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今週の永田町(2015.10.21~27)

 

 国民会議は29日にも初会合を開く。安倍総理が掲げた(1)名目GDP(国内総生産)600兆円、(2)希望出生率1.8、(3)介護離職ゼロの「新3本の矢」を踏まえ、11月末にも決定する緊急対策(第一弾)の内容を検討する。緊急対策のうち、新3本の矢の1矢目「強い経済」関連については、日本経済再生本部や経済財政諮問会議など「既存会議の議論を反映させていく」(加藤大臣)ようだ。

介護を理由に仕事をやめる介護離職者(年間約10万人)を減らす、新3本の矢の3矢目「介護離職ゼロ」に向けては、地価の高い首都圏などで不足している特別養護老人ホームなど介護施設を増やして、介護職員の需要を喚起する。具体的には、事業者による整備負担の軽減を図るため、国・地方の補助金制度とともに、国家公務員宿舎の跡地約90カ所を選定して介護施設を運営する社会福祉法人へ優先的に貸し出す案(原則50年の定期借地権を設定して賃料でも優遇)が浮上している。

 

 自民党は、政府の国民会議と並行して、子育て支援策や介護休業制度の充実などの緊急対策をとりまとめ政府に提言するため、23日の党総務会で「1億総活躍推進本部」を安倍総裁直属の党内機関として設置することを決めた。本部長には、逢沢一郎・元国対委員長・衆議院国家基本政策委員長を充てた。加藤大臣は、自民党の稲田政調会長と会談し、党内議論の日程などの意見交換を行った。短期間で緊急対策を検討のうえ取りまとめることとなるだけに、加藤大臣らは目玉政策や実効性のある政策などの探しに躍起となっている。与党内からも政策案や要望を受け付けるようだ。

 

 

【与党、TPP国内対策の検討作業に着手】

 TPP交渉の大筋合意を受け、政府は、TPPに伴う国内法の改正事項の整理や、国内対策の検討作業を進めている。TPPに伴う国内法の改正事項は、関税変更や関税の優遇条件を定めた原産地に係わる関連法、知的財産(特許や商標、著作権)関係などにとどまる見通しだ。懸念されている輸入食品の安全基準は、関係各国が世界基準より厳しくできる世界貿易機関(WTO)の協定を踏まえたものとなっており、検疫などは「制度変更が必要な規定はない」ほか、食品表示も「(遺伝子組み換え食品の扱いを含め)現行制度の変更はない」と説明している。

 

 法改正・制度変更で不利益を被る外国企業が進出先・投資先の国を相手取って損害賠償請求できる「国家と企業間の紛争解決(ISDS)条項」については、多国籍企業の訴訟乱用により、批准各国の政策運営が阻害される事態を防ぐねらいから、提訴できる期間をその国の制度変更から3年半以内に制限されることとなった。また、医療制度など、各国政府が独自判断にもとづく規制を導入する権利を持つことや、敗訴した政府は金銭的な賠償義務を負っても制度変更を強制されないとの規定が盛り込まれている。

政府は、TPP発効後にISDS条項にもとづき外国企業から提訴があることを想定し、国際訴訟への対応の強化などを図っていく方針だ。すでに、法務省訟務局と外務省国際法局が合同勉強会を設置して過去の投資仲裁事例の研究などに着手している。外国企業が申し立てを行う場合、世界銀行傘下の投資紛争解決国際センターが主な申し立て先となるが、過去の仲裁結果をみると米国の政府・企業が勝訴するケースが増えている。このため、主に米国対策が焦点となるようだ。

 

国内対策をめぐっては、TPPによる農業分野への影響を最小限にするため、国内農業の体質・競争力の強化などによる「攻めの農業」と、セーフティーネットの拡充と農家の経営安定化を進める「守りの農業」の両輪から検討していく方針だ。具体的には、農業生産の中核となる担い手の育成、農地集約、農林水産物の高付加価値化、輸出の促進などに取り組む考えを森山大臣が示している。

また、自民党や公明党は、今週から国内対策の検討作業を本格化させる。自民党は、谷垣幹事長ら党三役や農水族の実力者らで構成する「TPP総合対策実行本部」(本部長:稲田政調会長)を設置した。実行本部の下に、具体的な農業対策などの検討を行う「農林水産戦略調査会」(調査会長:西川公也・実行本部長代理)を置き、農林部会(部会長:小泉進次郎・実行本部幹事)との合同会議を27日に開き、具体的な支援策をめぐる本格的議論をスタートした。11月7日と8日には、農業者の不安を解消・緩和するため、全国各地で説明会を開く。11月17日までに農林水産分野の対策をまとめる方針だ。公明党も「TPP総合対策本部」(総合本部長:井上幹事長、本部長:石田政調会長)を設置した。

自民党と公明党は、政府が11月25日をメドに策定する関連対策大綱や、国内対策を盛り込んだ補正予算案に反映させることをめざして、11月中旬にもそれぞれ提言を取りまとめる。具体的な検討課題として、農地中間管理機構(農地集積バンク)による農地集積や政府備蓄米の年間買い入れ量の拡大、畜産クラスター事業の拡充、肉用牛肥育経営安定特別対策事業の法制化などが浮上している。

 

 

【軽減税率の与党協議、27日から再開】

 今年12月までに2016年度与党税制改正大綱をとりまとめるため、与党は、11月下旬から税制改正論議を本格化させる。与党の税制改正議論では、法人実効税率(国・地方)のさらなる引き下げ、ビール系飲料の酒税見直し、2017年4月に消費税率10%への引き上げに伴って負担緩和策として導入する軽減税率の制度設計などが主要焦点となる見通しだ。

所得税改革や、資産課税の見直しも検討課題に浮上していたが、政府税制調査会の結論を出すのが来年夏までかかる見通しから、与党の本格議論は、来年末に延期されることとなった。所得税改革の一環として、女性の社会進出や共働き世帯の増加などを背景に、専業主婦らがいる世帯の税負担を軽くする「配偶者控除」を見直し、妻の収入にかかわらず一定額を夫の収入から差し引く「夫婦控除」を導入する方向で検討されていた。しかし、この見直しで専業主婦世帯など一部世帯が増税となるケースもあり、与党内から参院選への影響を懸念して今年の税制改正に盛り込むことに慎重論が出たため、2017年度以降に持ち越しとなった。

 

 法人実効税率の引き下げについては、2016年度に32.11%から31.33%に下がるが、経済再生や企業の国際競争力向上の観点から、財源を捻出して税率引き下げ幅のさらなる上乗せをめざすとしており、経済界などからも強い要望が出ている。一方、税収減の穴埋め財源として、給与総額など企業規模に応じて課税する「外形標準課税」(地方税)の拡大や、租税特別措置の廃止などについて検討する予定となっている。

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霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!

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