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今週の永田町(2015.10.27~11.3)

 

また、政府の行政改革推進会議は、歳出のムダ削減を図るため、原子力発電を含むエネルギー・地球温暖化対策事業や、2020年東京オリンピック・パラリンピック便乗事業など、8府省の計55事業<来年度予算案での概算要求総額13.6兆円>を点検・検証する「行政事業レビュー」を実施する。行政事業レビューを11月11~13日に実施し、その内容をインターネットで中継する。

エネルギー関連では、日本原子力研究開発機構の運営費交付金、所管するトラブルが相次ぎ運転停止中の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)や運用実績のないまま維持管理費がかさんでいる使用済み核燃料輸送船、石油の国家備蓄施設の管理委託費などを取り上げる。2020年東京オリンピック・パラリンピックに便乗した事業とみる文部科学省所管の日本スポーツ振興センター運営費交付金の必要経費(163億円)や、全国各地で文化プログラムを推進する文化庁のリーディングプロジェクト推進費(13億円)などだ。このほか、国際宇宙ステーションやスーパーコンピューターの後継機開発費も対象となっている。「検証結果を財務省の予算査定に反映させてほしい」(河野太郎・行政改革担当大臣)として、来年度予算案での縮減を求めていく方針だ。

 

 

【軽減税率の対象・財源をめぐって与党協議が平行線】

2017年4月に消費税率10%への引き上げに伴って負担緩和策として、飲食料品・生活必需品の消費税率を低く抑える「軽減税率」の導入をめぐっては、自民党と公明党が、27日に与党税制協議会・軽減税率制度検討委員会(座長:宮沢洋一・自民党税制調査会長)を開き、具体的な制度設計に向けた議論を再開させた。

与党協議では、消費税率引き上げ時に混乱なく軽減税率を導入するとの認識を共有したうえで、11月中旬にも大筋合意することをめざすことで一致した。また、事業者の事務負担軽減策として、まず公明党が提案している現行の帳簿や請求書に軽減税率の対象品目に印を付ける「簡易な経理方式」でスタートし、将来的には複数税率で事業者が品目ごとに税率・税額を明記する「インボイス方式」へ移行することも確認した。

 

 医療・介護や保育などの自己負担の合算額に上限を設定し上限を超えた分を国が給付する「総合合算制度」の実施を見送ることで捻出できる年4000億円程度を、軽減税率導入に伴う穴埋め財源とすることでは一致した。しかし、軽減税率の導入に伴う税収減をこの範囲内にとどめたい自民党・財務省と、「痛税感を緩和する意味では、幅ひろい品目を対象にすべき」であり、税制全体で穴埋め財源を捻出する方策を模索していく必要があると訴える公明党との主張の隔たりが改めて浮き彫りとなった。

自民党と財務省は、軽減税率の導入当初は、対象品目を精米(税収減400億円)などに絞り込み、残る3600億円分を住民税が課税されない低所得者への現金給付に充てる。次年度以降、段階的に生鮮食品(税収減約3400億円)まで対象をひろげていく案を想定している。これに対し、公明党は、対象品目を「酒を除く飲食料品(外食含む)」(税収減1.3兆円)や、「生鮮食品と加工食品」(税収減約1兆円)を主張している。これらの穴埋め財源として、総合合算制度の実施見送りに加え、軽減税率導入までの臨時措置として低所得者に現金を配る簡素な給付措置分をあわせた計約8000億円の財源案を示した。さらに、たばこ税増税などで上乗せして、1兆円分をめざす考えだ。

 

 29日と30日に開かれた与党協議でも対象品目と穴埋め財源について協議したが、自民党が、簡素な給付措置は軽減税率実施後に廃止すること前提とした措置で「安定財源にならない」うえ、社会保障制度の安定・充実と財政再建の両立をめざす社会保障・税の一体改革で増税分5%の税収をすべて社会保障分野に充てるとともに、一体改革の枠内で低所得者対策を行うことが基本で「社会保障と税の一体改革や財政再建のフレームを変えるような財源は使わない」(宮沢調査会長)として、4000億円程度からの上積みは事実上困難との認識を改めて示したため、両党の主張の隔たりは埋まらなかった。いまのところ、自民党も公明党も譲歩する姿勢をみせておらず、決着できる糸口を見出すには至っていない状況だ。

 

 2016年度税制改正のうち、軽減税率の制度設計の議論を優先して取り組んでいるため、ビール系飲料の酒税見直しや自動車関連税制などの税制改正協議は、いまのところ停滞したままだ。軽減税率の制度設計をめぐって与党協議が平行線をたどっているうえ、参院選を前に支持団体と衝突する恐れから税制改正論議を可能な限り先送りすべきとの意見が与党内で高まっていることもあり、関係団体との調整が難しい案件を中心に、税制改正を先送りとなる可能性も高まっている。

税制改正論議の主要焦点のうち法人実効税率(国・地方)については、政府がさらなる引き下げを行う方向で検討に入った。2016年度に32.11%から31.33%に引き下げることが決まっているが、経済再生や企業の国際競争力向上の観点から、穴埋め財源を捻出して30%台後半まで引き下げ幅を拡大することをめざしている。税収減の穴埋め財源をどのように確保し、政府目標の20%台への引き下げに向けた具体的道筋を同時に示すことができるかが今後の焦点となりそうだ。

 

 

【閉会中審査での議論に注目を】

 安倍総理は、臨時国会を召集するか否かについて「まだ何も決まっていない」としつつも、「1億総活躍の策定や経済、財政に万全を期すことが必要」「来月以降、国際社会にとって重要な会議が目白押しだ。来年度の予算編成も進めなければならない。こうした事情も考慮しながら最終的に決定したい」「要請されてから実際に召集するまでかなりの日程を要した例もあり、合理的な期間内に通常国会を召集した例もある」と慎重姿勢を示している。これに対し、野党側は、通常国会の前倒しよりも臨時国会を召集すべきだと主張し、政府・与党の臨時国会見送り方針を批判している。

 このようななか、野党が要求した閉会中審査が10日に衆議院予算委員会で、11日に参議院予算委員会でそれぞれ行われる予定だ。閉会中審査では、野党がどのような観点から政府側を問い質し、安倍総理はじめ関係閣僚からどのような答弁を引き出すのだろうか。閉会中審査でどのような議論が展開されるのかに注目しておきたい。
 

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