「天国に一番近い学食」明治大学駿河台キャンパス「スカイラウンジ暁」のトリプル盛りカレー
【学食巡礼】“天国に一番近い学食” 明治大学駿河台キャンパス「スカイラウンジ暁」のトリプルカレー
大学の学食で名物メニューをいただきたい。裏メニューがあればそれをいただきたい。連載を続けていって、いつかは女子大に行きたい。女子大生になりたい。アイワナビーア女子大生。
そんなピュアな気持ちで送る学食巡礼。今回はどこかなー。
明治大学、駿河台キャンパスのリバティタワーにあるという学食は、なんでもすごく高い位置にあると聞きました。
地上17階。おい学食だぞ。ホテルのレストランじゃねえんだぞ。
おっと、女子大生に声をかけられていますね。
さっき事前リサーチのためにカフェで話を聞いた子ですね。「取材がんばってください♡」って言われちゃった。俺、がんばるよ。君のおすすめのメニュー食べるよ。メシ通よろしくね。検索してね。
御茶ノ水駅のすぐ近くにこんな高いタワーがあるのよ。頂上は雲の中でもう見えない(見える)。これがリバティタワー。知の伽藍である。まるでボルヘスかファイナルファンタジーかという興奮度合いだが、実際に駿河台キャンパスは意欲的かつ価値がある施設が多い。
ちなみにここでは米沢嘉博記念図書館も開館している。米沢嘉博さんはコミックマーケット準備会を運営し、同人誌即売会であるコミケをここまで大きくした人である。
エントランスホールもこんな有り様。シンガポールのホテルみたいだ。行ったことないけど、きっとこんな感じじゃないかな。学生もたくさんいる。図書館もあるし講義をする教室もたくさんある。活性の高い施設なんすね。
縦走! カレーアルプス三連山「トリプルカレー」!!!!
エレベーターで17階まで上昇すればここは学食。天国に一番近い学食。
緊張のあまり、思わずラーメン屋ポーズをキメてしまう。
学食を「スカイラウンジ暁」と名付けるあたり、明治大学の自信を感じる。
メニューは学食らしい蝋細工、そして日替わりメニューのサンプルは生モノだ。ここにはサンプル荒らしのカラスもこないので安心だ。
有機野菜を使うこだわりもある。標高も高いが意識も高い。
なんでも、ここのコックさんがけっこうヤル気ある人らしい。
ヤル気がありすぎるのか、こういう方向のがんばりもあるぞ。大皿じゃないぞ、スリバチだ。なんだこのタンメンは。
ああ、通常の3倍。
たとえるなら食の黒い三連星。ジェットストリームアタックだ。
さっきのかわいい女子大生が名物メニューとしておすすめしてくれてたのがこのトリプルカレー。明治名物は通常の3倍盛りなのか。
この量で540円は安い。さすが学食。ボリュームがあり、安価である。まあ今回の趣旨は大食いじゃないけどね。
さてスカイラウンジ暁の中に入ります。いよいよ注文するよ!
アイディアだなあと思ったのは注文システム。
プラスチックでできた小判型の食券あるじゃん。碁盤の目状にラインがひかれてあるお盆にはひとマスごとに数字が書かれてて、置かれた食券の順番がわかるようになっている。先に出したのは誰だ俺だ私よっていう揉め事が起こりにくいわけ。
これは経験と実績を感じるシステムよね。
なぜかご飯がみっつも盛られている。
まるでトレイに直接カレーを流し込んでいるように見える。なにかこう常軌を逸したオーラを感じる。この量のカレーを給仕するのって、正気ではしないことでしょ。
お、重い。学食の職員さんもニコニコと渡してきて、あのですね、自分がなにをしてるのかわかっているのか!
