ところてんと寒天はどこが違う? 親子のような2つの関係
食物繊維が豊富でローカロリーのヘルシー食品として人気が高い「寒天」と「ところてん」。どちらも原料は同じ「テングサ」という海藻です。ところてんは多くの場合、寒天を煮溶かして固めたものを箱型の容器に入れて突き出して作られています。このことから、ところてんより寒天のほうが先に作られたと思われがちですが、実はところてんのほうが歴史の古い食べ物なのです。
ところてんは中国から伝わったもので、奈良時代の書物にも、その存在が記されています。その当時、ところてんは溶かした寒天から作るのではなく、直接テングサを煮出して抽出した液を固めて作るものでした。寒天は、そんなところてんから偶然生まれたものだったのです。
江戸時代初期、ところてんはすっかり庶民の食べ物になっていました。京都の旅館「美濃屋」の主人は、そんなところてんの余り物を外に捨てておいたところ、数日後にそれが白い乾物になっているのを見つけます。これは、屋外に捨てて凍結したところてんが日中になると天日によって水分が溶け出して乾燥し、さらに夜になってまた凍結するという工程を偶然繰り返したことによって生まれたものでした。これが、寒天の始まりです。当初はその作り方から「ところてんの干物」などと呼ばれていましたが、このところてんの干物を再び煮溶かして作ったところてんを食べた禅僧の隠元(いんげん)が、「寒天」と命名したそうです。隠元和尚はいんげん豆だけでなく、寒天の名付け親でもあったのですね。
偶然によって、ところてんから生まれた寒天ですが、今では菓子やゼリーの材料以外にも、煮こごりやサラダやスープの具など、幅広く料理に使われており、“親”以上に活躍。今ではところてんも“子”の寒天から作られることが主流になっています。(TEXT:料理サプリニュース編集部)
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