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今週の永田町(2015.11.25~12.2)

財務省は、TPP対策が旧来型のバラマキにしないよう、予算額を極力絞り込む方針だが、自民党内では、対策大綱に明記された「既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保する」点を根拠に、TPPに対する不安が大きい農家への保護対策の拡充と予算増額を求める声が強まっており、財務省と自民党・農林水産省とが水面下で攻防を繰りひろげている。

 

 1億総活躍社会の実現に向けた緊急対策関連については、安倍総理が「我が国の経済は穏やかな回復基調が続いており、引き続き機動的な対応を行いつつ、GDP600兆円に向けた歩みをより確固としたものにしていく必要がある」と、子育て支援や介護離職ゼロに直結する施策に必要な経費を計上する意向を示している。具体的には、個人消費の活性化を図るべく、賃上げの恩恵を得られていない低所得の年金受給者に絞って支給する臨時給付金を計上するほか、保育や介護の関連施設・サービスの整備、介護人材の育成強化、介護者の負担軽減を図る介護ロボットやICT(情報通信技術)の活用、3世代同居を促す住宅補助、近居世帯に対する家賃軽減の拡充なども補正予算案を盛り込まれる見通しだ。

 このほか、「地方創生なくして1億人を維持することはできない」(安倍総理)として、地方創生や地域経済の活性化に取り組む地方自治体の先駆的事業を積極的に支援するため、「地方創生加速化交付金」(仮称)を最大で1000億円規模で計上する方針だ。政府は、新型交付金を2016年度から導入することになっているが、地方自治体の先駆的事業が本格始動することを踏まえ、前倒しで補正予算案に盛り込むこととなった。

 

 一方、来年度予算案の編成をめぐっては、編成の基本方針で「経済再生なくして財政健全化なし」と、経済再生と財政健全化をともに前進させる方針を改めて打ち出した。TPPや1億総活躍社会の実現に係る対策に重点を置きつつ、財政健全化計画に盛り込まれた2020年度にプライマリー・バランスの赤字脱却をめざして国の政策遂行に必要な経費を計上する一般歳出を年平均5000億円強の増加に抑える目安を十分踏まえたうえで予算案を編成していくため、「歳出全般にわたり聖域なき徹底した見直しを、手を緩めることなく推進する」と歳出改革にも取り組むとしている。

 基本方針の閣議決定に先立って開催された行政改革推進会議(議長:安倍総理)では、8府省55事業<来年度予算案での概算要求総額13.6兆円>の政策効果を点検・検証する「行政事業レビュー」の検証結果がとりまとめられた。検証結果では、原子力関連事業や2020年東京オリンピック・パラリンピック関連事業などを中心に、抜本的見直しや予算計上の見送りなどを求めている。安倍総理は「税金が優先順位の低い施策に使われるとの批判を招いてはならない。予算編成に的確に反映し、さらに事業の改善に努力したい」と、引き続きムダ撲滅に取り組む方針を強調したうえで、検証結果を来年度予算編成に反映させるよう各府省に指示した。

 

国の一般歳出の多くを占める社会保障関係費を抑制するため、財務省は財政健全化計画にもとづいて概算要求から約1700億円を削減する方向で調整している。抑制分は、医療サービスなどの公定価格「診療報酬」のマイナス改定でほぼまかなう方向だ。

薬の値段などの「薬価」部分は、今年も1%超を引き下げる。厚生労働省は、医療費の抑制・適正化に向け、割安な後発医薬品(ジェネリック)の価格を、先発薬の原則6割から5割に引き下げるほか、後発薬への切り替えが進まない先発薬の価格を通常の薬価改定とは別に1.5~2%引き下げる制度の要件も見直す方針だ。医師や薬剤師の技術料など「本体」部分では、患者の服薬情報の一元管理や服薬指導を手掛ける「かかりつけ薬局」の調剤報酬を手厚くする一方、特定病院の処方箋のみを集中的に受け付けている「門前薬局」の調剤報酬を引き下げるなどの見直しを行う。

削減を徹底して求める財務省と、削減幅を極力抑えたい厚生労働省・自民党などが、予算編成での改定率決定を前に水面下での攻防を繰りひろげられている。

 

 

【与党協議、軽減税率の品目などで平行線】

12月10日ごろの2016年度与党税制改正大綱とりまとめに向け、与党は要望項目の取り扱いを決める振り分けなど行って検討作業を加速させている。

今回の税制改正大綱では、市販薬を購入した額の一部を所得額から差し引く所得控除(所得税・個人住民税)、不正行為を意図的に繰り返す悪質な納税者に対し通常の所得税や法人税などの税額に上乗せする「加算税」の10%引き上げ(最高50%)、新幹線通勤者などが増えていることに配慮して公共交通機関の定期券代や有料道路の料金に応じた通勤手当の所得税非課税限度額を月10万円から月15万円に引き上げ、クレジットカードで国税納付ができるしくみの創設などが固まっている。また、TPPの農業対策の一環として農地集約を促進するため、農地中間管理機構を通じて農地を長期間貸し出す農家に対し、固定資産税を最大5年間半減する優遇措置を導入するほか、再生可能な耕作放棄地に対する固定資産税を1.8倍に増やすようだ。

 

 一方、関係団体などとの調整ができていないビール系飲料の税額見直しや、ゴルフ場利用税の廃止を先送りし、来年末の2017年度改正作業で議論することとしている。また、金融庁や証券業界などが強く要望していた、株式と株式投資信託などで得た利益と損失を合算して課税額を決める「損益通算制度」にデリバティブ取引を加える案も見送る方向で調整に入っている。

焦点となっている法人実効税率の引き下げ幅のさらなる上乗せをめぐっては、経済再生や企業の国際競争力向上、景気の底上げにつながる企業の投資拡大と賃上げを後押しして、早期に20%台に引き下げる道筋を付けるため、政府は、1年前倒しして2016年度に29.97%まで引き下げる方針を固めた。給与総額など企業規模に応じて課税する「外形標準課税」(地方税)の拡大や設備投資減税の一部縮小、購入した生産設備などを耐用年数に応じて費用に分割計上する減価償却制度の見直しなどにより税率引き下げの穴埋め財源を捻出する方向で、政府・与党が調整している。経済産業省は、赤字企業への課税拡大につながるとして外形標準課税の拡大に慎重姿勢を示していたが、打撃を受ける中堅企業への配慮を条件に容認した。与党協議を経て与党税制改正大綱に盛り込まれる見通しだ。

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記者:

霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!

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