文具メーカー5社共同開催!「書く・貼る・捺す・デジる」展を見てきた
東京都千代田区で開催されたビジネスユーザー向けの「書く・貼る・捺(お)す・デジる」展2015を取材した。
特に新製品の発表の場ではなく、基本的にすでに発売している製品を普段ビジネスで文具品を使うユーザー向けに招待制で年に一度開催されている。
新製品の発表はビジネス向けのISOTで既に行われている。
拙稿 https://getnews.jp/archives/1040126[リンク] 参照。
日本を代表する文具5社が共同で開催している本展示会は、各社ごとのブースというよりも、よりユーザーの視点に立って「書く」「貼る」「捺(お)す」「デジる」という、使用環境によるテーマ別に展示されているのが特徴だ。
数ある自信作の中で目についたものをいくつか紹介する。
シヤチハタのスタンプ自動販売機「OSMO」だけはまだ未発表ながら、多くのメディアに取り上げられ話題先行状態。
来年の登場を目指して改良が続けられているが、実際に触れて作れるとあって60分待ちの大盛況。
OSMOの詳細は拙稿 https://getnews.jp/archives/1032996[リンク] 参照。
キングジムの「着る布団&エアーマット」はエアマットと寝袋を服にしたようなもののセット。過労を推奨するつもりはないが、普段使いとしては終電を逃した場合、防災用途としては帰宅困難者対策にと、いろいろ使えそう。
「イスの後ろのカバン置き」。ネーミングにひねりも何もないのがキングジムの面白いところ。椅子に引っ掛けるカバン置きで、邪魔にならずカバンも汚れないので重宝する…はず?
何の変哲もないファイルケースだが、グリップが柔らかい素材でできており、持ち具合いが非常に良い。手にフィットするから「TeFit」?やはりひねりがない。
ゼブラの「もじピタ!」はテープケースの先に平らな筆記台があり、そこに専用のペンで文字や絵を描く。
テープを出して書いた文字の上で貼ると、テープに文字が転写されるので、そのまま好きなものに貼ればよい。
文字はテープの内側なので、ぬれても流れたりにじんだりという心配がほとんどない。
ゼブラの特殊インク技術と、ニチバンのテープ技術による共同開発とのこと。
キングジムといえば、”ひねりがない”ではなく、「テプラ」。商標なのでテプラといえば同社のものということになる。
女子個人ユース向けのかわいらしいものはリボンやマスキングテープに印刷できる女子文具。
ディスプレイ付きでも文字の入力や変換が面倒というデキル男子には、PC接続で一気に作ってしまうテプラもある。
こちらは、スマホの画面をスクリーンショット…ではなく印刷してしまうプリンター。
感熱記録紙なので、レシートのようなものだが、ちょっとしたメモや地図、写真もグレースケールながら印字できる。
優れたところは、記録紙の裏がシールになっており、どこにでも貼れるという点。
ウィークポイントは専用アプリがiOSにしか対応していないことだろうか。
担当者の話によると、ネットの世界では変態メーカー扱いされているというキングジム。
お次はrecoloは、間欠撮影ができるカメラで、撮影したものは動画として記録される。植物の成長を一定間隔で長期間定点撮影し、動画にすると数十秒で成長を見ることができる、テレビ番組ではおなじみの手法。
スペックを見た限りでは、レンズはf/2.8なので、月の撮影くらいなら問題はなさそう。
汎用の三脚ねじにも対応しているので、コンデジ用の三脚でも使えそうだ。
セロテープも実は商標。セロテープといえばニチバンのものしかない。公共放送では絶対にセロテープとは言わない。「セロハンテープ」が一般名称だからだ。
しかし、今やセロハンテープはどこにでもあるので、もはやブランド化は無理だろうと思っていたら、こんなものを見せてくれた。
カッター部分はギザギザなのが一般的だが、同社ではまっすぐに切れるカッター部分を開発して差別化を図る。
あのギザギザが嫌で、あるいは手に触れると意外に痛いのが嫌で、はさみで切る人も多いという。
そんな声にニチバンが立ち上がったのが、このカッター。芸が細かすぎる。
ガラコではない、「iガラコ」だ。見た目はカー用品店で見かけるそれと同じだが、これはスマホやタブレット専用。
塗って拭いて2時間以上乾燥させると、写真のようにはじく。
指紋や電話をした後の油脂類がきれいにふき取れる。
これもお部屋で使っているコロコロ…ではない。iCOLOCOLOだ。こちらもスマホやタブレットの画面をコロコロすると、ほぼ完ぺきに油脂類や指紋が取れる。
記者も試してみたが見事に取れた。ゴミを取るのではなく、油脂類を強力に取ってくれるのだ。
iガラコ、iCOLOCOLOといずれも元の製品メーカーとの共同開発なのだが、こんなネーミングをするのはやはりキングジムだった。
ルーズリーフは手軽にページの抜き差しができるので便利なのだが、リングに差したままだと手がリングにあたって中央部分が書きにくい。そこで、中央部分のリングを無くしてしまったのがこの製品。コロンブスの卵的発想だが、名称は手が触れないので「テフレーヌ」という。やはりキングジムだった。
キングジムの広報担当杉崎誠さんに話を聞いた。
「文具メーカーは各社間で競合する製品は実は少ないのです。全くないというわけでもありませんが、ごくわずかな競合です。だからこのようなテーマ別に共同でブースが出せるというわけです。見ていただいたのでお分かりだと思いますが、意外とここの5社は仲が良くて、共同開発製品も結構出しています」
開発する方もアイデア勝負なら、使う消費者もアイデア次第で用途が広がる製品が多いのが印象的だった。
そこにはニッチ市場だと言われながらも、細かい気配りと使いやすさに裏打ちされた日本の高い技術力を見たような気がする。
デジタル文具というカテゴリーが確立しつつある現在、消費者側も頭をひねって使い方を研究することにより、メーカーが気付かなかった用途でヒット商品が生まれるのかもしれない。
※写真はすべて記者撮影
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(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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