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今週の永田町(2015.10.21~27)

ビール系飲料の酒税をめぐっては、麦芽比率や原料、製法などで税額が異なるため、税率格差が商品開発や販売数量に影響を与え、酒税の減収にもつながっているとして、税額幅を段階的に縮小して55円程度に一本化する方向で見直しが検討されている。ただ、参院選を前に増税イメージを避けたいとの思惑や、消費税の軽減税率の導入に関する論議に時間がかかることなどから、見送り論も浮上している。

 

 飲食料品・生活必需品などの消費税率を低く抑える「軽減税率」の導入をめぐっては、安倍総理は21日の政府・与党連絡会議で「2017年4月の10%への引き上げ時に導入が間にあうよう、中小事業者の負担にも配慮しつつ、具体案を取りまとめる必要がある」と、同時導入をめざすよう指示した。その後、宮沢洋一・自民党税制調査会長と斉藤鉄夫・公明党税制調査会長が会談し、11月中旬までに軽減税率の制度設計を進め、与党案をとりまとめるため、27日に軽減税率に関する与党税制協議会を再開することで合意した。会談では、(1)消費税率10%へ引き上げる2017年4月に軽減税率を導入することや、(2)消費税について標準税率と軽減税率の複数税率を設定すること、(3)事業者の負担に配慮、の3点を前提に議論に入ることを確認した。

 ただ、軽減税率の対象品目をめぐって、対象品目を可能な限り絞り込みたい自民党と、低所得者の負担緩和を重視する公明党に主張に隔たりがある。公明党の斉藤調査会長が「痛税感の緩和になるよう幅ひろくするべきだ」と主張し、酒を除く飲食料品(外食含む)や、酒・外食・菓子類を除く飲食料品などで1兆円前後の減収規模を求めている。公明党が主張する飲食料品には、生鮮食品、低所得者層の消費が多い傾向にある加工食品が含まれる。これに対し、自民党の宮沢調査会長は、対象品目をひろげれば社会保障に回す財源が少なくなるとして1兆円規模の税収減に難色を示した。

 

また、軽減税率導入に伴う穴埋め財源をめぐっても、隔たりがある。公明党の山口代表は「消費税だけではなく他の財源も視野に入れながら考える必要がある」と、不足する社会保障財源に消費税以外の税収を充てることも検討すべきと主張している。公明党は、1兆円規模の穴埋め財源として、たばこ税増税などの検討を提案している。「軽減税率は景気対策にもなる」(山口代表)ことから、消費の落ち込みを防ぐため、他の財源を使用することが正当化できるとしている。

これに対し、自民党は、社会保障制度の安定・充実と財政再建の両立をめざす社会保障・税の一体改革で増税分5%の税収をすべて社会保障分野に充てるとともに、一体改革の枠内で低所得者対策を行うことが基本と難色を示している。23日の党税制調査会非公式幹部会合で、一体改革の枠組みを堅持しながら軽減税率の対象品目や穴埋め財源の検討を進める方針を確認しており、医療・介護や保育などの自己負担の合算額に上限を設定し上限を超えた分を国が給付する「総合合算制度」の検討を見送って、軽減税率の財源に充てたい考えだ。これにより、年4000億円程度が捻出できる。自民党は、この軽減税率の導入に伴う税収減はこの範囲内にとどめたいとして、生鮮食品に絞り込むべきと主張している。

 

事業者の事務負担軽減策をめぐっては、自民党が経理処理方法を段階的に導入する方針を固めた。複数税率で事業者が品目ごとに税率・税額を明記する「インボイス方式」の導入は、詳細な制度設計や周知徹底、試行期間の設定と準備などに相当程度の時間を要することから、消費税10%への引き上げには間にあわないからだ。このため、まず公明党が提案している現行の帳簿や請求書に軽減税率の対象品目に印を付ける「簡易な経理方式」でスタートし、最終的にインボイス方式を導入したいとしている。

今後、与党税制協議会を舞台に、軽減税率の制度設計に向け検討・調整作業を本格化させる。自民党と公明党で主張の隔たりがある軽減税率の対象品目の線引きや、代替財源の確保などが主な焦点となる見通しだ。今年12月にとりまとめる2016年度与党税制改正大綱に軽減税率をはじめとする負担軽減策を盛り込む方針で、11月中旬をメドに大筋合意をめざしている。ただ、協議難航も予想されており、自民党・財務省と公明党の熾烈な駆け引きが今後も続きそうだ。

 

 

【閉会中審査の焦点見極めを】

11月10日と11日に、衆参両院の予算委員会で閉会中審査が行われる予定となっている。これまで、TPP交渉参加国間で協議中の内容を公表しない保秘義務がかかっていたことを理由に、政府が交渉過程・内容を明らかにしてこなかったが、大筋合意を受け、内容が徐々に明らかとなっている。もっとも、交渉参加12カ国の事務レベルで協定案の詳細な条件や文言の詰めなどの作業を行っている最中で、TPP参加各国の署名が済んでいない。また、国内対策とその予算措置も検討段階で提示されていない。

野党側は、検証作業などを進め、まずは閉会中審査でTPPの交渉過程と大筋合意内容を明らかにしたいとして政府側を問い質す方針だが、どこまで明らかとなり、十分な審議ができるかはいまのところ不透明だ。閉会中審査での議論や野党側の対応などによっては、短期間でも臨時国会の召集が余儀なくされる場合もありうる。閉会中審査でどのような議論が展開されるかを見極めるためにも、ひとまず主要課題それぞれの焦点と各党主張を抑えながら、政策動向をみていったほうがいいだろう。

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記者:

霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!

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