4に行けるんですね。なかなかハードルが高く、簡単にいけない世界なので。……ただ、そこから優勝するとなると、更にもう一段高いハードルがあるんです。今はそこを求めているところです。ファイナル4に残るということには慣れてきましたし、その中で課題というのも見えてきて、その対策もできるようになってきました。昨年は『ファイナル4に行く』という目標でしたが、今年は『ファイナル4の中で戦う』というのが目標になると思います」

1 2次のページ
おたくま経済新聞の記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

山寺宏一&高木渉で『ポプテピピック』

GetNews girl / GetNews boy