「あくまでも“魔法の杖(つえ)”が作りたかった」不思議な世界の扉を開ける魔法の杖(つえ)『カイミラ』開発秘話
先日、ガジェット通信でも製品レビューをさせていただだいた、魔法の杖(つえ)『カイミラ』の発売記念パーティーが5月25日イギリス大使館で行われ、イギリスから開発者であるChris Barnardo(クリス・バルナルド)氏が来日しました。世界で65000本売れているというこの製品について、さまざまなお話を聞くことができました。
・「魔法使いになりたい」そんなあこがれが現実に! 魔法の杖(つえ)『カイミラ』で魔法修行をしてみたよ
https://getnews.jp/archives/118307
●『dad can do』からマジカルな世界の扉を開ける魔法の杖(つえ)『カイミラ』へ
5年ほど前に、『dad can do』という“お父さんに子どもたちと遊んでもらうためには”ということをテーマにしたウェブサイトを立ち上げました。その何百とあるプロジェクトの中で最も人気が出たのは、1枚の紙のシートから『魔法の杖(つえ)』を作るというプロジェクトでした。
Wizard’s Wands 『dadcando.com』
http://www.dadcando.com/default_MAKING.asp?project=Wizards_wands&catagory=Wizardry_and_Magic&lhs=Wizardry_and_Magic
子どもたちは魔法の杖(つえ)を自分が一番強いんだという権力の象徴のように感じていたようです。このプロジェクトが若者や大人まで多くの世代に興味を持ってもらえたのは、『ハリーポッター』の影響も大きいでしょう。
魔法の杖(つえ)を持つことによって、子どもにしか見えない別の世界に行く壁を乗り越えることができるのです。
『ハリーポッター』のような話はイギリスだけでなく、世界各国にあります。私も大好きな作品ですが、日本では『となりのトトロ』、『千と千尋の神隠し』の宮崎駿作品などがありますよね。見えない別の世界が開発の背景になっています。
●あくまで“魔法の杖(つえ)”が作りたかった
私はエンジニアとしてリモコンの製作に関連した仕事をしていたので、それと魔法の杖(つえ)という二つのアイデアが合わさってこの製品ができました。
まず木製のサンプルを作って、それを家に持って帰り、子どもたちの前で杖(つえ)を振った時に背中に隠していたリモコンをまるでマジックをかけたみたいに同時に操作してみたら、非常に喜んでくれました。それが製品を作る力になりました。
そこから元の会社の同僚に話し、製品化を進め、そしてついに世界で初めて魔法の杖(つえ)でのリモコン操作を実現させたのです。
リモコンを開発したのではありません。あくまで魔法の杖(つえ)を開発して、それにリモコンの機能をのせたと理解してほしいのです。
●13という魔法の数について
最初は人間の指は10本なので最初は10のジェスチャーでした。そこへ“引く”というジェスチャーを加えられないか、“セレクト”を加えられないかという要望などがあり、最終的に13のジェスチャーになりました。
動作はできるだけシンプルにしたいので、これ以上ジェスチャーを増やすことは難しいと思っています。
●製品名の由来
ギリシャ神話に出てくる首から上がライオン、しっぽがへび、胴がやぎの口から火を噴く『Chimera(カイミラ)』という怪獣がいるのです。『Chimera』の“Chi”の部分を“Ky”として製品名にしました。
●デザインについて
私はエンジニアの前にロンドンで10年ほどデザイナーをしていました。この製品はマジカルファンタジーの世界に現代の技術を加えているということで、18世紀のビクトリア朝のデザインをベースに、古いものと新しいものを融合させるコンセプトでデザインしました。
こちらの図は上から、紙製のもの、木製のプロトタイプ、製品化前のプロトタイプ、現在の完成した製品です。製品はボディがABS樹脂、先の部分がポリカーボネート、金属に見えるところがニッケルプレートでできています。
●魔法が使える製品
杖(つえ)の信号は赤外線です。一部のIRコードが異なるエアコンなどで使用できないことがありますが、ほとんどのリモコンに対応しています。『Apple Remote』に対応しているので、ノーマルなApple社の製品に使うことができます。最大10mくらい離れたところからでも魔法を使えます。
●日本で発売された経緯
2009年のイギリス発売当初から日本にはすごく興味を持っており、イギリス政府に日本での展開を要望をしていました。日本で行われたギフトショーにイギリス政府のブースで展示を行った際、リンクスインターナショナルさんと出会い、日本での発売が実現しました。
●今後の製品展開予定
バージョンアップした製品を2012年に発売する予定です。10個のジェスチャーを4つのモードに分けて、40のジェスチャーを取り込めるようにというアイデアが出ています。本当はいくらでも設定できるのですが、使う人が操作を覚えられなくなってしまうので、あまり増やせないんです。
キャンドルのようなライトと、そのライトをつけたり消したりすることに特化した魔法の杖(つえ)のセット『カンデラ』という製品があります。今後日本国内でも販売も考えています。
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今回、笑顔のすてきなクリスさんが、デモンストレーションも交えながら、とても楽しそうに製品を紹介してくれました。
この製品、『ハリーポッター』の登場人物や魔法少女になりきりたい人には、かなり魅力的なアイテム。一家に1本欲しくなっちゃうかも。
●おまけ(イギリス大使館)
今回の会場はイギリス大使館、普段はなかなか入ることができない場所で行われました。
敷地の中には緑豊かな庭と歴史と新しさが混じった空間がありました。大使館内の写真撮影はできないため、中の様子をお伝えできないのが残念です。
大使館の職員さんから、少しだけお話をうかがいました。
「この建物へは明治時代に移ってきたのです。イギリスは印刷や建築、土木などイギリスはたくさんの技術を日本に教えました。その感謝の気持ちとして国会にもほど近いこの場所を提供していただいたのです。あの頃の日本とイギリスはとても親交が深かく、大使公邸には伊藤博文さんなどもよくいらしていたんですよ」
文明開化の香りを感じながら、会場を後にしました。
●WRC10209 カイミラ魔法の杖(つえ)製品詳細
商品名:KYMERA(カイミラ)
型番:WRC10209
カラー:ダークブラウン
材質:プラスチック
サイズ:353mm×20mm×20mm
パッケージサイズ:395mm×70mm×40mm
重量:約70g(電池を含む)
対応リモコン:赤外線を使用したリモコン(長押しを必要とするキーには対応しません)
付属品:単4電池2本(本体挿入済)、取扱説明書(日本語/英語)
店頭予想価格:6,980円前後
世界初の魔法の杖「カイミラ」WRC10209
国内代理店:リンクスインターナショナル
http://www.links.co.jp/
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