冷蔵庫2015年モデル検証シリーズ①〜日立『R-X7300F(ZT)』に漂う王者の風格編!

CR5_4647修正済

新型「冷蔵庫」の検証記事である。冷蔵庫は毎年9〜10月に、その年のモデルが店頭に並ぶ。今回、「おためし新商品ナビ」では、国内主要6メーカーの2015年モデル冷蔵庫をすべて取材した。最初にご紹介するのは、国内トップシェアを誇る日立の冷蔵庫プレミアムXシリーズ『R-X7300F(ZT)』(実勢価格 税込約318500円・2015年8月13日発売)だ!

 

 

冷蔵庫についての今さら聞けない基礎知識

日立の最新冷蔵庫を紹介する前に、まず冷蔵庫という商品について、基礎知識などをおさらいしよう。

 

いま日本で冷蔵庫を生産しているのは6社。日立、パナソニック、東芝、三菱電機、シャープ、ハイアール(ブランド名はAQUA、旧・三洋電機)。その中で今回紹介する日立は、約40%の市場シェアを誇るトップランナーであり、シェア約30%のパナソニックがそれを追う。あとの30%を残りの4社が分け合うというのが、冷蔵庫市場の構図だ。

 

モノを冷やすという基本的な機能については既に完成されている家電が冷蔵庫。なので便利機能やデザインなど、各社さまざまな付加価値を打ち出して競っているのが面白い。しかし、各社カタログには様々なうたい文句が載っていてどれも魅力的に感じる。素人目で見ると正直その違いは理解しにくいし、いざ買う時にどれを選べばよいかわからないという状況も変わらない。なので「おためし新商品ナビ」では、どのメーカーの冷蔵庫が、それぞれどんな人にオススメなのか、わかりやすく紹介することに努めたい。

 

冷蔵庫は毎年9〜10月に最新モデルが店頭に並ぶのが基本。なので今の時期は、型落ちの在庫処分で安く買える2014年モデルと、最新の機能を搭載した2015年モデルのどちらを購入するか、選択の余地が二つある。「おためし新商品ナビ」では、去年と今年でどれくらい進化したのかという点もチェックするので、ぜひ購入の参考にして頂きたい。

 

今回紹介するプレミアムXシリーズ『R-X7300F(ZT)』は、グラデーションブラウン、クリスタルミラー、クリスタルシャンパンという、どれも重厚でゴージャスな存在感のあるカラーリングを持ち、かねてより肉・魚の保存に評価の高い「真空チルド」とプラチナ触媒の力で野菜の鮮度を守る「新鮮スリープ野菜室」を備えた機種。

CR5_4653

見た目的にすごい存在感がある。重量も142kgあるので、近年流行の2階にキッチンなどの構造では運び込みは不可能に近い。ただ質感も高級感あふれるグラデーションで、惚れ惚れしてしまう佇まいなことも確か。それでは機能面を見ていこう。

 

①「新鮮スリープ野菜室」がスゴイ!

CR5_4557

さて、日立がもっとも自信を持ってプッシュする機能は、野菜の鮮度を維持する「新鮮スリープ野菜室」だ。触媒を用いて、匂いと野菜自らが発して腐敗の原因になるエチレンガスを分解し、代わりに炭酸ガスで野菜室を満たして驚くほど野菜の鮮度が維持できるようになったという。上記の写真は旧モデル(左)との比較。笑ってしまうほど差が歴然だ。

実際に日本経済新聞社が行った比較実験でも、日立の「新鮮スリープ野菜室」が、ダントツ1位で野菜の鮮度を維持したという結果が出ている。

CR5_4624

日立の冷蔵庫では、2013年モデルまでは高湿度によって野菜の鮮度を維持していた。それが昨年2014年モデルから「新鮮スリープ野菜室」が搭載されて、ワンランク上の鮮度維持を実現。そして2015年モデルでさらなるパワーアップに成功した。

 

北海道大学との共同研究に基づき、光触媒に代わるプラチナ触媒を採用。2014年モデルと比べて2〜3倍の効率化を実現した。つまり2014年モデルでは野菜室の一部だけだった鮮度維持効果が、2015年モデルでは野菜室全体に広がったというわけだ。そしてその触媒は交換不要というのがうれしい。

