『Kinect』『MESH』など最先端ガジェットを駆使! 街とカフェをハックした“コスギソン”レポート
日本でも定着しつつある、プログラマーやデザイナーなどが集中的にアプリ・ウェブサービスを開発する合宿イベント“ハッカソン”。最近ではITベンチャーが呼びかけて自社オフィスで開くケースが多いですが、それを街のカフェを舞台に、住民も巻き込んで実施するという試みが、川崎市中原区武蔵小杉で行われました。
その名も“コスギソン”と名付けられたイベントは、武蔵小杉駅近くの“COSUGI CAFE”で2015年9月12日・13日の2日間にわたって開催。最先端のガジェットを組み合わせて、小杉周辺やカフェを盛り上げるようなサービスを開発するという内容で実施しました。HackCamp代表の関治之氏がオーガナイザーを務め、エンジニアコミュニティTokyo Motion Control Networkも参加。27名が5組に分かれて27時間という短い時間の中で開発に取り組みました。
近年、タワーマンションが林立、“ララテラス”“グランツリー”といった商業施設も開業し、再開発が進む武蔵小杉エリア。一方で、大手企業の工場や研究所なども数多く、ものづくりの街という側面もあります。今回の会場となった“COSUGI CAFE”も、大手企業のビルのリノベーションによってオープン。このエリアで働くエンジニアと住民の両方が参加するイベントとしては、格好の舞台といえるのではないでしょうか。
開発のために用意されたのは、人の動作や声を受信して画面上のものを操作できる『Kinect』をはじめ、スマートフォンでコントロールできるライト『hue』や、遠隔の状況を把握できる『iBeacon』、スイッチや加速度センサーなどの機能を備えた『MESH』など。これらを組み合わせるために、『Yahoo! Japan』の『myThings』などのアプリも用いられていました。
1日目には、武蔵小杉がどういう街なのかを話し合った上で、サービスのアイデアを書き出していくワークショップを実施。その中から実際に開発に入っていきます。
2日目の16時20分からは、それまでの開発の内容についてプレゼンを実施。与えられた時間が3分と短いため、スライドや説明のわかりやすさも求められました。
その後、実際にできたものを前にして、イベントを主催したCOSUGI CONVIVIAL PROJECT(コスギ コンビビアル プロジェクト)のメンバーを中心とした審査員に5分間のデモ&説明タイム。聞く方も「どうやって動いているのか」「どういう目的で開発したのか」など、真剣に質問して回っていました。
“COSUGI BATTLE GIRLS”が開発した『COSUGI Othello』は、その名の通り『オセロゲーム』をネット上で実況中継。スマホからのオーディエンスの声がモニターに表示されるという仕組みになっています。カフェへの集客手段としての可能性もあるサービスでもあり、“CONVIVIAL PROJECT賞”に選出されました。プレゼンで勢いはピカイチだったのと、実際にサービスとして遊べるところまで開発が進んでいたところも受賞の理由といえるでしょう。
女性ばかり5人のチーム“COSGIRLS”は、武蔵小杉のオススメの場所を教えたり共有できたりする『CO杉ハンター’s CAFE』を開発。メモを書いて表示された小杉の地図の上に『MESH』を置くことで登録ができ、逆に『MESH』のボタンを押して光ったところにオススメのメモが表示される仕組みになっています。
テーマ性とアイデア、ユーザー体験、それに完成度という基準で審査され、『CO杉ハンター’s CAFE』が見事に“コスギ賞”に選出。スマートおもちゃ『Moff Band』5台と、2015年10月23日に開催される『コスギフェスタ』前夜祭での生ビール飲み放題券が贈られました。
エンジニアやデザイナーの“閉じた”中でなく、街中のカフェという開かれた場所で開催され、新たな可能性を見出した“コスギソン”。COSUGI CONVIVIAL PROJECTによると今回出たアイデアを「実際にサービス提供していきたい」とのこと。街と人をITでつなぐ場所としてのカフェへ進化できるのか、今後も注目したいところです。
COSUGI CONVIVIAL PROJECT
http://cosugi.jp/
乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。
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