「カバンの脇にICレコーダーを入れていた」 石川知裕議員、検察取調べの「録音方法」を説明
小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記入)の疑いで起訴されている同会元事務担当の石川知裕衆議院議員は2011年7月8日、自由報道協会の主催する記者会見に出席し、東京地検の事情聴取をICレコーダーで録音したときの模様を語った。
石川議員の調書は検察側によって裁判所に提出されたが、その一部は「任意性がない」として却下されている。その点について「録音データが影響したと考えてもいいのか」と記者に問われると、石川議員は「その通りです」と答えた。
石川議員は、小沢氏の秘書をしていたとき政治資金収支報告書に虚偽の記載をしたとして、政治資金規正法違反の疑いで逮捕・起訴された。刑事裁判は2011年2月に始まり、7月には検察側の論告求刑が予定されているが、その直前の6月、東京地裁は石川議員の供述調書15通のうち10通を証拠として採用しないことを決めた。
そのうちの一つは、石川議員が保釈された後の2010年5月に再聴取されたときの供述調書だ。そこには、政治資金収支報告書の虚偽記入について小沢氏に報告し了承を得ていたなど、勾留中の取調べで石川議員が話したとされる内容がそのまま維持された形で記録されていた。
ところが、石川議員はこの再聴取の模様を秘かにICレコーダーで録音。起訴された後に、裁判所に証拠として提出したが、その録音記録には、取調べを行った検事が東京地検特捜部の力を暗に示し、勾留時の調書と矛盾する主張をすれば再逮捕の可能性もあると示唆する様子が残されていた。結局、東京地裁は「威迫ともいうべき心理的圧迫と利益誘導を織り交ぜながら巧妙に誘導」したものとして、検察側が提出した調書を却下した。
石川議員は記者会見で、再聴取の模様を秘かに録音したことについて、元外交官の佐藤優氏の薦めで実行したと説明。録音したときの心境について、
「簡単なようで、心理的圧迫は大きい。取調べのとき、必ず検事に『録音していないよね?』と聞かれる。検事さんに『本当に録音していないよね?』と聞かれて、そのまま平気で録音できる神経というのはなかなか大変」
と語った。また、自分のカバンの脇のポケットを指さしながら、
「カバンの脇のところにICレコーダーを買って入れて行った。それに加えて、高度な集音マイクをつけて中に入れた。(録音は)認められている権利だが、もしガチャッと音がしてバレたら、と緊張した」
と説明した。
また、記者から「供述調書の却下に録音データが影響したと考えてもいいのか」と質問されると、「その通りです」と回答。検察については、
「真面目な人が多く正義感に燃えている。しかし、検察としてなにか成果を挙げなきゃいけないという、組織の体制そのもの自体に問題がある」
と指摘し、検察組織の改革と取調べの可視化の必要性を主張した。
(中村真里江、亀松太郎)
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