CR5_4616

↑この青緑の部分が触媒だ。

 

②肉と魚は「真空チルド」で減圧して保存するハイテクSFぶり

CR5_4598

もちろん冷蔵庫の役目は野菜のためだけじゃない。メイン食材となる肉や魚類を保存する小部屋は「真空チルド」と名付けられた9年前から搭載されている機能。日立独自の真空ポンプで、肉や魚をしまうチルド室0.8気圧まで減圧する。従って開けると「プシュー!」という音がしてさながら宇宙船のような趣き。

 

 

減圧することで食品の酸化を防いで、鮮度が長持ち。さらに密閉されていることで乾燥も防ぐ。とくに乾燥については一目瞭然。スポンジケーキは買ってきたばかりの弾力を維持してしまう。

CR5_4641

さらにこの「真空チルド」に入れておいたハム、チーズ、スポンジケーキは、ラップしなくてもツヤツヤ・しっとりを見事にキープ。まるでSFだ!

(↓右側が真空チルド。変色もない。)

CR5_4630

ちなみに減圧を行うことにより、漬物や肉の下味付けなど、この部屋に入れておけば食材への染み込みが良くなるというオマケ効果も。「真空チルド」はフタを閉めれば自動的に減圧が始まって、2〜3分で0.8気圧に到達する。

 

③これまた未来感あふれる優雅な電動オープン扉を採用!

CR5_4566

この機能は「プレミアムXシリーズ」のみに限られるが、すべての扉に、手で触れるだけで(※正確にはタッチして指をスライドする)スムーズに動き出す電動オープン機能を搭載している。電動扉は日立と東芝だけが採用する機能だ。

CR5_4569

たかが冷蔵庫に電動なんて…と思いつつ、腰から下の野菜室と冷凍室は、モノが詰め込まれていると案外重く感じるもの。それをチョンと触れるだけでオープンするのだから、慣れたら戻れない魅力なのではないか。

CR5_4576

一方で腰から上のドアについては、賛否が分かれそう。というのも、電動オープンのタイミングがスローなのだ。左の扉が開き…ちょっと間をおいて…右の扉が開く。日立は体感的な優雅さ・リッチさを表現するためにあえてこのテンポにしたというが、人によってはイラッとするかもしれない。特にキッチンを戦場と考えている人なら…。もちろん手動でも普通に開けられるので、使わなくてもいいし、停電の時にも安心なのだが。

 

この電動オープン、小さな工夫で感心したのは、どこか扉が開いている時は、別の扉が開かないようになっているセーフティ構造。手を”ギロチン”してしまわないための仕組みだが、小さな子供がいる家庭などでは安心だろう。

 

日立はどれを購入してもフル装備〜しかも細かい工夫がそこここに

①野菜室 ②肉・魚のチルド ③電動扉 という3つの大きな特徴を見てきたが、ここからは細かい工夫をチェックしていこう。

CR5_4582

冷凍室は3段収納になっており、食材が奥に隠れなず視認できるのが地味に便利。また冷蔵室全体の棚が低い。これは主婦身長をベースにした10年以上前からのこだわりだという。

CR5_4586

同じく10年以上前からの機能で、棚の高さを変えられる「かわるん棚」というのもあるが、これは棚を取り外してつけ直すものであり、ワンタッチで棚の高さが変わるわけではないので利便性は今ひとつ。

また冷凍庫は積み重ねて入れると奥のものが忘れられてしまうものだが、これは3段に分かれているので視認性が良い。

CR5_4611

ちなみにここまで紹介した「電動扉」を除くすべての高機能が、内容量400リットル以上のファミリー向け売れ筋機種にもれなく搭載されているのは、単純にすごい。最新技術をフラッグシップモデルのみに限定しないところが、日立の視線が庶民を向いている証拠ではないだろうか。もちろんアツアツのご飯を一気に凍らす急冷凍や、自動製氷もイマドキの冷蔵庫なので当たり前に付いている。日立の冷蔵庫はどれを購入してもフル装備というわけだ。

 

気になるランニングコスト、消費電力は?

