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計画停電が首都圏のITを揺さぶる……無知を食い物にするモノたち

後でそこを先輩に突っ込まれてひたすらわびることにもなったんですが……。なんせ“まとまりかけていた商売”をひとつつぶしたわけですから、それはそれで申し訳ないことをしてしまったなぁ……と。それでも不相応な提案であったし、あとで相談がきて疲れるのは私だったと思うので、そのまま話が進んでいたらと思うとぞっとします。

●後日のこと
今回の件もあってわびがてら飲み屋に誘った先輩との会話(これも本人に監修していただいてます)。
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先輩:「俺たち営業ってのは……売るものによっては他人の不幸こそがチャンスになるわな。“売ってこい”と上に言われて、それが売れる場面だなと思えばたとえ葬式の場だろうが結婚式の最中だろうが乗り込んでってあの手この手で売る。のし袋だって花束だって離婚届だって売ってくるのが仕事なんだよ。顔じゃ涙流してても手はカタログ広げるのさ。不謹慎とか言うなよ? 嫌なら辞める権利があるだけで、辞めたくないならともかく売ってくるしかねぇ」

先輩:「こう言っちゃなんだけどよ。こんな時代に“よくわからない”なんて言っちゃう経営者はIT系じゃ“ごちそう”だよ。リースなりローンなりなら倒産しようがこっちのリスクは薄くできるしな。つぶれりゃ居ぬきか後継者がまた似たようなことを始める。二度おいしい。そんなもんだ。お前だって頭の中じゃわかってるから止めにきた。そうだろ?」

先輩:「正直おまえからの電話じゃなかったらな。リスク覚悟でこの話進めさせてたんだが。お前身内に手を出されるとしつっけぇの知ってるから引き揚げさせた。だいたい判子さぇつかせちまえば……なんて新人が言っちゃうぐらいのノルマだしな。うちは。計画停電やらなんやら東京電力のケツが企業についてきてる以上生き残るためならみんな必死になんだってやってんだわ。“他人の不幸を悲しむ面で、片手に線香片手に契約書だよ。今時はな”」

先輩:「でもよ。“不謹慎”とか“不真面だ”とか言ってるやつが、案外一番の悪党かもしれねぇな。お前、まえに営業職が嫌だって言ってた時にこう言ったよな。詐欺師になるのは嫌だってよ。でもよ。詐欺師より“タチ”がわりぃのは“こんな時に”自分の嫌なもの、嫌いなものを消しちまおうとか……あるいはてめぇだけの“正義”を振りかざすやつだってのは……やっぱりお前が言ってた言葉だよな? 10年ぐらい前か、言われたの」

先輩:「他人の不幸をバックにつけて意見を通すのは簡単だからな。義理人情大好きの日本人はそーいう意味じや“カモ”だよな。で、自分の知り合い守るためにお前はお前の正義を通したわけだけどな。……まいどまいどお節介野郎め」

み:「……すんません」(としか言えず)「でも知り合い守るためだったんで……ほんとすんません」

(と謝ったら先輩にっこり笑って)
先輩:「何謝ってんだ? 俺はちゃーんと商売まとめてきてんだぜ? でかい口じゃないが、ちゃんとまじめに提案して感謝されて判子もらってよ。3年リースでちっちゃい金額かもしんないが、契約には違いねぇ。長いつきあいになるなら、単発のでかいのよりそーいうのをたくさん束ねた方が強いんだよ。俺はそうやって出世してきてんだ……お前はチャンスくれたんだよ」

先輩:「新人君にはしかったフリにつき合わせたわびに俺の顧客ひとつわけた。ノープロブレムだ。不安が世の中に増せば増すほど俺たちは動きやすい。無知を恥じることなく専門家を雇おうともしない。そんな経営者が多いからな日本は。今なら水1リットルを2000円で売るなんて商売もいけるかもしれない。ネットで騒ぐやつもいるしマスコミががたがた言うだろうが……そんなやつらの手にはナイフも鉄砲もない。安全なもんさ」

本当の営業の強さというかしぶとさというか……そんなのを見せつけれたような。やっぱり本物は格が違うなぁ……新人じゃ追いつけないなこりゃ……そう思ったりも。「転んだら草をひっぱり木を引っこ抜いて起き上がる」とは先輩の言葉ですが……いやはや。

口も悪く(むしろ毒舌)、露悪家ですから今の言葉も私はあまりまっとうに受け取ってはいません。少なくともこの人の営業はいつも相手の背丈に見合った商品の勧め方ですから。

照れ屋なのかいつもいつもこんな露悪趣味な言葉ばかり言ってますが……本音まじりに皮肉っているのかもしれません。誰を皮肉っているかは複雑すぎて見えづらいですが。詐欺師の口して偽善事業。でも金は金、それで助かる人がいるならそれでいい。かつてこの人の後輩として営業のことを教えていただいていた時に聞いた言葉です。

まぁ、それでもその部下はやはり不安を商材に商売を続けているようなので、ノルマに追われれば別の企業が同じような目に遭うのでしょうけれど……。

●同じ日に起こったもうひとつの出来事
社長から電話があった同じ日に……もう一本似たような電話があり。こちらは「ぼったくられそうなんだよ!」と激怒する社長からの電話。なんだなんだ、計画停電をネタにあちこちで商売合戦か!? と思えば……こちらはまた事情が違う。

確かに計画停電がらみの商材ではあったのですが、しごくまっとうな提案だったのです。最初は。ところがこちらの社長はシステムもなにもわからないもんだから「このぐらい簡単だろう?」と今まで思ってた要件をずらりと並べて見せた。

提案した企業からしてみれば「ここまできれいに提案が出てくるってことは言うほど詳しくないわけでもないのかな」と思ったようで。馬鹿正直に要件定義にそったハードとシステムの構築見積もりを提出。そりゃ、スクラッチでそんなシステム作ったら億円簡単に超えるわ……と私も思わずぽつり。

これ、実は笑えないんですよね……今回はこうだったからいいようなものの、ワンマン経営で結構もうかってる会社だったら下手するとそのまま契約してGOサインが出ることも。今時そんなことないだろうと言う人もいますが……案外あるもので。社員2~3000名の会社なのに創業一族が牛耳ってるところなんかでは実際昨年……いや、なんでもないです(^^;

二つの電話もありまして……当日は自分の仕事が手につかなくなりまして。目標の仕事がこなせなかったためついついサービス残業して対処してしまいました。あとでどっちの社長からか飯のひとつもおごってもらわないと割が合わないかも(^^;

●不安という見えない刃
よくわからないから余計に不安。その心理は私にもあります。けれど、その漠然とした不安感は食い物にされやすい……売る方からしたらとてもコントロールしやすい感情です。あるいは、よくわからないけど「このぐらいコンピューターやシステムなら簡単だろう」なんて決めつける経営者の多さもまた問題で。

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