東大と京大が急落!「世界大学ランキング」から見る自分基準の重要性
「世界大学ランキング」で東大や京大の順位が急落
毎年恒例の英国「Times Higher Education」誌による世界大学ランキングで、東京大学が昨年の23位から43位へ急降下したことが波紋を呼んでいます。2010年からの5年間は26位から30位、27位、23位、23位と20位台で安定していましたが、今年は一気に20位もランクを下げました。京都大学も過去5年間は50位台で推移していましたが、今年は30位もランクを下げて88位との評価です。ちょうど1年前に国際競争力アップの重点校として、両大学をスーパーグローバル大学に指定した文科省はショックを隠せません。
しかし、世界から見れば23位も43位も文字通り「五十歩百歩」であり、東大の国際的な評価は日本人が考えるほど高くないことが分かります。事実、留学生を対象に英語で授業を行う東大の教養学部英語コースへの入学辞退率は年々高まり、2014年度は合格者の7割近くが東大を蹴って他の海外有力大学へ進学しています。このように「Todai」ブランドが通用するのは極東の小さな島国だけで、東大を頂点とする学歴ピラミッドの中で偏差値が上がった、下がったと一喜一憂している日本人は欧米から見れば笑止千万なのです。
他人の価値観によるランキングや偏差値に惑わされる必要はない
ほぼ同時に発表されたアメリカの「US News & World Report」の「Best Global Universities」 では、東大が31位にランクされています。英米両誌の順位に開きがあるのは、評価項目や重点比率をそれぞれ独自の基準で判断しているためです。そのため、例えば銃による殺人や性犯罪の発生率など大学構内のセキュリティーを加味すれば、アメリカの大学は順位を下げるかもしれません。
このように、人によって何を重視するかで優先順位は変わりますから、これから大学へ進む日本の若者も、他人の価値観で作られたランキングや偏差値、口コミ、ブランドなどに惑わされることなく、「自分は何を勉強したいのか」を最大の基準に進学先を選んでください。
自分が専攻したい分野を学ぶためには留学も選択肢の一つ
そして、自分が専攻したい分野をもっと深く勉強するため、留学するのも一つの選択肢です。30年も前になりますが、私自身は関心の高かった国際政治を勉強するなら世界政治の中心であるアメリカがベストだと思い立ち、日本の大学を中退してアメリカ南部の州立大学の国際関係学部へ編入した経験があります。
留学先は学生数3万人と大規模な大学で、大型客船のようなメイン図書館の他に主な学部には専門の図書室があり、国際政治に関連する膨大な書籍や雑誌、新聞などレポートや論文を書くための資料には事欠きませんでした。教室においても、授業参加が成績に反映されることもあって居眠りしている学生など全くおらず、教授との質疑応答がマシンガンの応酬のように活発で、最前列に座っているとまるで戦場の真ん中にいるような錯覚に陥る程でした。小学校から「静かに授業を聴いて板書を写せ」と教育されてきた日本の若者にとっては、大変なカルチャーショックでした。
留学は異なる文化や考え方に触れる機会も得られる
また、いまだに交流が続いていますが、アジア、アフリカ、中東、ヨーロッパ、南米など世界各国からの留学生と日常的に接して、日本の常識とは全く異なる文化や考え方に身をもって触れる機会を多く得られたことも留学の大きなメリットです。
いまや年間2千万人近い外国人が日本を訪れ、これからTPPに加盟してオリンピックが開催されると、日本も否応なしにグローバル化せざるを得ません。そうしたとき、従来の固定観念に縛られず世界の多様性をごく自然に受容し、尊重することが重要になってくるのです。
(小松 健司/個別指導塾塾長)
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