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少子化の原因が分かったので対策書く/書籍『失敗すれば即終了』の補足(デマこい!)

他国のデータを調べてみよう。

アジア諸国の少子高齢化

少子化の原因が分かったので対策書く/書籍『失敗すれば即終了』の補足(デマこい!)

経済発展が少子化をもたらすかどうかは、合計特殊出生率と1人あたりGDPの経年変化を調べれば分かる。ここでは、グラフの形状をモデル(A)~(C)に分類した。

モデル(A)は、経済発展が少子化よりも先に進んだ場合に見られるグラフだ。合計特殊出生率は際限なく下がるわけではなく、(日本の1959年以降のように)約2.0まで達すると下落しにくくなるようだ。したがってモデル(A)-2のように、[1人あたりGDPの増大]→[合計特殊出生率の低下]→[低下が穏やかになる]というS字カーブを描く場合もあると考えられる。モデル(A)-1、(A)-2は、どちらも「経済的豊かさが少子化の原因である」という仮説に一致する。

一方、モデル(B)は、経済発展よりも先に少子化が始まった場合に見られるグラフだ。左下に膨らんだ、L字に近い形状になる。日本もこのモデルに当てはまる。

モデル(C)は、経済発展と少子化に相関が無い場合に見られるグラフだ。グラフは一定の軌道を取らず、ランダムな動きを見せるだろう。

モデル(B)、(C)は、どちらも「経済的豊かさが少子化をもたらす」という仮説を否定するものだ。

少子化の原因が分かったので対策書く/書籍『失敗すれば即終了』の補足(デマこい!)

同様に、乳児死亡率の低下が少子化をもたらすかどうかも検証しよう。上記の通り、グラフの形をモデル(α)~(γ)に分類した。(※アルファ~ガンマ)

モデル(α)は、乳児死亡率が合計特殊出生率よりも先に下がった場合に見られるグラフだ。合計特殊出生率は2.0前後よりも下には落ちにくい。そのため、モデル(α)-2のようなS字を描く場合も考えられる。日本のデータも、モデル(α)-2に当てはまる。モデル(α)-1、(α)-2は、どちらも「乳児死亡率の低下が少子化をもたらす」という仮説と一致するグラフだ。

モデル(β)は、乳児死亡率よりも先に合計特殊出生率が下がった場合に見られるグラフだ。
また、モデル(γ)は、乳児死亡率と合計特殊出生率に相関が無い場合のグラフだ。
モデル(β)、(γ)は、どちらも「乳児死亡率の低下が少子化をもたらす」という仮説を否定するものだ。

少子化の原因が分かったので対策書く/書籍『失敗すれば即終了』の補足(デマこい!)

もしも少子化の原因が「経済的な豊かさ」だとしたら、多くの国で上記のような組み合わせが見られるだろう。1人あたりGDPのグラフはモデル(A)-1、(A)-2のどちらかになり、乳児死亡率のグラフはモデル(β)、(γ)のどちらかになるはずだ。こういう組み合わせの国が多ければ、「経済的な豊かさが少子化をもたらす」という仮説を肯定できる。

少子化の原因が分かったので対策書く/書籍『失敗すれば即終了』の補足(デマこい!)

一方、もしも少子化の原因が「子供の死亡率の低下」だとしたら、多くの国で上記の組み合わせが見られるだろう。1人あたりGDPのグラフはモデル(B)、(C)のどちらかになり、乳児死亡率のグラフはモデル(α)-1、(α)-2のどちらかになるはずだ。

では、実際にデータを検証してみよう。
今回は、20世紀後半に少子化を経験したアジア諸国のうち、14の国を対象に調査を行った*6。

*6:「世界銀行・合計特殊出生率データベース」
http://data.worldbank.org/indicator/SP.DYN.TFRT.IN

じつを言えば、この14ヵ国は、もともと「識字率の向上が少子化をもたらすかどうか」の調査対象だった。20世紀に識字率が改善した国としてユネスコのホームページに掲載されていた国である*7。(※結論は、識字率は少子化とは関係ない)調査対象を広げる必要性は認めるが、今回の調査のために恣意的に選んだ国々ではないということを強調しておきたい。

*7:「アジア太平洋の識字状況」 『ACCU』
http://www.accu.or.jp/shikiji/overview/ov04j.htm

結果を以下の表にまとめた。なお、個々の国のグラフは、この記事の末尾に付録として掲載している。

少子化の原因が分かったので対策書く/書籍『失敗すれば即終了』の補足(デマこい!)

日本を含む15ヵ国のうち、もっとも多かったのは「日本型」だ。1人あたりGDPのグラフはモデル(B)で、経済発展よりも先に少子化傾向が始まっていた。一方、乳児死亡率のグラフはモデル(α)-2で、S字カーブを描いていた。つまり、少子化の原因が「経済的豊かさである」という仮説を否定し、「乳児死亡率である」という仮説に一致する国々だ。
「パキスタン型」は、経済発展と子供の死亡率のどちらが少子化をもたらすのか特定できない国だ。1人あたりGDPのグラフはモデル(A)で、経済的な豊かさが少子化をもたらしたかのように見える。一方、乳児死亡率のグラフはモデル(α)で、子供の死亡率低下によって合計特殊出生率が下がったようにも見える。経済的な豊かさが少子化をもたらしたのか、それとも経済的な豊かさによって(栄養状態や医療が改善して)子供の死亡率が下がり、少子化につながったのか、グラフでは判断できない。それが「パキスタン型」の3ヵ国だ。

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