物流技術が起こした奇跡。九州に生息する珍魚・ムツゴロウに、赤坂で会える!
みなさんは、ムツゴロウをご存知でしょうか。
ムツゴロウは九州の有明海の干潟に住む魚。当然それ以外の場所、ましてや東京では生きた状態でお目にかかることはない……。
はずでしたが! 都内で活ムツゴロウをいただけるところを発見しました。今回は食材を紹介することが生きがいのメシジロウくんがレポートします。
活ムツゴロウをいただけるお店は、赤坂見附にある「赤坂有薫」。
そして、私の名はメシジロウ。出発前に動物っぽいTシャツを買おうと思いましたが見つけられず、探検っぽいということでこのシャツに落ち着きました。
「まえもって準備してなくてすみません!でもまあ、探検家っぽくていいっしょ!」
暖簾をくぐると、すぐムツゴロウはいました。
東京ではブクブクを入れた発泡スチロールの容器で生活しているようです。
「実家が豪邸だけど、上京してワンルームの家に住んでるって感じっすね」
早速ムツゴロウを触らせていただきました。
触られるのを嫌がることなく、悟ったように捕まっているのが印象的でした。
「思ったよりおとなしいっす。もっとぬるぬるしてるのかと思った」
メシジロウくんは食材を紹介するのは好きですが、生き物とのふれあいは不慣れ。
「ムツゴロウ=ぬるぬるしてそう」という偏見で、自前でウエットティッシュを用意してくるレベルの潔癖です。
メシジロウのムツゴロウレポート
「うおお!胸びれをうまく使って、つるつるのお椀でも動いてる!」
ムツゴロウはこのようにして干潟で移動しています。また、体をしならせて跳ねたりもするそうです。
「おおふ……おおふ……やっぱキスとかしたほうがいいっすかね…」
「…あのー、ちょっといいでしょうか。持ちかたが違いますね」
「持ちかたがあるんですか?」
「そうなんですよ、持つ時はエラのあたりをつまむように持ってください。ここに、ムツゴロウがおとなしくなるツボがあります」
「こ、こうですか?」
「うん、そうそう」
赤坂有薫の若大将が直々にムツゴロウの持ちかたを教えてくれました。メシジロウくんは食材を紹介するのは好きですが、生き物の生態には疎いのです。
「ツボおさえたら全然動かなくなりましたね。よく見ると顔結構かわいいっす。笑」
「たまに目がハート形のムツゴロウもいますね」
魚として見て異質なのは飛び出した目でしょう。巣穴からの索敵に適しているのだろうとメシジロウくんは解釈しています。他に特徴的なところは、ギザギザした歯ですね。肉食っぽいですが、主に水中の藻を食べるそうです。
「全長はライター2本ぶんくらい。ライターの長さはよくわかりません!」
メシジロウさんは食材を紹介するのは好きですが、執筆の段取りに関しては緩いです。このムツゴロウは約15センチほど。年齢は5歳くらいで、福岡空港から空輸されてきたのだそう。
「ムツゴロウ、おとなしくてかわいいっす!飼いたい!よーしよしよしよし…」
おっかなびっくりだったメシジロウさん。社長から教わったツボの位置を完全に把握し、ムツゴロウを愛でまわします。
「はい、じゃ写真はこんな感じでOKっすね!食べましょうか!」
ムツゴロウと仲良くはなっても、そこは仕事と割り切っています。さすが、ドライな男です。
ムツゴロウを食べてみる
ムツゴロウの生態を理解したところで、早速いただいてみましょう。赤阪有薫では3種類のムツゴロウ料理を提供しています。
まずは刺身。
この状態でもムツゴロウは生きており、皿の上をたまに転げまわったりします。
骨の部分は最後にから揚げにしてくれます。
そしてから揚げです。
こんがり揚がったムツゴロウはちょっとかわいそうかもしれません。カリカリの食感はとにかく最高らしいです。
最後に蒲焼き。
秘伝のたれが放つにおいは食欲をそそります。ムツゴロウの味とタレがどのようなハーモニーを奏でるのか、楽しみな逸品!
早速メシジロウくんの感想を聞きましょう。
「…………………」
メシジロウくんの様子がおかしい…。
あれだけ手を拭いていたのに、ムツゴロウとの別れがさみしかったようで、頬に涙が流れています。しかしこれも人間の営み。別れを乗り越え、喰らいつくすことで生きていくのだ…。
「うぁぁぁーーー!ムツゴロォォォーーー!!!」
「うめぇ!!うまいっす!!この濃い目のタレ!ちょっとジャンキーな風味なのがまたいい!あぁ、これうまいっすね!白飯食べたい!」
どこかに飛んで行った涙の代わりに、笑顔があふれました。
それほどのうまさなのです。
「ムツゴロウってあんまり身がないって思うかもしれないけど、ヒレだ!ヒレにタレがしっかり絡んでて、かつカリッと焼きあげてあるからサクサクしてうまいっす!骨までいけますね!」
「から揚げ!ムツゴロウ味が凝縮されてるっす!ムツゴロウ本来の味を楽しむならこっちっすね!蒲焼きのときに感じたサクサク感が超レベルアップした感じ!」
「刺身は川魚っぽさがありますね。海の魚の刺身より歯ごたえがある。大人の酒の肴って感じっす!そしてなにより、写真見てもらえればわかるんすけど、15cmそこらのムツゴロウをここまできれいにさばくの大変っすよ!このきれいに盛られた皿を芸術として見てほしいっすね。」
冒頭からドライな感じだったメシジロウくん。
熱のこもった感想をくれたのはレポートを通じてムツゴロウへの親しみが生まれたからに他なりません。食材を知ることで、一層メシを楽しむことができるのです!
「ムツゴロウの命を頂戴して、心なしか背中がでかくなった気がするっす!」
嬉しそうに勘違いしているメシジロウくんですが、その感覚はあながち間違いではないかもしれません。刺身にしても生きているように、ムツゴロウは生命力の強い生き物。食べて元気になれる食材でもあるのです。
ちなみに赤坂有薫では、5月~11月末頃までムツゴロウ料理を提供しています。
今回は東京で生きた姿を見られるとは思いもしなかった、ムツゴロウと出会いました。これからも世に伝えたい食材をレポートするため、今日もメシジロウくんは食べ歩いていることでしょう。
お店情報
赤坂有薫
住所:東京都千代田区永田町2-14-3東急プラザ赤坂3F
電話:03-3592-0393
営業時間:【月~金】11:30~14:00、17:00~22:00、【土、日、祝】16:00~21:30
書いた人:
毎川直也
風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。 ブログ「銭湯、温泉探求録」
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