この連載は学食をめぐる企画であって大食いチャレンジではないはず。どうしてまたこんなタフなメシを食べるはめになっているのか。
日本一眺めがいいという学食で週替わりプレートを食べるという趣旨でも、この企画はできたはずだ。
カレー大好き、一日三食カレーでも大丈夫でーーーす。
でもそれは朝昼晩三回に分けて食べるって意味でランチでまとめて食べるって意味では、あ、カレー大好きでーーーす。
カレーといえばお水ですが、スカイラウンジ暁のお冷はなかなか味のある演出がなされている。ステンレスのウォーターサーバーは水滴をまとって鈍く輝いており、目にも涼しいひんやりとした雰囲気である。
煙草の箱と見比べて欲しい。皿が大きい。パーティ用もしくはバイキングで伸びたパスタがどっさり載ってるのがふさわしいサイズ。
ひょっとしてこれは三人でシェアするとかラグビー部員がおやつで食べるとか、そういうメニューなのではないか。
地上17階。
日本のアカデミア史上最高位置にある学食、スカイラウンジ暁からの眺めである。
雲海を望む位置にあるカレーライスの三連峰。
まさにカレーの北アルプス、中央アルプス、南アルプスやー。
さて上手いことを言ったので食べますよ。
カレー北アルプスからのカレー連峰の縦走が始まる。
そしてうまい。
実直でコクがある。カレー自体は学食で食べるにふさわしいうまさ、いやそれよりもちょっとラッキーな感じのおいしさ。普通よりちょっとおいしいのね。
考えてみますと、ここ駿河台、御茶ノ水界隈は本格カレーのお店が多くあるタウンである。どうせ学食だからっていうナメた味では存在意義を問われることになる。
カレー越しの絶景。この風景はここでしか見れない。
よかったらスマホの待ち受けに使って欲しい。
そうこうしてる間にカレー山脈の縦走は中央アルプスに入った。
なにしろカレーなのでこのくらいの量はわりと楽に進む。
あと、普通においしいし。
もくもくとカレーを食べる僕。御茶ノ水の街を見下ろす食卓ってのはなんか偉くなった気がするね。明治の学生はこういうところで自己評価を高めることができるのだな。自己評価の低いオッサンはこういうふうにひねくれて考えてしまう。みんなはこうなったらイカンよ。
さあ、あとひと峰を残すところとなりました。ここまではけっこうするする食べられる。カレーは飲み物とはよく言ったものだ。
ここらのタイミングで味に変化が欲しいので、調味料コーナーに出向いてみた。
醤油、コショー、ソース、酢などがある。
ここはもちろんソースでしょ。
ジャバー。
ジャババー。
わ、わ、わ、止まらないでござる。
思ったよりゆるいウスターソースだったでござる。ソースかけすぎ、隠し味を隠し切れないでござる。
見た目汚くて申し訳ないが、ソースと七味でテイストをシフトチェンジ。
カレーアルプスの縦走を目指す。
家の躾がよかったのでご飯粒ひとつ残さない食べっぷり。えへん。
ついに走破しましたよ。
ご飯が三個、どんどんどんと並んだ豪快な見た目も楽しいトリプルカレー。ひとりで食べる女学生もいると聞きました。
キャッチーなメニューでもあり、いかにも名物という満足感があります。うぷ。
食べたらしっかり御膳を下げる。地上17階にあるとはいえ、このベルトコンベアはいかにも学食じゃありませんか。
さあ、今度なに食べるー?
なぜ走りだすのか。写真がブレているじゃないか。まだ食べるというのか。バカじゃないのか。
オレ流ヌーベル・シノアへの挑戦「冷やし担々麺&ブラマンジェ・ア・ラ・Meiji」
食券システムが合理的なのは先にも触れたけど、麺コーナーでもそれは顕著、というか基本的に同じ仕組み。
メニューを決定するプラスティックの小判と、量を決めるカードがある。この組み合わせでデッキを組み、注文するわけですね。
しかし、ここでもトリプルがあるのか。
モンハンのハズレ装備ではありません。
僕が小人化したわけでもないです。スプーンおばさんを思い出しましたか。『夢色スプーン』を歌い出す始末ですか。ひとしずく、愛を乗せますか。
トリプルの器がこれ。デカ盛りラーメンってどうしていつもスリバチなんだろうと思ってたけど、ここまで大きな丼ってほとんど無いのね。スリバチのほうが入手しやすいという理由なのかもしれない。
しかしそうなると、この巨大なレンゲはどういう用途で作られたものなんだろうか。
通常サイズの担々麺と比べると、トリプル器のイカれたサイズがわかろうというもの。
さすがに大盛り系は無理だったので普通盛りの麺です。
食器というよりカルデラ、すり鉢状にへこんだ地形の火口である。また山ネタか。たしかに駿河台には登山用品のお店が多いよな。
店長さんの話によると、デザート類はコックさんこだわりの手作りのものがあるという。僕が体当たりリサーチをした女子大生もケーキがおいしいと言っていた。
ああ、安い……!
