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永井豪先生“ぶっちゃけ”1万字インタビュー 『サイボーグ009 vs デビルマン』上映記念

― 今回のアニメ『サイボーグ009 vs デビルマン』について「俺が関わってたらもっとこうしてやったのにな」みたいな部分はありますか?

永井豪: いやあ、内容は特に何も問題は無いですね。あえて言うなら、キャラ的に、飛鳥了がちょっと芯に秘めたものを持っているようなキャラなので、そこら辺をすくってもらえたら。

― 色気でしょうか。

永井豪: そう。本当は両性具有なんだよ、みたいなね。そういう中性的なのをもう少し出ていればより良かった。どちらかというと男っぽさのほうが勝っているな、と。でも、ストーリー的なモノは全く問題なくていいですね。

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描き手目線で見ていた『サイボーグ009』「自分だったらもっと……」

― 『サイボーグ009』、石ノ森先生の代表作でありながらも残念ながら未完となっております。いかがでしょう、ご覧になられて『サイボーグ009』という作品に対する感想などありましたら。

永井豪: 原作はとにかく、好きだったんです。当時サイボーグってイメージがSFに出てきたときにね、怪物的なイメージのモノばかりだったんですね。フランケンシュタインに近いような、カラダの一部が機械になった化け物みたいなイメージで、SF小説の中に出てくるんで。

それがね、180度違って、美少年、美少女が出てきて。しかも、正義のために戦うという、そういう全然サイボーグのイメージを一新してくれてた。それでまずビックリして、たちまち夢中になりましたね。実際自分で(アシスタントとして)手伝ってみて、「自分だったらもっとこうするな」とか思いつつ、内心ね(笑)。「えー、こんな風にまとめちゃうの?もったいないなあ」とかね。そんなこと思いつつ、手伝ってましたけど。それはファンで見ていた時と違う、いつの間にか自分が描き手の目線に立っているからだったと思うんですけれどもね。

「もっとこうすれば読者喜ぶんじゃないかな」とかね。(直接は)何も教えてくれないけれども、そういう石森先生と自分との違いを少しずつ自覚したのが、勉強になった一番の事じゃないですかね。石森先生はこういう風にしたけど、自分だったらこういう設定だったら、違う方向に行くなとかね。

9人もいるんだから何人か死んでもいいんじゃないか(笑)と思ってた

― 例えば、こういうところをこういう風にした方がいい、とかありますか?

永井豪: キャラクターなんかだと、石森先生は重要視しないけど、僕だったら、たとえば巨人の005なんて、もっと面白い使い方できるんじゃないかな、とか思っていました(笑)。その辺どうしてもっと使ってあげないのとか(笑)。いろんなサイボーグ出せるんだったら、敵ももっとそういうの出せばいいのになあ、とかね。あと、9人もいるんだから何人か死んでもいいんじゃないかな(笑)……そんなことを思いつつ、お手伝いしてたんですけどね(笑)

― 『サイボーグ009』が行き着いたところって「神々との戦い」っていう非常に哲学的な話になってます。『デビルマン』が描かれた世界と何かしら、共通するというか響くところがあると思うのですね。

永井豪: 僕が手伝って頃っってそこまで見えてこなかったんですけれども、神との戦いってのは『デビルマン』以降ですからね。「あ、石森先生もこっちの方向来たんだ」って思いましたね(笑)。やっぱり、最終的に戦いがエスカレートしていく形の中でいうと、敵のブラックゴーストだけじゃ物足りなくなるんじゃないかとは思ってましたけど、最終的な手に届かないようなところに戦いを挑むとしたら、やはり神になるな、と。

― 時系列だけ見ると、永井先生が石ノ森先生に影響を与えた感じにすら。

永井豪: かもしれないですけど、それはわからないですね(笑)。最初からやるかと思ってたかもしれないですし。

人のやらないことをやってのける石ノ森作品が大好きだった

― 『009』以外に、石ノ森先生の作品で、永井先生が印象的に思っておられる作品はありますか?

永井豪: 僕が大好きだったのは、『冒険王』って雑誌で連載された『黒い風』って作品で忍者漫画なんだけれど、主人公がいきなり記憶喪失なんですね。

― うわー!

永井豪: そんな主人公って今まで居ないしすごい斬新だしね。敵だと思って斬ったらそいつが「なぜ味方を斬るんだ、裏切ったな」と言いながら死んで第一回が終わり(笑)。「ええええっ!」って!(笑) 「主人公、味方殺しちゃったの?」みたいな。そういう驚きからスタートする……それはすごく驚きましたね。

あとで別な設定の『黒い風』ってタイトルで連載やるんですけど、初期のやつは素晴らしいです。今、電子書籍でも読めると思います。あれは素晴らしいですね。

当時の若いころの石森先生ってのは人のやらない驚くことをずいぶんやってくれたなあ。その辺が好きだったですね。他の人とは違うことをバッと大胆にやって。

あと『少年サンデー』でやっていた三銃士をテーマにした漫画『ダイナミック3(スリー)』があったんですね。
それが最終回、負けて帰るんですね。負けて田舎に帰る。王の暗殺を阻止しようと戦うんだけど、負けてね、王様は倒されて、もう都に希望は無い、なんて田舎にすごすごと帰っていく。負けて帰る主人公なんて当時考えられなかったからね。

「なんだこれ、すごいなー!」と思って。「あの終わり方好きです」なんて先生に言ったんですけど、「オレ、ああいうことやるから読者に好かれないんだよ」(笑)。石森先生本人はそう言ってて(笑)。「でも、いいんじゃないですかー」って言ったら、「いやー……」って反省してましたけどね(笑)。

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記者:

「予備校生のような出で立ち」で写真撮影、被写体(スチル・動画)、記者などできる限りなんでも、体張る系。 「防水グッズを持って水をかけられるのが好き」などの特殊な性質がある。 好きなもの: 食べ物の写真、昔ゲーム(の音)、手作りアニメ、昭和、穀物

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