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今週の永田町(2015.10.27~11.3)

牛肉・豚肉、乳製品などへの影響分析結果は、11月4日にも公表される。牛肉・豚肉は、関税削減を長期間で行うことや緊急輸入制限(セーフガード)を確保したことを挙げて、輸入の急増は当面考えにくいとするようだ。ただ、長期的には国産品の価格下落も懸念されるため、体質強化策やコスト削減などの検討が必要となりそうだ。乳製品は、バターや脱脂粉乳のTPP参加国向け輸入枠の規模が、近年の追加輸入実績の範囲内であるとして「無秩序に輸入されることはなく、乳製品全体の国内需給への悪影響は回避の見込み」となるようだ。

 

 政府は、こうした影響分析の結果などを踏まえ、11月25日にも関連対策大綱をとりまとめる。政府は、農業分野への影響を最小限にするため、国内農業の体質・競争力の強化などによる「攻めの農業」と、セーフティーネットの拡充と農家の経営安定化を進める「守りの農業」の両輪から検討していく方針で、農業生産の中核となる担い手の育成、農地集約による規模拡大、農林水産物の高付加価値化、輸出促進などに取り組む考えだ。

また、自民党や公明党は、政府の対策大綱への反映をめざして、農林水産業対策を中心に知的財産や環境など幅ひろい分野の総合対策を盛り込んだ提言を、それぞれ11月20日までにとりまとめ、政府に申し入れる方針でいる。29日に開かれた自民党TPP総合対策実行本部の初会合で、本部長の稲田政調会長は「金額ありきの議論ではなく、強い農業をつくり、地方創生や経済再生につながる議論をしていく」と、バラマキと批判されないよう、安易な予算膨張を抑え込み、攻めの農業に重点を置いた提言をまとめる方針を示した。ただ、自民党内には、参院選への影響を回避するため、生産者保護策など従来型の財政出動を求める声も根強い。また、「バラ色の説明で具体的な経済効果が分からない」「生産者の納得が得られにくい」などと詳細な説明を求める声も相次いでいる。実行本部には、農水族の実力者らもおり、補正予算案や来年度予算案の編成をにらんだ綱引きが激しくなっていきそうだ。

 

 

【補正予算案も編成へ】

 安倍総理は、1億総活躍社会の実現に向けた緊急対策やTPPの大筋合意を受けた国内対策の一部を先行して実施する費用のほか、災害対策などを盛り込んだ今年度補正予算案の編成を11月中に指示する。これを受け、11月下旬にまとまる緊急対策や対策大綱にもとづき、年末までに補正予算案の詳細を詰める。

1億総活躍社会の実現に向けた緊急対策として、介護人材の育成などに向けた基金の積み増しや、介護施設や保育所を拡充するために国有地の安価な貸し付け、3世代同居を促すための住宅補助などがあがっている。政府が目玉と位置付けている「新たな子育て支援パッケージ」(0.1兆円規模の予定)は、来年度予算案に計上するようだ。TPPの大筋合意を受けた国内対策として、農林水産品の海外輸出を支援する施策や、来年度予算案の概算要求で農林水産省が増額を要求した農業農村整備事業の一部前倒しなどが検討されている。災害対策関連では、9月の関東・東北水害の復旧や河川整備に重点的に置いた災害対策などを盛り込む。

 

補正予算案は、総額3兆円以上の規模となる見通しで、昨年度決算剰余金(1.57兆円)の一部や、消費税や所得税など今年度予算の税収上振れ分などを、補正予算案の財源に充てる。財政再建への懸念が強まることを避けるため、3兆円台半ば以内なら国債の追加発行なしでも可能と判断したようだ。

ただ、内閣府が11月16日に発表する今年7~9月期国内総生産(GDP)速報値で、景気停滞・悪化が顕著となれば、景気下支えのための経済対策を追加で盛り込み、補正予算案の上積みすべきとの声が政府・与党内から強まる可能性がある。いまのところ、麻生副総理兼財務大臣は「雇用や所得環境は着実に回復基調にある」として現時点で景気対策は不要との立場を崩していない。財務省もバラマキ批判を受けかねないとして慎重姿勢だ。一方、与党内からは、低所得者に数万円を給付する案など個人消費の喚起策を求める声も出ている。このため、安倍総理は、速報値などを見極めたうえで、補正予算案の規模などを判断するようだ。

 

 政府内では、来年度予算案の編成に関する議論も本格化している。麻生大臣の諮問機関である財政制度等審議会は、11月下旬をメドに歳出抑制の具体策を盛り込んだ建議(意見書)を取りまとめるため、30日に財政制度分科会を開き、来年度予算案の編成に向けた議論をスタートさせた。麻生大臣は「財政健全化計画の成否は、2016年度予算に懸かっている。社会保障をはじめ歳出改革を具体化していく必要がある」と、来年度予算が2020年度に基礎的財政収支の黒字化をめざす財政健全化計画の初年度にあたり、一般会計の3割超を占める社会保障関係費の抑制・抜本的見直しなど歳出改革が予算編成の論点だと強調した。

財務省は、主要焦点となる医療サービスなどの公定価格「診療報酬」の引き下げを主張している。診療報酬の本体部分(医師・薬剤師の技術料)が賃金・物価動向に比べて高く、増額も続いていることから、マイナス改定を求めた。また、薬剤師が過去の処方歴に応じて患者にきめ細かな服薬指導ができる「かかりつけ薬局」を優遇し、薬の使い過ぎを抑制するため、指導の充実度に応じて調剤報酬を算定するしくみの導入など、ゼロベースの見直しを提案している。さらに、医薬品の値段などの薬価も後発医薬品(ジェネリック薬)の普及などに伴う市場動向を反映してマイナス改定とすることや、特許が切れた先発薬(新薬)の薬価引き下げ、処方箋なしでも買える市販品類似薬を保険適用外とすることのほか、将来的には安価な後発薬の価格までしか保険適用を認めず、特許切れ先発薬との差額を自己負担とすることなども提案している。

 

こうした改訂案を財政制度分科会に提案し大筋で了承をえた財務省は、11月中に診療報酬の引き下げ幅を固め、厚生労働省に求めていく方針だ。しかし、厚生労働省は、医療の質の低下を警戒して引き下げに慎重で、参院選への影響を懸念する自民党の厚生労働族らの激しい抵抗も予想される。年末にかけて、厚生労働省との調整が難航しそうだ。

 このほか、リーマン・ショック後に地方の景気対策として導入された雇用対策事業などの予算枠「歳出特別枠」(2015年度予算約0.85兆円)の廃止・縮減を総務省に、地方創生の取り組みを後押しするために経費を積算せずに一括で歳出枠を確保している「まち・ひと・しごと創生事業費」(2015年度予算1兆円)の使途に関する事後検証を内閣官房に、公立小中学校の教職員定数を9年間で約3.7万人の削減を文部科学省にそれぞれ求める方針を固めている。所管する省や諮問機関、地方自治体などがそれぞれ強く反発しており、今後、調整が難航しそうだ。 

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記者:

霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!

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