日立の冷蔵庫は、業界で最低の年間消費電力量と胸を張るが、まあ、これは参考程度で良いと思われる。ここ数年、省エネ競争は行くところまで行った感があり、10年前の冷蔵庫に比べると、どのメーカーの冷蔵庫も半分以下の消費電力になっており、勝負は僅差。もし10年ぶりに冷蔵庫を買い替えるなら、どのメーカーのものを買っても、月1,000円の電気代が500円くらいになると考えていい。あとはこれが450円になるのか、550円なのかというミニマムな話。これだとほとんど測定誤差の範囲内なので気にしすぎる必要はない。

 

まとめ:さすが業界の王者、後悔知らずのクオリティ!

というわけで、野菜と肉の鮮度維持を中心に、そつない仕上がりを見せてくれた日立の冷蔵庫。「どれを買えばいいかわからない」という人は、とりあえず日立を買っておけば、後悔することは無いかもしれない。なにせ、日本の家庭10軒のうち4軒は日立の冷蔵庫を使っているのだ。

日立は業界の王者らしく、これまでも様々なムーブメントを生み出してきた。たとえば最近の冷蔵庫で主流になっている美しいガラス扉も、2008年から日立が先駆けて搭載したデザインであり、今や日立のラインナップでも、中級以上の機種のほとんどに搭載されている。さらに、卵をまとめて入れてケースごと取り出せる「フリー卵ケース」も地味ながら日立の発明というのを知っていただろうか。

CR5_4603

もちろんそうした王道テイストを全面に打ち出したものであるがゆえに、”優等生すぎる”日立の冷蔵庫に面白みを感じない人もいるだろうこともわかる。実際に他メーカーも打倒・日立! とばかりにで興味深いアイディアを様々投入しており、個性を発揮している。

今回紹介したプレミアムXシリーズ『R-X7300F(ZT)』は最大サイズ730Lであるが、それより少し内容積を抑えたサイズもあるので参考にしてほしい。

日立 730L 6ドア冷蔵庫(グラデーションブラウン)HITACHI 真空チルド R-X7300F-ZT
日立 730L 6ドア冷蔵庫(グラデーションブラウン)HITACHI 真空チルド R-X7300F-ZT

日立 620L 6ドア冷蔵庫(クリスタルミラー)HITACHI 真空チルド R-X6200F-X
日立 620L 6ドア冷蔵庫(クリスタルミラー)HITACHI 真空チルド R-X6200F-X

日立 517L 6ドア冷蔵庫(クリスタルシャンパン)HITACHI 真空チルド R-X5200F-XN
日立 517L 6ドア冷蔵庫(クリスタルシャンパン)HITACHI 真空チルド R-X5200F-XN

 

次回はパナソニックの冷蔵庫をご紹介しよう。

 

【スペック】
日立プレミアムXシリーズ『R-X7300F(ZT)』(フレンチ6ドア)
(実勢価格 税込約318500円・2015年8月13日発売)
設置サイズ/重量 高さ1858 × 幅890 × 奥行740mm 142kg
容量 冷蔵室386L(うち真空チルド28L)/製氷室22L/冷凍室39L+146L/野菜室137L
年間消費電力 220kWh/年

特徴① 野菜室まるごと「新鮮スリープ野菜室」
特徴② 野菜室と同じプラチナ触媒により「真空チルドルーム」での保存性能が向上
特徴③ 業界最大の定格内容積730L
特徴④ 業界初の省エネ技術「マルチバルブ制御」

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. 冷蔵庫2015年モデル検証シリーズ①〜日立『R-X7300F(ZT)』に漂う王者の風格編!

おためし新商品ナビ

お店に並ぶ新商品を実際に買って、使って、食べて、記事にしています。写真はプロカメラマンが撮影! 楽しいお買い物のナビゲーターとしてご活用ください!

ウェブサイト: http://www.shin-shouhin.com/

TwitterID: Shin_Shouhin_

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。