手作りデザートもいろいろあるけど、いま気になるのはどれか、わかりますね?
ブラマンジェ。しかもブラマンジェ・ア・ラ・メイジ、TOFU入り。
そもそも「ブラン・マンジェ」(読み方はいろいろ)は「白い食べ物」という意味。すっげ簡単に言ってしまうと牛乳ゼリー。明治式ブラマンジェには豆腐が入る。気になる。食べてみたい。
健康志向と甘さを両立した意欲作。大学の名を冠した堂々とした佇まいはきっと本学食のデザート代表作なのではないかと勝手に考える。勝手すぎる。
さっき食べたトリプルカレーのことを忘れ、季節のメニュー冷やし担々麺(430円)と明治式ブラマンジェ(120円)を所望。
「おじいさん、ご飯はさっき食べたでしょ」と言われても仕方がない。
スカイラウンジ暁は東向きの窓と北向きの窓がある。学食がL字型になってるのね。
今度は北向きの席に来ました。御茶ノ水駅方面。病院などが多く見えます。
このへんは旧江戸の町並みというか昭和の都市の名残がまだある。建物は現代のものだけど、町の役割は昔のままだったりする。神保町の古書店街とかもあるもんね。こっちは病院街なのだ。
この町に広大なキャンパスを構えていられる明治大学の格と歴史はさすがである。
ビル群を見下ろしながら冷し担々麺とブラマンジェをいただく。こんな経験なかなかできない。ストレンジな組み合わせではある。中華とフレンチ。ヌーベル・シノアというか、ていうかぜんぜんそんなんじゃないし。
冷やし担々麺。色は赤いが辛さはそんなに強くなく、冷えてることもあって気持ちよくいける。取材日はあいにくの天候だったわけだが、猛暑の夏などは食欲も刺激してくれるありがたいメニューになるはず。
そしてブラマンジェ・ア・ラ・明治。
こだわりの手作りデザートということで期待は高まる。
天国に一番近い学食、スカイラウンジ暁に乾杯。
ひょいぱく。
あ、これは!
豆腐が四角いまま入ってる! しかもこの豆腐、甘い!
いや、てっきり生地に混ぜこんでるって意味の「TOFU入り」だと思ってたので完全に不意打ちだった。
うまい。
そしてこの構造は手作りじゃないとできない。言ってしまえば学食のスイーツまわりなんて業者から仕入れることだってできるし、ここにもそういうケーキ類は置かれているけれど、このブラマンジェ・ア・ラ・明治は完全オリジナルのスイーツだ。ここじゃないと食べられないおいしいおやつなのである。
賽の目切りの甘い豆腐が入ってる牛乳ゼリーなど、ここ以外のどこで食べられるというのか。
リバティタワーの片隅にある喫煙所で考える。
有機野菜やヘルシーなランチプレートなどの健康志向、トリプル某のようなエクストリームフード、そしてオリジナルのスイーツ。ぜんぶ安い学生プライス。
スカイラウンジ暁は高い場所にあるというだけではなく、お食事処としての総合力が高い学食であった。
次に行く学食は、あなたの母校かもしれない。それが女子大であることを僕は願っている。
お店情報
明治大学 駿河台キャンパス「スカイラウンジ暁」
書いた人:鷲谷憲樹
42歳フリー編集者。ライフハック系の書籍編集、専門学校講師、映像作品のレビュアー、社団法人系の広報誌デザイン、カードゲーム「中二病ポーカー」エバンジェリストなど落ち着かない経歴を持つ器用貧乏。好きな山は鳥海山。好きな豆腐は木綿。好きなカレーはSBディナーカレー。
Twitter:@nwashy
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