Eテレの報道に東電が反論 番組側はホームページで訂正

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ETV特集の番組ホームページ

 NHKは2011年8月17日、Eテレ(NHK教育テレビ)で2011年8月14日に放送したドキュメンタリー番組「ETV特集『アメリカから見た福島原発事故』」の中で事実確認が不十分であったとして、番組ホームページに「お詫びと訂正」を掲載した。この番組での報道の一部に対しては、東京電力が8月16日、公式ホームページ上で異議を唱えていた。

 東京電力がETV特集の報道内容について問題視した部分は3ヶ所。1つは「福島第1原発で、非常用ディーゼル発電機の設置位置をタービン建屋1階から地下1階に移動していた」という部分で、東京電力は

「非常用ディーゼル発電機は運転開始当初からタービン建屋地下1階に設置しており、非常用ディーゼル発電機を移動した事実はありません」

と反論した。これに対してNHKは

「非常用ディーゼル発電機が1階から地下に移されたとお伝えしましたが、最初から地下に設置されているものでした」

と事実誤認を認めている。

 2つ目は、番組の中で「1号機の水素爆発の影響で、格納容器頂部が露出しボルトが浮き上がったかのような画像が紹介された」部分で、東京電力は

「この画像は定期検査中であった4号機のものであり事実と異なります」

と指摘。NHKは、

「格納容器の蓋のボルトが浮いている映像を1号機と紹介しましたが、4号機の間違いでした」

と訂正している。

 さらに東京電力は、番組内の「格納容器ベントラインにフィルタが取り付けられていないとの指摘」に対し

「当社のBWR(沸騰水型原子炉)では、格納容器をベントする際にはフィルタと同程度の放射性物質の放出抑制が可能な”wetwell vent”を採用しています。すなわち、原則として、圧力抑制室内の水を通すこととし、アクシデントマネジメントの一環として必要な設備の追加や手順の整備を行っています。放送の中で”wetwell vent”と書かれた文書が映っていたにもかかわらずこのことについて一切触れておりません」

とフィルタが取り付けられていない理由を挙げ反論した。この点に関しては、番組ホームーページの「お詫びと訂正」では触れられていない。取材に対しNHK広報局は、

「NHKではwetwell ventの存在について認識していました。番組ではwetwell ventに加えてフィルターがあれば、さらに放射性物質の放出が軽減されるという議論に触れたものです」

と説明した。

 一方、東京電力は取材に対し番組ホームページでの「お詫びと訂正」について「承知している」とした上で、

「事実に基づいた正しい報道が今後とも広く行なわれること願っている次第」

とコメントしている。
 
(山下真史)

◇関連サイト
・東京電力 8月14日放送 Eテレ「ETV特集」における報道について
http://www.tepco.co.jp/cc/kanren/11081601-j.html
・ETV特集 8月14日放送「アメリカから見た福島原発事故」、お詫びと訂正
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/0814.html

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