海外で注目されない、「野田新首相誕生」のニュース

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ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏(左)と段躍中氏

 民主党の野田佳彦新代表は2011年8月30日、衆参両院本会議で新たな首相に指名された。震災復興や原発事故の収束、財政赤字の削減やデフレ脱却など数々の問題が山積する今の日本をどのように舵取りするのか、その手腕に注目が集まるが、海外での反応は薄いようだ。同日に放送されたニコニコ生放送の特番「世界に勝つために新内閣はこれをやれ」では、外国人ジャーナリストらが出演し、野田新首相の誕生が海外でどのように捉えられているのかを語った。

 国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏は英紙『ガーディアン』のウェブ版を紹介し、野田新首相に関する記事が「ワールドニュース」トップページに掲載されていないことを指摘。「UKガーディアンは読み手の気持ちに敏感なので、彼らの気持ちを如実に反映した」と述べ、日本の新首相誕生に対しての注目度の低さを伝えた。また、米紙『ワシントン・ポスト』でも野田政権に関しては社説記事で取り上げているだけのようで、「日本の議員たちがまた新たに首相を選ぶ」と、1年ごとに首相が代わる日本の政界を揶揄するような皮肉交じりの見出しで記事になっているようだ。

 イタリア人ジャーナリストのピオ・デミリア氏は、野田新首相誕生に対してのイタリアでの反応を問われると「あまりニュースになっていない」と切り捨てた。その理由について、デミリア氏は「イタリアの内閣もよく潰れたが、5年間で6名(の首相)は、イタリアでは考えられない」と述べた。また、ドイツやフランスなどEU(欧州連合)での報道でも「日本に対しては興味があるが、永田町についてはニュースにならない」と話し、欧州での注目度の低さが伺えた。

 一方、中国のメディアは、野田新首相誕生について関心度が高いようだ。中国人ジャーナリストの段躍中氏によると、中国の有力サイトは野田新首相のニュースを「トップニュースとして扱っている」という。人民日報の一面では野田新首相の評論記事を掲載し、注目されているとのことだ。ただ、頻繁な首相交代には中国国内からも疑問の声が上がっており、段氏は「(日本と)中国の政治システムは全く違う」としながらも、「首相が(何度も)交代したことは中国人も不思議に思っている。誰と信頼関係を作れば良いのか心配する声が多い」と述べた。

■なぜ短期間で首相交代が繰り返されるのか?

東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏

 外国人ジャーナリストらが指摘したように、日本では立て続けに首相交代が起きている。年中行事化した首相交代劇は、外交での信頼関係に関わるだけではなく、国民の政治に対する関心にも悪影響を及ぼしている。東京新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏は、日本の首相が次々に代わる根本的な原因の一つに、掲げた政策を守らないことにあると指摘する。

 長谷川氏は、首相が辞任に追い込まれる理由の一つとして、参院で野党が過半数を占める「ねじれ国会」にあると指摘。「1年交代はなぜか? 2年前、(民主党は)300議席を取って大勝している。あの勢いが安定しないで、参院で負けて、『ねじれ』になったのがその理由。なんで300も勝った政党が、その次にはボロ負けするのか? さらに、その前にさかのぼれば、小泉(純一郎)さんの時にあれだけ人気があった自民党が何で人気がなくなってきたのか。これが一つの根本的な論点」と語る。

 そして長谷川氏は、政権党が人気を持続できない原因について「(衆院選で)勝ったときの旗を掲げ続けていないから。だから国民は失望する。その旗とは脱官僚・政治主導。それを高く掲げ続けていれば、次の(参議院)選挙でもボロ負けはなかった」と持論を展開。その上で

「この国の本当の権力は霞が関。そこと戦うか戦わないかが、隠れた一番大きな論点。これに多くの人が期待して、政権に委ねるが、(脱官僚を)やりきれないから、負けて短命で終わってしまう」

と、短期政権で終わる原因を分析した。

◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]ロバートソン氏の発言部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv62034594?po=news&ref=news#07:40

(三好尚紀)

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